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山田孝之、小池栄子、美波インタビュー 翻弄し、翻弄され…男vs女 恋愛本音トーク

『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の原作者としても知られる女性作家・本谷有希子の同名小説を映画化。『乱暴と待機』は男女4人の淫靡にして滑稽、奇妙にして危険な関係を見つめた異色ラブストーリーだ。2005年に発表され、その後小説が刊行された本作に、美波、小池栄子、そして山田孝之の豪華実力派が出演。劇中では山田さんと小池さんが夫婦を演じ、彼らが美波さん扮する曰くありげな隣人女性と絡んでいってしまうのだが…。

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『乱暴と待機』 美波×山田孝之×小池栄子  photo:Yoshio Kumagai
『乱暴と待機』 美波×山田孝之×小池栄子 photo:Yoshio Kumagai 全 9 枚
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『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の原作者としても知られる女性作家・本谷有希子の同名小説を映画化。『乱暴と待機』は男女4人の淫靡にして滑稽、奇妙にして危険な関係を見つめた異色ラブストーリーだ。2005年に発表され、その後小説が刊行された本作に、美波、小池栄子、そして山田孝之の豪華実力派が出演。劇中では山田さんと小池さんが夫婦を演じ、彼らが美波さん扮する曰くありげな隣人女性と絡んでいってしまうのだが…。

山田孝之「この物語に出てくる人たちは全員動物っぽい」

まずは、あずさ役の小池さん。あずさは子供を妊娠中だが、高校時代の同級生の近所に夫婦で引っ越してきたのを機に運命を大きく狂わされてしまう。
「あずさは普通の女性が抱く感情の流れに反していないキャラクター。そういった意味では分かりやすく、『素直な子なんだな』と思いましたね。寂しくて孤独なのに、最も関係してほしくないタイプの女性と夫が関係してしまう。そのときに抱く不安や嫉妬、苛立ちは理解できました。感情の示し方がちょっと暴力的過ぎる気はしましたけど(笑)」。

その“最も関係してほしくないタイプの女性”こそが、美波さん演じる近所の元同級生・奈々瀬。スウェットの上下に丸眼鏡姿で、どこかおどおどと挙動不審の奈々瀬は、浅野忠信扮する男性・英則に軟禁されている身。何やらワケありの英則と奇妙な同居生活を繰り広げる一方、あずさ夫婦と関わっていくのだが、「最初に台本を読んだとき、すぐに奈々瀬を理解することはできなかったです。喋り口調も妙だし、『何なんだろう?』って…」と美波さんは笑う。「原作を読んだり、撮影を通して徐々に役を固めていった感じですね」。

そんな2人の女性を翻弄し、翻弄されるのが山田さん扮する番上。妻のあずさに頼りっぱなしの無職男・番上は、奈々瀬の特異な存在感に興味を示し、やがて彼女を誘惑する。山田さんの意見はこうだ。
「番上に限らず、この物語に出てくる人たちは全員動物っぽい。素直に生きていて、いいんじゃないですかね。現実の世の中では、そういった動物っぽさだけでは生きられませんから。それがぐぐっと濃縮して描かれているから特殊に見えるけど、本当は当たり前に起こり得ることをやっているだけの人たちでもあるのかな、と思いました」。

英則に軟禁される奈々瀬、奈々瀬に夫を寝取られるあずさ、あずさがいながら奈々瀬を誘惑する番上…。山田さん曰く「動物っぽい」キャラクターたちが織り成す人間模様は、一見複雑怪奇でありながら、実は単純明快でもある。
「お互いの間にルールはあるんですよね。例えば、奈々瀬と番上さんの間には“承諾”のルールがある。ひとつの社会がそれぞれの間に出来上がっているんです」と美波さん。

それに対し、山田さんは「そういう意味では、僕は番上と英則の関係性が興味深かったですね。すごく近くにいるのに、お互いをどう見ているのか全然分からない(笑)」。

「そうね。男性同士って何を考え合っているのか想像がつかないし、気になるな。その点、あずさと奈々瀬は分かりやすいと思うんですよ。男が絡んでゴタゴタするという…」と小池さんも同調した。

では、山田さん自身の目に英則はどう映るのか。男性としての意見は?
「ウザいし、関わりたくはないですけど面白いんじゃないですか? 付き合っている相手を束縛する人は世の中にいるし、それの度が過ぎているだけかも」。

さらに、男性の立場で番上も分析していただこう、と山田さん自身と番上の共通点を尋ねると、「その質問、多いですね!」と美波さんから指摘が。これに対し、山田さんは「俺は世間的にイメージがあまりよくないから…」と苦笑するが、もちろんそうではない。共通点を尋ねずにはいられないほど、リアルで説得力ある山田さんの演技が素晴らしいのだ。これには小池さんも賛同。
「私も山田くんは天才だと思いました。昔からテレビで見ていてお芝居の上手い方だなあと思っていたけど、その天才ぶりを実感させられた撮影現場でしたね」。ということで、山田さん。番上をどう思いますか?
「俺も若い頃は後先考えずに遊んだこともありましたけど、いまはないです。番上は人の気持ちを理解してなさ過ぎですよね。ちょっと酷いです」。

すると、「だって、奈々瀬をかばったもんね!」と“妻”の小池さんから鋭い切り込みが。奈々瀬との不倫現場をあずさに押さえられた番上は、驚きの行動に出るのだ。山田さんはこう解説する。
「あれはきっと、番上の中で切り替えのスイッチがカチッと入ったんです。『ヤバイ、ヤバイ、どうしよう…。何か言い訳しなきゃ!』と焦っていたのが、『あっ。でも、この人(奈々瀬)はこの人(あずさ)に責められている! 助けなきゃ!』とふっと気づく。僕も最初は理解できなかったんですけど、監督からは『番上は考えて何かをするのではなく、自然にやる男』と言われていた。だから、そういった番上らしさが出る場面なんだろうなと考えました」。

小池栄子「でき過ぎる男性って苦手なんです」

そんな番上のことを「あずさは『悔しいけど、好きだわ』と感じたと思います」と小池さん。
「私自身、でき過ぎる男性って苦手なんです。男の人は子供がそのまま大人になった感じで、時には失礼だったり、非情なことをするのもアリなんじゃないかなって」。

一方、「私は嫌〜(笑)」と首を振る美波さん。「何か、自分のプラスにならない気がする」とバッサリ斬った。

ならば、奈々瀬はどうか。男たちの関心を引き、女たちから疎まれる奈々瀬は典型的な“女の敵”なのだろうか。まずは、演じた美波さん自身が「関わりたくないですね」と笑いながら一言。小池さんが言葉をつないだ。
「男が絡んでいなければいいんですけどね。実は、原作者の本谷さんが『奈々瀬は私です』と言っていたんです。本谷さんとはもう付き合いが深いので、私もその主張にはすごく納得させられているんですけど(笑)、それでも私は本谷さんが好きだし、魅力を感じる。ただし、恋愛が絡むと嫌いになるかもしれませんよね」。

そして、異性としての奈々瀬について、山田さんに貴重な意見を求めると、「嫌ですよ、うざったい(笑)」と断言。続けて、鋭い見解を示した。
「奈々瀬はこちらが球を投げても全部スカッと通り過ぎていくような女性。その点、あずさの方がキャッチボールはできそうですよね。とは言え、どの女性を見ていても、その中にあずさと奈々瀬はいるなと僕は感じています」。

ドキリとさせられる一言と共に、“男女談義”終了。男とは? 女とは? 愛とは? 性(さが)とは…? 本音トークを繰り広げてくれた3人の意見と共に、『乱暴と待機』の世界をじっくりどっぷり味わってみてほしい。



特集『乱暴と待機』 私、メンドクサイ女?
http://www.cinemacafe.net/ad/ranbou/

《photo:Yoshio Kumagai / text:Hikaru Watanabe》

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