「闇金ウシジマくん」山田孝之インタビュー 「嫌われるのは結構好きですね(笑)」
この男、いったいいくつの顔を持っているのか? つい先ごろ公開された『乱暴と待機』では「下半身のルーズな」(※劇中の実際のセリフ)ダメ男を演じたかと思えば、その公開直後にスタートした深夜枠のドラマでは一気に“闇金”という非合法な世界へ。外見もガラリと変えてトゴ(10日で5割の利息。もちろん違法!)で金を貸し付け、債務者たちを絞り上げていく社長・丑嶋を演じている。一種の“ダークヒーロー”にも見えるこのウシジマという男をどのように作り上げ、ここで繰り広げられる金を巡る悲喜劇をどのように見つめているのか?
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「頭の中で土下座してる債権者を踏みつけるシミュレーションをした」
ドラマへの主演は4年ぶりだが、当の本人は「ドラマを離れていたっていう感覚は全くない」といつものマイペースな口調。企画の進行が早い映画の仕事が続いていたが、その一方で「ゴールデンの時間帯に比べて金はかけられないけど、その分、クリエイティブなことができる深夜ドラマで何かやりたいという気持ちはあった」とも。原作は「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館刊)で連載中の漫画。髪を30センチも切り、メガネも自前で用意してを原作のイメージに近づけたという外見がクローズアップされがちだが、丑嶋という男の内面をどのように捉え、演じたのか?
「最初はとにかく無機質なイメージでしたね。よく言えば侍みたいな男と言えるのかも。ただ一つのことをひたすらやっている。だからこそ怖く見えたり、すごい男に見えたりするのかな、と。具体的に演じる上では、丑嶋のヤバさに関して『金属バットを他人の頭めがけて振り下ろせる人間』という設定があって、そういう気持ちは常に持つことを意識してましたね。土下座している債務者の頭をガチガチと踏みつける。自分の頭の中でシミュレーションして『そういうことができる男なんだ』と気持ちを作っていきましたね」。
だが山田さん自身、丑嶋は“違法者”ではあるが、単純な“悪”だというレッテルを貼ることはない。
「そもそも俺は、一方的な正義とか悪というものは存在しないと思ってる。いや、みんな自分自身の正義のために戦っているというか…。自分にとって正しいことが他人には悪であることもある。それは人間本来の姿でもあると思ってるから。特に丑嶋に関しては、ドラマではこの人の過去やら背景やらってのは全く描かれていないんですよね。この人がものすごく“変な”存在で、でもその変な部分についての説明はない。だから僕も、悪とか正義とかではなく、見えるままの男として捉えればいいのかな、と。あんまり深く考えず。先日、原作者の真鍋(昌平)さんに会ったときに真鍋さんが丑嶋について『虫みたいな存在にしたかった』と仰ってて。虫って形も変で感情もなくて、それが欲や願望が渦巻いた人たちの中に入ったらすごく変な画になるんじゃないかって。それを聞いたとき、自分のアプローチは間違ってなかったな、と思いましたね」。
「お金はこの世で最強の兵器」
一見、特殊な…だが現代社会において、もしかしたら我々の日常と紙一重のところに存在する“闇”の出来事を通じて人間の欲望や醜さ、生きることのおかしみをつぶさに描いていく本作。山田さんは言う「お金ってこの世で最強の兵器だと思う」。その真意は——?
「目の前に拳銃と札束があって、どちらが強い? と単純に尋ねたら銃かもしれない。でもお金っていうのはそういう状況すら作らせないような強い力を持っている。この作品を見て思うのは、丑嶋という男は金に執着し、金の力だけ信じているからこういう男になったし、債務者たちは金が持つ力や強みを全く理解していないからああなってしまう。金というものがいかに恐ろしいものか知らな過ぎるんですよ」。
それは今回の作品を通じて感じたこと? と尋ねると「いや、元々ですね(笑)」とそっけない。これがこの男らしさとも言えるのだが…。しかし、これだけ目まぐるしく、全くタイプの違う役柄を演じていく中で、役を通じて自身の内面が変わっていくことはないのだろうか?
「それはありますね。実際、作品を撮る前と撮っている最中、撮り終えた後で、インタビューで言ってることも全く違ってたり。それは、やっている最中に“自分”を捨てよう、消そうと思っているからでしょうね。それこそ口調や態度が変わる部分もあるし。だから、俺が女だったら絶対に俳優と付き合いたくないな、と思います。『言ってること違うじゃん!』、『しょーがねぇだろ、気持ち違うんだから!』って(笑)。それは、作品が終わってもすぐに抜けるものでもないし。でも俺は、それが楽しいからいいんですけど。自分に飽きないんですよ」。
「ダメ男の役をやって『あいつ、最低だな』って言われたら…」
それがこの男の“変身”の秘密なのか? 自分で楽しみつつ、周囲の反応も楽しんでいる節も…。
「結構、人に嫌われるのは好きですね(笑)。ダメ男の役やって『あいつ、最低だな』って言われたら『へへへへ』って。『いいひと』って言われるよりも、何か気に食わないけど、でもまあ芝居は嫌いじゃないって言ってもらえたら嬉しいですね。まあ本当に嫌われたら見てももらえないでしょうが…」。
『乱暴と待機』で“変な人たち”と一緒に仕事をし、「闇金ウシジマくん」で自身、“変な人”を演じつつ「変な人、面白い人が多いですよね。そういう人たちと一緒に仕事したいですね」と真顔で答える。やはりこの男も“素”で十分におかしな男だと思うが…。嫌いになるか、抜け出せなくなるか? 山田=丑嶋くんをまずは一見あれ!
「闇金ウシジマくん」
MBS・TBS他で放送中
http://www.mbs.jp/ushijima/
《シネマカフェ編集部》
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