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『ドラゴン・タトゥーの女』ルーニー・マーラ 世界が注目する女優が内に宿す“熱”

レッド・ツェッペリンの名曲「移民の歌」が女性ボーカルによる独特の甲高い声で響き渡ると同時に、コールタールのような真っ黒い液体が全てを覆い尽くしていく何とも形容しがたい映像が展開する。主人公・リスベットの「悪夢を表現した」(デヴィッド・フィンチャー監督)という鮮烈なシークエンスで『ドラゴン・タトゥーの女』は幕を開ける。同時にそれは、リスベットを演じたルーニー・マーラの華々しいキャリアの幕開けと言えるかもしれない。だが当の本人はそんな周囲の喧騒に流されることなく、己を冷静に見つめている。この物静かでシャイな26歳が、どのようにしてあの奇抜な外見と烈しい内面を抱えるリスベットと向き合い、彼女に同化していったのか——? 公開を前に初来日を果たした彼女に話を聞いた。

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『ドラゴン・タトゥーの女』 ルーニー・マーラ photo:Naoki Kurozu
『ドラゴン・タトゥーの女』 ルーニー・マーラ photo:Naoki Kurozu 全 6 枚
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レッド・ツェッペリンの名曲「移民の歌」が女性ボーカルによる独特の甲高い声で響き渡ると同時に、コールタールのような真っ黒い液体が全てを覆い尽くしていく何とも形容しがたい映像が展開する。主人公・リスベットの「悪夢を表現した」(デヴィッド・フィンチャー監督)という鮮烈なシークエンスで『ドラゴン・タトゥーの女』は幕を開ける。同時にそれは、リスベットを演じたルーニー・マーラの華々しいキャリアの幕開けと言えるかもしれない。だが当の本人はそんな周囲の喧騒に流されることなく、己を冷静に見つめている。この物静かでシャイな26歳が、どのようにしてあの奇抜な外見と烈しい内面を抱えるリスベットと向き合い、彼女に同化していったのか——? 公開を前に初来日を果たした彼女に話を聞いた。

デヴィッド・フィンチャーの手でスウェーデン発のベストセラーとなったミステリー小説が映画化されることが決まったとき、多くのハリウッド女優たちがリスベット役を熱望したと言われている。ルーニーのことを、監督の前作『ソーシャル・ネットワーク』で“主人公を振る元カノ”を演じた女優として憶えている人は多いだろうが、あの時点で世界的な期待がかかる監督の次回作で彼女が主人公を演じること、ましてやアカデミー賞主演女優賞にノミネートされることを予想した人などほとんどいなかっただろう。

2か月におよぶ長いオーディションを経てリスベット役を手にしたルーニー。彼女の持つ何がフィンチャー監督の琴線に触れたのか? 彼女自身の考えを聞いてみた。
「それは監督に聞いた方がいいかもしれないわ(笑)。ただこれは私の推測だけど、監督はかなり早い段階で私をこの役にと考えていたように思う。周りを説得するためにあれだけのオーディション期間が必要だったんじゃないかしら? そのプロセスで、私の中にリスベットと同じように絶対にあきらめないという資質を見出して確信を得たんじゃないかと思うわ」。

言葉数は決して多くはないが、そこにはただ謙虚なだけではない女優としての彼女の芯の強さ、自負が感じられる。と言いつつも、あの烈しさを抱えたリスベットと、はにかんだ表情で佇む目の前の彼女が同一人物とは信じられない…。彼女自身の中にもリスベットのような“熱”や“激情”はあるのだろうか?
「そうね(笑)、リスベットが持っている怒りや熱は、多かれ少なかれ誰の中にもあるものだと思う。ただ、私自身はリスベットはとても静かなキャラクターだと捉えているの。口数が少ない代わりに、彼女が言葉を発するとそれはすごい重みを持つことになる。静かな人間であるからこそ、彼女の怒りがすごく強いものに感じられるのかもしれないわね」。

自身を「完璧主義」と語るルーニー。監督やスタイリストと話し合いながら外見のみならず内面的にもリスベットに成りきり、様々な過激なシーンを演じる中で、彼女の思考や行動に深く共感していったようだ。
「もちろん演じながらリスベットと同じ立場に立って物事を考え、彼女と同じフィーリングを受けた部分はたくさんあったし、おそらく私自身、彼女と同じ状況に立たされたら同じ行動を取るだろうと思うわ。どの行動に対してというよりも彼女の存在そのものに共感しているの」。

女優を志したのはまだ小さな子供の頃。「映画が好きでずっと女優になりたいと思っていた」と明かすが、念願かなって26歳にして大きなチャンスのしっぽを掴んだ。改めてこれまでのキャリアをふり返りこう語る。
「正直、まだまだやりたいことはたくさんあるし、学ばなくちゃいけないことも残っていて、何かを成し遂げたという気持ちは全然ないわ。“現在進行形”という感じね。これからも複雑で興味深い役柄を演じられることを願ってるし、尊敬する監督と自分が観て楽しいと思えるような映画を作りたいと思ってるわ」。

すかさず「尊敬している監督は?」と畳み掛けるも、困ったような笑みを浮かべ「いっぱ居すぎて『この人』と言うことはできないわ」とかわす。ようやく聞き出したお気に入りの映画作品は1970年代の名作『ペーパー・ムーン』。本作とは打って変わった陽気なムードのロードムービーの世界に彼女が身を置いたら…と期待は膨らむが、もうひとつ期待したいのが本作の続編のゆくえ。既に続編製作決定のうわさも流れるが、ルーニー曰く「私が知る限りではそこまでは決まってない」とのこと。ぜひとも彼女自身の手でこれからもリスベットを成長させていってほしい。

《photo / text:Naoki Kurozu》

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