小林聡美×加瀬亮×原田知世インタビュー それぞれが胸に秘める“オアシス”の意味
小林聡美、加瀬亮、原田知世。この3人の俳優に共通するのは、なぜかほっとする、なぜか親しみやすい、心の隙間を埋めてくれるような人間力──。そんな魅力的な3人が集まった『東京オアシス』もまた、悩める現代人の背中をそっと押してくれるような、一歩踏み出す手助けをしてくれるような、温かな映画だ。『かもめ食堂』『めがね』『プール』『マザーウォーター』に続いての主演となる小林さん、『めがね』以降の常連キャストである加瀬さん、今回が初参加となる原田さんに、『東京オアシス』がなぜ温かい映画なのかを語ってもらった。
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──小林さんが主演されてきた過去4作は、シリーズではないものの、人生を豊かにする、気持ちを温かにする、そんなパワーを持った作品ですよね。まず、それぞれが演じたトウコ、ナガノ、キクチというキャラクターについて、台本から感じ取った印象を聞かせてください。
小林:私の演じたトウコは女優なんですが、映画の中で劇中劇をするというわけではなく、たまたま職業が女優だったという設定。ひとりの人間として描かれています。仕事に行き詰まって、周りの考え方と自分の考え方が噛み合わず、思い詰めてしまう、とても真面目な女性。で、仕事場から逃げ出してしまうんですね。一見、不真面目そうだけれど、実は正直で嘘をつけない性格だと思って演じていました。
原田:キクチという女性も真面目な女性だと思うんですよね。周りからは順調にいっているように思われているけれど、自分のなかで疑問が生まれてしまったことで立ち止まって、(再び)歩き出すまですべてを止めてしまうんです。そして、トウコさんとの再会によって背中をふっと押してもらったような女性です。個人的にこれまでの作品を観ていましたので、オファーをもらったときは純粋に嬉しかったというか。過去4作の映画を観て感じていた空気感は、今回の作品にもありましたね。
加瀬:僕の演じたナガノという青年は、特に買いたいものもないのにコンビニで買い物をして、アイスを食べても美味しくなくて…という、心が止まっているというか、この先どうしていいのか分からず、いつの間にか出口に出られなくなってしまったような人です。
──それぞれが大なり小なり悩みを抱えていて、トウコと出会うことで、彼女も彼女と出会うナガノもキクチも変化を迎えるわけですよね。人は出会いによって様々なことに気づくものなんだと、観ている側も一歩を踏み出したくなりました。映画に絡めて、自分はこんな出会いで変わったという経験談を聞かせていただけたらと。
加瀬:仕事がそういう出会いの場になっているような気がします。たとえば、昨年の『アウトレイジ』や『海炭市叙景』など、自分が予想もしなかった役を演じさせていただいたことで、思ってもいない道が拓けています。
小林:そうよね、私たちの仕事って毎回が出会いのようなものだと思う。作品を通しての人との出会いはもちろん、役との出会いもあるし。いただいた役に対して自分は何ができるのか、どこまでできるのかとか。今回の映画で気づいたことは──自分の大切な人とちゃんと向き合って話をする、そういう機会って大事なんだなと思ったんですよね。友だち同士みんなで賑やかに楽しい時間を過ごすのももちろん楽しいけれど、大切な人が本当はどういう気持ちでいるのかを知ったりすることも大切。
原田:私もそれはなんとなく思っていたことで…。誰かと向き合って話をしているうちに、自分の本当の気持ちが見えてきて、気持ちの整理がつくことってありますよね。相手を通して自分を探せるというか。今回演じたキクチという女性は、まさにその瞬間が描かれているんです。トウコさんと出会ったことで、自分自身で気づき始めていたことに気づく。だから共感する部分もありました。ものすごく長いセリフでしたけど(苦笑)。
──たしかに、映画館でのトウコとキクチの会話は、ものすごくセリフが多かったですよね。
原田:しかも台本9ページ分をほぼ1カットで撮影しているんです。
加瀬:僕だったら、あんなに長いシーン、放棄します(笑)。
原田:私もあんなに長いセリフのある映画だと思っていなかったんです。これまでの作品は、どちらかというと間とか空気感のある映画だと思っていたので(笑)。でも、聡美さんとは初共演だったけれど、撮影自体は1日しかご一緒していないのに、もっと長く一緒にいたような、グッと近くにいたような、それがとても嬉しかったんですよね。(人との関わり方は)長さではなく、深さなんだなと、とても濃密で貴重な経験でした。
小林:あのシーンは、ほぼ原田さんのセリフなんですが、共演相手が長台詞のときは、こっちが間違えられない! って、緊張するんです(笑)。ただ、原田さん的には大変なシーンだけれど、ふっと楽になれるシーンでもあって、周りの人を感じないような雰囲気に包まれていたなと。
原田:あの長台詞を乗り越えられたことで、自分自身も一歩進めた気がします。「できた!」っていう達成感がありましたね。それから、トウコさんと聡美さんが重なる部分もあったんです。きっと私自身も聡美さんにああいう話ができるんじゃないかなって。お芝居ではあるんですが、聡美さんが話している言葉が自分の中にスッと入ってきた。その感覚はこのシーンを作るうえで重要だったと思っています。
加瀬:僕は自分のパートが終わった時点で、後の2つのエピソードは気楽に観ていたんですけど(笑)、ナガノが見ていたトウコと、キクチが見ているトウコの顔(表情)が全然ちがうのには驚きました。重いものを抱えていたトウコが…ああ、よかったなと。キクチさんのシーンでは、もたい(まさこ)さんが出てきて、笑っちゃったり。それにしてもあの役、ずるい(笑)。
小林:そうそう、私も次はああいう役をやりたい!
──ああいうポジションの小林さんも観てみたいです(笑)。最後に、なぜ、この映画のタイトルは『東京オアシス』なのか? という問いについてのそれぞれの見解を聞きたいです。
加瀬:東京に住んでいる人はみんな砂漠を抱えていて、マイナス×マイナス=プラスというか、悩みを話して×悩みを話して=一歩進んでいるのかなと思います。オアシスというのはマイナスからできているっていう皮肉なんでしょうか(笑)。
小林:哲学っぽいけど加瀬くんらしい(笑)。私は、(自分たちが生きていく場所がオアシスであってほしいという)決意なのかもしれなって思うんですよね。東京で生きていく人たちそれぞれのオアシスって何だ? っていう問いかけでもあるのかなと。
原田:“東京”と“オアシス”、一度聞いたら忘れられない組み合わせではありますよね。聡美さんと同じで、映画を観て、自分のオアシスって何だろうな? って、そんなふうに考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。
《photo:Shinya Namiki / text:Rie Shintani》
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