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桐谷美玲インタビュー 2つの役から垣間見える素顔 模索の中でつかんだ成長

「全部美玲」——。ポスターの中央には映画のタイトルよりも大きな文字でそう書かれている。彼女は「恥ずかしくてしょうがないです(笑)」と頬を赤らめるが、このキャッチコピーそのまま主演作2本立てとなる『乱反射』、『スノーフレーク』には、等身大の桐谷美玲の笑顔、涙、戸惑い、怒り、恥じらいなど、青春のさなかの瑞々しい感情が全てつまっている。この2作を含めて今年だけで映画公開作は5本とまさに引っ張りだこ。作品ごとに確かな成長を見せる彼女の素顔に迫った。

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『乱反射』『スノーフレーク』桐谷美玲 photo:Naoki Kurozu
『乱反射』『スノーフレーク』桐谷美玲 photo:Naoki Kurozu 全 6 枚
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「全部美玲」——。ポスターの中央には映画のタイトルよりも大きな文字でそう書かれている。彼女は「恥ずかしくてしょうがないです(笑)」と頬を赤らめるが、このキャッチコピーそのまま主演作2本立てとなる『乱反射』『スノーフレーク』には、等身大の桐谷美玲の笑顔、涙、戸惑い、怒り、恥じらいなど、青春のさなかの瑞々しい感情が全てつまっている。この2作を含めて今年だけで映画公開作は5本とまさに引っ張りだこ。作品ごとに確かな成長を見せる彼女の素顔に迫った。

自らの高校時代の思いを反映させた歌人・志摩

『乱反射』で彼女が演じたのは、女子高生にして歌人として活躍する志摩。師匠でもある母親から「誰か」を想う気持ちを詠むようにと言われるも、それができず、付き合っていた恋人ともうまく関係を築くことができずに思い悩む。女子高生にして歌人という変わった設定ではあるが、桐谷さんは彼女の内面に、自らも経験した感情を見出していた。その一方で、彼女が感じている“孤独”についても思いを巡らせる。

「高校生の頃、私も志摩ちゃんと同じように、仲間に入れなくなったりすることや、ひとりだけ違うことがすごく怖くて、グループは絶対一緒という意識がすごくありました。そういう感情やあの頃感じた痛みや失恋の哀しみを思い出しながら一歩ずつ近づいて行きましたね。監督と話したのは『歌人である志摩ちゃんは、ちょっとみんなとは違った視線で世界を見ているんだろうね』ということ。実際、(原作の)小島なおさんの歌集を読んで、私たちが普通に過ごしている日常をこんな見方で見ることができるんだ、という発見がありました。違う視線で世界を見ているからこそ、みんなと違うことが怖くもあって、歌人であることを打ち明けられなかったんだろうと思います」。

劇中、高島礼子演じる母は、志摩を気遣い彼女の悩みに耳を傾け、そして時に厳しい言葉を投げかける。実は桐谷さん自身、悩んだり壁にぶつかったときに、真っ先にその思いをぶつけるのは母親だという。
「悩むことはよくあります(苦笑)。どうしていいか分からなくなったり…特に毎回、新しい作品に入る前はすごく不安で『私、できないんじゃないかな…?』と思ってしまいます。そうやって不安に思ったらまず、母に相談します。そうすると『そうだよね』と耳を傾けてくれるんですけど、それだけじゃなくて『でも…』と必ずアドバイスをくれるんです。それがいつも私にとってはすごく大きくて、それを聞いて頑張ろうって思えたり、乗り越えられることが多いんです」。

これまで演じてきた役のせいか、気の強そうなイメージを持たれがちだが、インタビューで垣間見せる素顔、そして役と向き合う姿は慎重かつ繊細だ。『スノーフレーク』で演じた真乃は自身と同じく大学生。「意志が強くて、自ら行動し、ちゃんと自分の思いを伝えられる子」と分析するが、桐谷さん自身は志摩と真乃、どちらにより近いのだろう?
「半分半分ですね。結構、私も頑固なところはあります。本当に信頼して仲良くなった人にしか本当の気持ちを明かさないところは志摩ちゃんに似てると思うし…やっぱりちょうど半分ずつ入ってますね(笑)」。

「芝居をすることが楽しくなってきた」

2つの作品に共通しているのが、ヒロインと幼なじみの男性の関係性。異性という垣根を越えて、気兼ねなく思いをぶつけられる関係性はうらやましくもあるが…。
「うらやましくてしょうがないですね。私、高校でも女の子とばかり一緒にいて、大学も女子大なので男友達っていないんですよ! 男子にはいつも『壁を感じる』って言われちゃって…(苦笑)」。

では、桐谷さんとしては同世代の男子たちとワイワイやるのはOKということ?
「あ…でも私、基本的には年上の男性が好きなんです。グイグイ引っ張っていってくれるタイプ」。なるほど…やはり一筋縄では行かないようだ。

先述の通り今年だけで公開作が5作。等身大の役柄から風変わりなヒロインまで新たな作品に出るたびに全く違った表情を見せてくれるが、経験を重ねていく中での成長を自ら感じ取っている。特に、女優としての転機として、妊婦役を演じた『ジーン・ワルツ』での経験を挙げる。
「自分の中で一番変わったと思える作品ですね。菅野(美穂)さんに浅丘(ルリ子)さん、南(果歩)さんとたくさんの先輩方とご一緒させていただいて、本当に多くのことを学びました。最初は陣痛でいきむ感じもうまくできずにいたんですが、南さんに声を掛けていただいたり、ある重要なセリフについて浅丘さんが『ここは低いトーンで言った方が効くんじゃない?』とアドバイスを下さって、やってみたら『すごく良かった』と褒めていただいたり。そういうことがあって、この作品以降、芝居をすることが楽しくなりましたね」。

とはいえ、まだまだ「自分の作品は恥ずかしくて観られない」とのこと。
「完成したときや(ドラマの)放送のときに1度観て、『ああすれば良かった』とか『こうできたんじゃないか?』と思いながら次の現場に行って、共演者のみなさんの演技を見ながらまたいろいろ感じてメモしたり」。まさに等身大の女の子。悩める女優の模索はまだまだ続きそうだ。

《photo / text:Naoki Kurozu》

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