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『フライトナイト』C・ギレスピー監督 傑作恋愛映画の次に未知のホラーに挑んだワケ

1985年、古典的となっていた“吸血鬼モノ”に新たな風を吹き込み、不動のジャンルとして確立させた伝説のホラー『フライトナイト』。ホラーファンに愛されてきたこの一作が四半世紀を経て、『フライトナイト/恐怖の夜』として3Dで甦った。オリジナルファンの期待を背負う形で本作に挑んだのは、『ラースと、その彼女』で一躍脚光を集めた気鋭、クレイグ・ギレスピー監督。ホラーは全く未知の領域だった彼がなぜ、いまこの映画のリメイクに挑もうと思ったのか? 話を聞いた。

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『フライトナイト/恐怖の夜』クレイグ・ギレスピー監督 -(C) Dream Works II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.
『フライトナイト/恐怖の夜』クレイグ・ギレスピー監督 -(C) Dream Works II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved. 全 3 枚
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1985年、古典的となっていた“吸血鬼モノ”に新たな風を吹き込み、不動のジャンルとして確立させた伝説のホラー『フライトナイト』。ホラーファンに愛されてきたこの一作が四半世紀を経て、『フライトナイト/恐怖の夜』として3Dで甦った。オリジナルファンの期待を背負う形で本作に挑んだのは、『ラースと、その彼女』で一躍脚光を集めた気鋭、クレイグ・ギレスピー監督。ホラーは全く未知の領域だった彼がなぜ、いまこの映画のリメイクに挑もうと思ったのか? 話を聞いた。

『ラースと、その彼女』では、リアルドールに恋してしまった内気な青年のラブストーリーと成長をユーモアたっぷりに描き、各国の映画祭で喝采を浴びたギレスピー監督。次なる映画として本作に挑む決め手となったのは、手渡されたマーティ・ノクソン(「バフィー 〜恋する十字架〜」)の脚本だったという。
「(脚本に描かれた)ヴァンパイアのキャラクターが特に気に入りました。カリスマ性があって、クレイジーな“プレデター”なんだ。こんなのはいままでに見たことがないし、ヴァンパイアとして変わっていて面白いと思った。ヴァンパイアが恐怖だった時代は、人々はヴァンパイアを捕まえようとしたんだよね。今回の映画には捕まえるところはなかったけど、ピッチフォーク(鍬)を持って退治に行くとか、そんなシーンがあっても面白かったかもね。それとマーティの脚本では、ホラーとユーモアを見事にミックスしてみせた部分がとても気に入ったんだ。私は作品の中に観客が参加できるような雰囲気を作り出すのが好きだけど、可笑しいと捉えるのか、それとも悲惨だと捉えるのか、恐いと捉えるのか、その部分は観る人々に判断してほしい。それぞれ観た人が異なる個人的な解釈を映画に持ち込んでくれたら最高だよね」。

数々の大作を手がけるドリームワークス製作による本作は「前作よりも規模も描く世界もずっと壮大」と話す監督だが、環境の変化による弊害はなかったのだろうか?
「彼らはこのジャンルの映画を撮る実力が未知数の私を全面的に信頼してくれた。作品のトーンを大切にすることは、それを大切にする作品において一番難しいことだけど、会社がサポートしてくれているということをしっかりと認識していなければ、多すぎるコックで一つの料理を作るような状態になってしまう。そして、作品の効果はいとも簡単に弱まってしまうもの。本当に必要なのはフィルムメイカー1人だけのビジョンを保つことだけど、ドリームワークスは私を全面的にサポートして、そういう状況を確保してくれた。また、キャスティングや撮影現場においても、私に大きな選択権を与えてくれたんだ」。

その中でフィルムメーカーとしての新たな挑戦となったのが、3D撮影によるホラー作り。曰く「カメラをキャラクターの一人として扱うこと」は未知なる体験だったそう。
「私のこれまでの作品は、演技力がものを言うものだったから、カメラはできるだけその存在を気づかれないように扱う必要があった。しかしこの映画では、カメラが主要キャラクターとして機能し、廊下や別の人物の周囲をこっそりと移動したりすることで、サスペンスや恐怖心や動揺をあおっている。実に楽しい撮影だったよ。また、3Dのカメラは40キロもあってとにかく巨大なので、手持ちカメラのように機動的に使えない。おかしな話だけど、この作品では古典的な撮影方式に逆戻りしたんだ。大掛かりな長いドリーを使って、あらゆる演技を1テイクで収めるためにカメラの動きを周到に決めていったんだ。そういう優美なモノ作りは楽しいものだよ」。

いわゆるホラー的な恐怖とユーモアを絶妙な按配でミックスさせ、勇敢なヒーローVSヒールの対決だけでなく、人間臭い青春ドラマで観る者を楽しませてくれる本作。その立役者である、アントン・イェルチンとコリン・ファレルについても監督は手放しで絶賛する。
「アントンは彼の演じるキャラクターに感情から入り込み、チャーリーの人生の旅路や成長という側面を出しきっている。この映画にあって真面目な男を演じるのは簡単なことではない。また、コリンのヴァンパイアもパーフェクトだったね。アントンが大人の男に成長しようとしている少年であるのに対して、コリンが演じたのは少年が挑戦しなければならないアルファマン(最優位のオス)。まさに2人の男が対峙するという極めて原始的なシチュエーションだ。コリンはヴァンパイアという意味でも、また本人も明確に優勢にある者を体現しており、カメラの前に立つだけで瞬く間に入り込んでしまう。決して恐れることなく、とても野性的な勘を働かせるんだ。同時に彼のキャラクターは、悪役としての楽しさがあることが重要だった。自分の行いに対してユーモア精神を持っていれば、残酷さを楽しんでいるように見えるからね。そういう部分を彼はしっかり掴んでいる。彼は残酷さを楽しんでいるんだよ」。

全く新しいホラー・エンターテインメントを完成し得たギレスピー監督は、もう向かうところ敵なし? 次はどんなフィールドで、どんなユーモアを我々に呈示してくれるのか、楽しみで仕方がない。

『フライトナイト/恐怖の夜』は3D/2Dで全国公開中。

特集:2012年最初のきもだめしにGO!『フライトナイト/恐怖の夜』
http://www.cinemacafe.net/ad/frightnight/

《シネマカフェ編集部》

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