深川栄洋監督、撮影中は香里奈、麻生久美子らのガールズトークにタジタジ?
奥田英朗による人気の連作短編小説を映画化した『ガール』の女性限定試写会が東京・神宮前のレストラン「COPON NORP」で5月14日(月)に開催。上映後にはメガホンを握った深川栄洋監督と脚本を手がけた篠﨑絵里子、モデルの堀内葉子によるトークショーが行われた。
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香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏をメインキャストに迎え、4話の短編をひとつの物語にまとめ上げた本作。恋愛にオシャレ、仕事、出産、子育てなどそれぞれに悩みを抱えながらも、たくましく生きる“ガール”たちの姿をキュートに描き出す。
男性でありながら女性の心理や感性を鋭く、ユーモラスに描き出した深川監督だが「原作を読んで『女の人はこんなことを考え、悩んでるんだ』と面白く、かわいらしく感じました」と明かし「この映画でみなさんを応援してあげられるようになっていれば。イタリアの女性が30〜40歳になって初めて“大人の女”と見られるように日本もなっていけばいいなと思って作りました」と女性に向けた“応援歌”であることを強調した。
篠﨑さんも「女の人は20代、30代、40代とみんな大変だと思うし、ほかの人が良く見えたり自分がダメだと感じたりすることもあると思います。でもみんな必死で白鳥のように水面下でジタバタしてるってことを感じ、“女である”というだけで分かり合える仲間がいっぱいいると感じていただけたら」と脚本に込めた思いを語った。
堀内さんから「どのように女性を理解していったのでしょうか?」と尋ねられた深川監督は「理解できないです(苦笑)」と即答。香里奈さん演じる由紀子の恋人で、向井理が演じた女心の機微が全く分からない男・蒼太を例に「僕も彼のように(女性から)聞かれたことに答えたら『それは理屈だ』と言われて怒られた経験があります」と告白し、笑いを誘っていた。一方の篠﨑さんは「由紀子は自分があの年代だったときの気持ちそのままの存在。彼女のモノローグは私の心の叫びです」と明かすなど、まさに自身の思いを込めながら執筆したようだ。
撮影の現場について深川監督は「これだけの女優が揃うということで苦労を想像してたんですが、アットホームで和やかな雰囲気でした。4人が揃うシーンで女優同士の意地のぶつかり合いがあったらどうしよう? って心配してたらそんなことは全くなくて、僕の話を聞かずに話してる(笑)。ガールズトークに男が入ってはいけないというのを感じました」とエピソードを披露。篠﨑さんからは声の小さい監督の演出が“つぶやき演出”と呼ばれていることが暴露され会場は笑いに包まれた。
劇中に「100回生まれ変わっても、100回とも女がいい」というセリフが登場するが、堀内さんは「女の子でいることはこの人生で楽しんで、次は違う世界を楽しみたい」と男性に生まれ変わりたいという願望を明かす。深川監督は「正直、生まれ変わらなくていいと思ってます。生きるって大変だとつくづく思うので…」とボヤキ気味に語りつつ「二者択一なら男がいい。この作品を撮ってみて、女性って大変だなと思いました」と正直な胸の内を語った。
ちなみに会場に集まった女性客の希望はほぼ半分ずつといったところ。“女性派”のひとりが「面倒くさいことも多いけど、選択肢も多い気がします」と語れば、別の女性は堀内さん同様に「未知の体験をしてみたい」と“男性”を希望。深川監督は「男性も大変ですよ」と前置きしつつ「男性はボーっとしてるから、長い期間での目標はあるかもしれないけど、女性の方が『今日、何着ていこう?』とか短い距離で楽しめる気がする」と語り、堀内さんも「確かに女性の方が瞬間、瞬間を楽しめるかもしれませんね」と頷いていた。
最後に、深川監督は「これだけ女性が社会に進出しているのに苦しんでいるのは、男性が作り上げた社会、システムの中に入って活躍しているから。この映画を撮ってそれに気づいたのでぜひ、男性にも観てほしい」と反省を込めて(?)映画をアピール。篠﨑さんも「男性は“会社ごっこ”が好きなんですね(笑)。そのシステムの中で苦しいけど、気負わずにしたたかにやっている女性も多い気がします。嫌になることも多いと思いますが、仲間がいると元気になれる映画になっていればいいと思います。身近な男性と観に行って、女性はこう思ってるんだよと会話するきっかけになれば嬉しいです」と語りかけた。
なおこの日は、招待客に映画をイメージして“ガール”と名付けられたノンアルコールのカクテルがふるまわれ、観客は映画を観終えた心地よい興奮の中で、カクテルを味わいながらトークに耳を傾けていた。
『ガール』は5月26日(土)より全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》
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