ティム・バートン監督インタビュー 数あるヘンテコキャラの中で最も共感したのは?
19歳のアリスが白うさぎを追いかけ、穴に落ちた先に広がっていたのは、ニヤニヤと笑うチェシャ猫が姿を現しては消え、青い芋虫が哲学的な問いを投げかけてくる“不思議の国”だった——。ジョニー・デップ&ティム・バートンによる7度目のコラボレーションで話題の『アリス・イン・ワンダーランド』は、名作小説「不思議の国のアリス」に着想を得たファンタジー。幼い頃、アンダーランドと呼ばれる不思議の国を旅したアリスが再び同地に舞い戻り、住民たちの運命を賭けた戦いに巻き込まれていく…。この中でジョニーが演じているのは、ヒロインのアリスを導き、時には身を挺して守る謎の帽子屋・マッドハッター。来日したティム・バートン監督に直撃したところ、彼は企画の初期段階からマッドハッターをジョニーに演じてほしいと考えていたそうだ。
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19歳のアリスが白うさぎを追いかけ、穴に落ちた先に広がっていたのは、ニヤニヤと笑うチェシャ猫が姿を現しては消え、青い芋虫が哲学的な問いを投げかけてくる“不思議の国”だった——。ジョニー・デップ&ティム・バートンによる7度目のコラボレーションで話題の『アリス・イン・ワンダーランド』は、名作小説「不思議の国のアリス」に着想を得たファンタジー。幼い頃、アンダーランドと呼ばれる不思議の国を旅したアリスが再び同地に舞い戻り、住民たちの運命を賭けた戦いに巻き込まれていく…。この中でジョニーが演じているのは、ヒロインのアリスを導き、時には身を挺して守る謎の帽子屋・マッドハッター。来日したティム・バートン監督に直撃したところ、彼は企画の初期段階からマッドハッターをジョニーに演じてほしいと考えていたそうだ。
「マッドハッター役には最初からジョニーを想定していた。原作小説のマッドハッターは単なる奇妙なキャラクターとして描かれているけれど、今回の映画ではマッドハッターというキャラクターに奥行きを与えたかったんだ。可笑しさ、面白さ、怒り、哀しみといった人間らしい要素をもたらすのに、ジョニーほどぴったりの俳優はいない。ジョニーとは話し合いをし、一緒にキャラクターを作り上げていくことが多いのだけど、今回も外見を決め、メイクを決め、衣裳を決め…と段階を踏んで話し合っていった。時間のかかる作業だけど、僕たちはいつもそのプロセスを楽しんでいるよ」。
ティム・バートンとジョニー・デップの盟友関係は誰もが知るところ。とは言え、「友達だから起用しているわけじゃないよ」と笑う。
「配役の際に一番重要なのは、ジョニーに合う役かどうかを考えること。アーティストとしての感覚を保つためには、お互いにそういった意識を持っていなくてはならない。彼に合う役でなければオファーしないし、彼も引き受けないだろうからね」。
また、キャストには、バートン監督の私生活のパートナーでもあるヘレナ・ボナム=カーターも。いまやバートン作品の常連女優となったヘレナだが、本作ではアンダーランドを支配する残忍な独裁者、赤の女王を演じている。この強烈なキャラクターも、ジョニーの場合と同様、話し合いのプロセスを経て作り上げたのだろうか?
「もちろん、僕自身が最初から思い描いていたアイディアもあるけど、優れた役者は自分から何かを役にもたらすことができる。だからこそ、優れた役者たちと映画を作るのは楽しいんだ。赤の女王にヘレナ自身も反映されているかって? それはなかなか答えづらいけど(笑)、僕は映画に登場する悪役たちになぜか心惹かれるんだ。悪役というものには、好きになってしまう要素がたくさんあるからね。アンダーランドの悪者たちも同じで、悪い中にもどこか親しみを持てる部分がある。その一方、アン・ハサウェイ演じる白の女王のように、良い人間にもどこか得体の知れない奇妙さがあるんだ」。
確かに、アンダーランドの住民たちは、得体の知れないキャラクターばかり。キッチュなシルクハット&ジャケットに、目の覚めるような赤毛が奇怪なマッドハッターはもちろん、シュールな会話を繰り広げる太っちょの双子も、赤の女王の打倒を誓う小さなヤマネも、どこかヘンテコだ。そんな中、監督自身が最も共感を覚えるキャラクターはどれなのだろう? もちろん、監督として、全てのキャラクターを愛してはいるだろうが…。
「その通り。監督は全てのキャラクターを愛し、彼らに共感しないとね(笑)。例えば、アリスは日常生活の中で、自分は社会に適応できない人間なのではないかと悩んでいる。その気持ちは僕自身にも理解できるものだ。一方、マッドハッターに関して言えば、クレイジーで型破りな彼のパーソナリティには大いに共感できる。また、チェシャ猫を描く際には、“猫ってヘンな生き物だな”と常々思っていた僕自身の感覚を取り入れている(笑)。その中で、あえて共感という言葉に限定して選ぶなら、マッドハッターのクレイジーぶりと赤の女王が抱える怒りに共感を覚える部分が大きいかな」。
作品を語る際、バートン監督が愛情たっぷりに用いる単語「クレイジー」。想像力が豊かで、それゆえ社会への適応に不安を隠せないアリスは、亡き父親から「素晴らしい人間は皆、正気じゃないさ」と諭された記憶を胸に生きている。その台詞は、バートン監督からの愛の言葉でもあるかのようだ。
「僕にとって、その台詞はすごく重要な意味を持っている。僕自身、子供の頃から“ちょっとおかしい”と周りや教師に言われ続けてきたからね(笑)。でも、僕は自分のことをおかしいと思ったことは全くないし、僕が尊敬する偉人たちも世間に“おかしい”と言われてきた。台詞自体は脚本家のリンダ・ウールヴァートンが書いたものだけど、映画のテーマにとても合っていると思った。ファンタジーの世界で活躍することによって、現実世界で直面している問題に対処しようとするアリスに素晴らしさを感じたんだ」。
また、現実の問題にぶつかり、ファンタジー世界を旅するアリスが19歳なのも物語の鍵だと言う。
「19歳は幼過ぎず、大人過ぎず、おかしな年頃だと思う。僕自身も、19歳は難しい年頃だった。自分を見出せないという意味でね。だから、アリスが自分を見出すため、アンダーランドに戻るにはいい時期だと思ったんだ」。
『アリス・イン・ワンダーランド』は、全ての19歳と、19歳を経験した全ての大人たちに贈られるティム・バートン流のラブレターなのだ。
「大人のアリス」特集
http://www.cinemacafe.net/special/alice
「マッドハッター役には最初からジョニーを想定していた。原作小説のマッドハッターは単なる奇妙なキャラクターとして描かれているけれど、今回の映画ではマッドハッターというキャラクターに奥行きを与えたかったんだ。可笑しさ、面白さ、怒り、哀しみといった人間らしい要素をもたらすのに、ジョニーほどぴったりの俳優はいない。ジョニーとは話し合いをし、一緒にキャラクターを作り上げていくことが多いのだけど、今回も外見を決め、メイクを決め、衣裳を決め…と段階を踏んで話し合っていった。時間のかかる作業だけど、僕たちはいつもそのプロセスを楽しんでいるよ」。
ティム・バートンとジョニー・デップの盟友関係は誰もが知るところ。とは言え、「友達だから起用しているわけじゃないよ」と笑う。
「配役の際に一番重要なのは、ジョニーに合う役かどうかを考えること。アーティストとしての感覚を保つためには、お互いにそういった意識を持っていなくてはならない。彼に合う役でなければオファーしないし、彼も引き受けないだろうからね」。
また、キャストには、バートン監督の私生活のパートナーでもあるヘレナ・ボナム=カーターも。いまやバートン作品の常連女優となったヘレナだが、本作ではアンダーランドを支配する残忍な独裁者、赤の女王を演じている。この強烈なキャラクターも、ジョニーの場合と同様、話し合いのプロセスを経て作り上げたのだろうか?
「もちろん、僕自身が最初から思い描いていたアイディアもあるけど、優れた役者は自分から何かを役にもたらすことができる。だからこそ、優れた役者たちと映画を作るのは楽しいんだ。赤の女王にヘレナ自身も反映されているかって? それはなかなか答えづらいけど(笑)、僕は映画に登場する悪役たちになぜか心惹かれるんだ。悪役というものには、好きになってしまう要素がたくさんあるからね。アンダーランドの悪者たちも同じで、悪い中にもどこか親しみを持てる部分がある。その一方、アン・ハサウェイ演じる白の女王のように、良い人間にもどこか得体の知れない奇妙さがあるんだ」。
確かに、アンダーランドの住民たちは、得体の知れないキャラクターばかり。キッチュなシルクハット&ジャケットに、目の覚めるような赤毛が奇怪なマッドハッターはもちろん、シュールな会話を繰り広げる太っちょの双子も、赤の女王の打倒を誓う小さなヤマネも、どこかヘンテコだ。そんな中、監督自身が最も共感を覚えるキャラクターはどれなのだろう? もちろん、監督として、全てのキャラクターを愛してはいるだろうが…。
「その通り。監督は全てのキャラクターを愛し、彼らに共感しないとね(笑)。例えば、アリスは日常生活の中で、自分は社会に適応できない人間なのではないかと悩んでいる。その気持ちは僕自身にも理解できるものだ。一方、マッドハッターに関して言えば、クレイジーで型破りな彼のパーソナリティには大いに共感できる。また、チェシャ猫を描く際には、“猫ってヘンな生き物だな”と常々思っていた僕自身の感覚を取り入れている(笑)。その中で、あえて共感という言葉に限定して選ぶなら、マッドハッターのクレイジーぶりと赤の女王が抱える怒りに共感を覚える部分が大きいかな」。
作品を語る際、バートン監督が愛情たっぷりに用いる単語「クレイジー」。想像力が豊かで、それゆえ社会への適応に不安を隠せないアリスは、亡き父親から「素晴らしい人間は皆、正気じゃないさ」と諭された記憶を胸に生きている。その台詞は、バートン監督からの愛の言葉でもあるかのようだ。
「僕にとって、その台詞はすごく重要な意味を持っている。僕自身、子供の頃から“ちょっとおかしい”と周りや教師に言われ続けてきたからね(笑)。でも、僕は自分のことをおかしいと思ったことは全くないし、僕が尊敬する偉人たちも世間に“おかしい”と言われてきた。台詞自体は脚本家のリンダ・ウールヴァートンが書いたものだけど、映画のテーマにとても合っていると思った。ファンタジーの世界で活躍することによって、現実世界で直面している問題に対処しようとするアリスに素晴らしさを感じたんだ」。
また、現実の問題にぶつかり、ファンタジー世界を旅するアリスが19歳なのも物語の鍵だと言う。
「19歳は幼過ぎず、大人過ぎず、おかしな年頃だと思う。僕自身も、19歳は難しい年頃だった。自分を見出せないという意味でね。だから、アリスが自分を見出すため、アンダーランドに戻るにはいい時期だと思ったんだ」。
『アリス・イン・ワンダーランド』は、全ての19歳と、19歳を経験した全ての大人たちに贈られるティム・バートン流のラブレターなのだ。
「大人のアリス」特集
http://www.cinemacafe.net/special/alice
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