加瀬亮インタビュー 『アウトレイジ』続編で北野監督に「ハメられました…」
今回の加瀬亮は、とにかく“吠え”まくっている。目の前にいる彼から伝わる穏やかさや柔らかさを微塵も感じさせることなく、狂気と…
最新ニュース
インタビュー
-
『トンイ』女優ハン・ヒョジュ、ミラノで自由を満喫!飾り気のない姿に“ほっこり”【PHOTO】
-
松坂桃李が「底なし沼」と語る樹木希林、桐谷美玲に強烈ツッコミで会場爆笑!
-
「短くて面白い」が選ばれる新時代――新たな配信サービスの挑戦

前作の抗争から5年。関東の頂点を極めた暴力団「山王会」では下剋上を果たした加藤(三浦友和)が会長の座を手にし、組長・大友(ビートたけし)を裏切り加藤の右腕としてNo.2の若頭に上り詰めた石原は、その地位と権力でもって古参幹部を牛耳るようになる。静かなる魂胆を潜めていた前作での石原からは一転して、今回は“動”的なふるまいが目立つ。続編自体、「いままで北野監督の作品で続編のあるものがなかったので、思いも寄らなかったです」と加瀬さん、戸惑いも当然隠せなかったようだ。
「前作で、石原は間違って上り詰めてしまった感があったので、今回はきっと酷い目に遭うんだろうなという予感はありましたが、前回からさらにパワーアップするとしたら今回はどうしようかなという心配の方が先立ちました。最初に台本を読んだときは、前回とはかなり違ってびっくりしましたし、面白いと思ったのですが、すぐに“どうやって自分がやればいいのか”と不安に思いました。前回は、監督やスタッフさんが何とか自分にヤクザ役が似合うように色々と工夫をしてくださって、ああいう静かなキャラクターにしていただいたんですね。それでも自分の中ではやっぱりヤクザを演じることには心配があって。なのに今回はかなり直球に怒鳴ったりしていたので、これできるかな…という不安ばかりでした(笑)」。
『アウトレイジ』から本作までの間には、ガス・ヴァン・サントの『永遠の僕たち』やアッバス・キアロスタミの『ライク・サムワン・イン・ラブ』など名だたる世界の巨匠たちとの競演を経てきたが、再び北野監督の現場で演じる心境もまた特別だったよう。
「現場の雰囲気を知っていますし、映画の世界観も知っているという意味ではやりやすかったですが、やはりその間にいろいろな役を演じているので、改めて前作を観直しました。また一からという感じでしたね。北野監督は現場では静かな方で、俳優のことも知り尽くしているので、役者が嫌だと思うことが一切ないんです。何も仰らないんですけど、きっと細やかに気を遣われているんだろうなと感じました。だから僕たちが現場に入るときには既に場は完成していましたね。現場ではみんな監督と一緒に仕事ができることに喜びを感じているので、静かだけど非常に良い雰囲気です。北野監督も自分が出演していないシーンを見ているときは、すごく楽しそうで。僕は三浦さんと一緒のシーンがほとんどだったのですが、やっぱり三浦さんが一緒にいると安心しましたし(笑)、役柄のせいもあって監督と対峙してのシーンは本当に緊張しましたね」。
そんな北野監督との今回の最初の顔合わせで言われたのは、「今回、一番かわいそうだな」とのこと。
「監督も『酷いな、かわいそうだな』って笑っていて、撮影現場の人たちはみんなその酷さを笑ってる感じでした(笑)。スクリーンで見ると恐い印象だと思うんですけど、現場はその逆でした。自分も台本を見たときからこれは石原、かわいそうだなと思いました。まんまとハメられてしまいましたね(笑)」。
ドスを効かせれば効かせるほど、威厳を守ろうとすればするほど、どこか滑稽に見えるのが“悪人”たち。今回の石原はその筆頭とも言える。
「結局、石原は若頭の器じゃなかったというところに辿り着いて。今回は前作と違って加藤会長に忠誠を尽くしている。かわいいとまではいかなくても、一生懸命自分の役割を全うしようとしているんです。だけどその器じゃないから、キャンキャン吠えたり、大友が現われてからは後ろめたさも手伝って、より不安になっていくんです。もちろん悲劇なんですが、俯瞰してみると喜劇的な感じにも見えましたね。(中尾彬らが演じる)古参幹部を怒鳴りつけるシーンは、先輩方の目を見ないようにしていました(笑)。本当に畏れ多いというか、すごい先輩方なので、現場に入って挨拶をして、本番前はとにかく見ないようにしていました。みなさんも僕の芝居を受けてるときは笑っているか、“加瀬、頑張れ”と思ってくれているか、そういう感じだったと思います(笑)」。
「自分が怒鳴っても怖さみたいなものからどんどん遠のいてしまうので、そういう役割だったのかなと思う」とは自らが演じる役に対する解釈。勝手を言うならば、いわゆるヤクザたるべき男臭い男との間にある“違和感”こそが、石原という男にリアリティをもたらしているのかもしれない。
「この世界はいわゆる男性社会の縮図で、本音と建前が見てとれます。観ていただいく方にはもちろん笑ってもらいたいと思います。自分としては日常的に体育系のノリなども得意ではないので(笑)、やっぱりその中に入ってるだけで違和感がありますね。ただ僕自身はこの人は善い人、この人は悪い人というふうには分けて考えていなくて、その人の苦悩やコンプレックス、平たく言うと弱さみたいなところに、寄り添いたいなと思っています」。
それにしても、今年のフィルモグラフィを見ると石原然り、『劇場版 SPEC~天~』の瀬文、『ライク・サムワン・イン・ラブ』のノリアキ然り、「キレる」役が目立つ。そろそろ落ち着いた純愛ラブストーリーなども見てみたいところですが…?
「本当に俳優は物事を受ける側の仕事なので、次にどんな役がいいか、ということについてはにあんまり考えることはないんです。でも、たしかに怒鳴ったり怒ったりすることは予想以上に疲れるというか、エネルギーを使いますね。普段自分があまり怒鳴ったりしないからかもしれないですけど。逆に今回の『アウトレイジ ビヨンド』でもそうだったのですが、完成した作品で先輩たちの怒鳴り方を見て、課題として、自分ももっとちゃんと怒鳴れるようになりたいと思いましたね(笑)」。
変化し続ける男、加瀬亮。そのエネルギーを次はどんな形でスクリーンにぶつけてくれるのか、楽しみで仕方がない。
《photo:Toru Hiraiwa》
特集
関連記事
-
松坂桃李が「底なし沼」と語る樹木希林、桐谷美玲に強烈ツッコミで会場爆笑!
最新ニュース -
北野武監督、配給会社を断罪!? 『アウトレイジ』続編で一番“極悪”なのは…
最新ニュース -
西田敏行「血圧が正常になった」 『アウトレイジ』続編出演で思わぬ効用!?
最新ニュース -
ヴェネチア国際映画祭、キム・ギドク新作が金獅子賞! 授賞式ではハプニングも…
最新ニュース -
北野武監督、ヴェネチア映画祭で毒舌炸裂!
最新ニュース -
“メガネ男子”ランキング結果発表! 向井理らインテリ&塩顔な男たちが上位に
最新ニュース -
加瀬亮、古参幹部の前で内心は萎縮…?「子犬のように吠えまくってる感じ」
最新ニュース -
『バトル・ロワイアル』、アメリカでTVドラマ化企画が進行中?
最新ニュース -
世界のキタノ、『アウトレイジ』引っさげヴェネチアに参戦!「カンヌ以上に楽しみ」
最新ニュース -
新井浩文も桐谷健太も吠えまくる! 『アウトレイジ』の“悪人”相関図を公開!
最新ニュース -
“新・悪人”の怒号飛び交う!『アウトレイジ』出来たてホヤホヤ映像が到着!
最新ニュース -
『アウトレイジ』続編で三浦vs西田 たけし演じる前作主人公は「実は生きていた」
最新ニュース -
木村佳乃、涙のブルーリボン 生田斗真は「ほかの人がやらないことやりたい」と決意
最新ニュース -
丸刈りで登場の加瀬亮 戸田恵梨香の暴走に「ハメられています」
最新ニュース -
たけし、初の倉本聰ドラマに「見事な脚本。怒られない出来の芝居を」
最新ニュース -
苦情続出のキャスト陣に北野監督毒っ気回答連発
最新ニュース -
カンニング竹山 主演作初日挨拶で北野監督新作タイトルを3連呼
最新ニュース -
北野武監督インタビュー キタノはいかにして加瀬亮を“ヤクザ”に仕立て上げたのか?
最新ニュース -
モナもシビれた! 北野監督作『アウトレイジ』女性座談会
最新ニュース -
【カンヌレポート 最終回】バルデム受賞にペネロペ涙! 最高賞はタイ作品
最新ニュース -
【カンヌレポート 04】たけし、批評家の採点は辛口も観客からは5分の拍手の嵐
最新ニュース -
世界のキタノ、ヤクザ映画でカンヌへ殴りこみ! 『アウトレイジ』コンペ出品決定
最新ニュース -
たけし帰国会見 仏芸術文化勲章最高章は「黒澤さんが貰ったやつ、すげえ」
最新ニュース -
“いい人”加瀬亮がヤクザ役でマジギレ!? たけし最新作、題名の意味は“極悪非道”
最新ニュース
この記事の写真
/