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玄里meets監督・チャン・テユ 韓国大ヒットドラマのルーツは日本にあり!?

女優・玄里が匠の素顔に迫る! 対談インタビュー番外編となる今回登場してくれたのは、世宗大王の治世を新たな視点でとらえたミステリー時代劇「根の深い木‐世宗大王の誓い‐」のチャン・テユ監督。東京で開かれた国際ドラマフェスティバルにて特別賞を受賞した本作が、韓国で大ヒットしたのはなぜなのか? 授賞式のため来日したチャン監督がその理由について聞かせてくれた。

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「根の深い木‐世宗大王の誓い‐」玄里さん対談
「根の深い木‐世宗大王の誓い‐」玄里さん対談 全 4 枚
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女優・玄里が匠の素顔に迫る! 対談インタビュー番外編となる今回登場してくれたのは、世宗大王の治世を新たな視点でとらえたミステリー時代劇「根の深い木‐世宗大王の誓い‐」のチャン・テユ監督。東京で開かれた国際ドラマフェスティバルにて特別賞を受賞した本作が、韓国で大ヒットしたのはなぜなのか? 授賞式のため来日したチャン監督がその理由について聞かせてくれた。

玄里:韓国でも視聴率がとても良かったと聞きましたが、今回はそれによる受賞でしょうか?

チャン:視聴率がもっといいドラマもありましたが、このドラマは人々に歴史的な意味を与えた作品だったんです。視聴率よりも価値が評価されたんだと思います。今回は有名な作家が台本を書いてくれたんです! ドラマ「宮廷女官 チャングムの誓い」のキム・ヨンヒョンさんです。そのキムさんを筆頭に、映画『JSA』の原作者で映画シナリオ作家として有名なパク・サンヨンさんも書いてくれました。映画『高地戦』のシナリオも書いた人です。この2人がタッグを組み、さらにその下に3人のアシスタントがいました。この5人がチームを作って、私が準備に着手する前から準備を始めていました。

玄里:「チャングムの誓い」と言えば、日本ではみんな知っていますよ。

チャン:韓国で一番有名な時代劇作家なんです。「根の深い木」の前には「善徳女王」を書いています。

玄里:父がよく見てました!

チャン:その作品も大ヒットして、その年のドラマ賞を独占しました。2年に一度のペースで作品に入られるんですが、そのタイミングが私とピッタリ合ってこの作品をやってくれたんです。

玄里:監督もこれまで様々な作品を撮っていますよね? 例えばどのような作品がありますか?

チャン:「不良主夫」や日本の「101回目のプロポーズ」もリメイクしました。

玄里:本当ですか? 一度、ぜひ見てみたいです。

チャン:それから漫画が原作の「銭の戦争」というドラマも私です。「根の深い木」の前は「風の絵師」というドラマでも演出を担当しました。キム・ホンドとシン・ユンボクという絵師の話です。

玄里:いつからこのお仕事を始めたんですか?

チャン:プロデューサーになったのは1998年です。14年前ですね。演出をやらせていただくようになったのは2005年です。まだ7年程度ですね。

玄里:その間にもう有名作品を4つも手がけられたんですね。もともと演出家になりたかったんですか?

チャン:私は美大で視覚デザインを専攻していたんです。その当時は、CMの監督になろうと思っていました。そして映画監督へと夢が変わり、いまではドラマの監督をしています。ストーリーテリングのある映像を作るのが夢だったからです。

玄里:監督はどういうときに一番のやりがいを感じますか? 撮影時ですか? 準備中ですか? それとも賞をもらったときですか?

チャン:撮ったものが放送されて、見た人が「良かった」と言ってくれたときです。放送されたときに視聴者のリアクションが聞こえてきますよね。視聴者の意見とか電話をもらったりして、周りの人が良かったと言ってくれると、自分でも良かったなとやりがいを感じます。

玄里:でも、放送している期間は撮影期間と重なっていますよね? 

チャン:携帯にメールが来るんです。カカオトークやフェイスブックやツイッターなどのSNSが最近はよく使われるので、リアクションに接しやすいわけです。

玄里:今回一番嬉しかった言葉は何ですか?

チャン:「いいドラマを作ってくれてありがとう」と年配の方から携帯に連絡をいただいたんです。私の父は還暦を過ぎていますが、その父の友人で先生をしている人からでした。幼いときしか会ったことがないのに、携帯にメールをくれたんです。「いいドラマを作ってくれてありがとう」って。本当にビックリしました。

玄里:私たち世代からおじいちゃんおばあちゃんまで、みんなで見られるドラマですよね。

チャン:その点がやはり視聴率よりも高い評価を受けたようです。特に普通、韓国の男性はあまりドラマを見ません。会社帰りにはお酒を飲みに行ったりすることが多くて、家に居ないから平日のドラマを見られないんです。でも、男性たちがこのドラマをわざわざ見てくれたんですよ。独特の現象でした。

玄里:最近、韓国では時代劇が流行しているようですがそれはなぜでしょうか?

チャン:おそらく現代物が多すぎるんだと思います。その多い中からいいドラマに出会うのが難しいんです。時代劇はどんなに多いと言っても、現代物のように同時に何作も制作はされません。時代劇はワンシーズンに作品と言えるものが一作出てくる程度です。歴史の話で実在の人物が出てくるから、人々は真剣に受け止めてくれるんです。私たちが新聞を読むのと同じです。政治の話が面白くて新聞を見るのではなく、政治家は実在の人物で、自分の暮らしに影響を及ぼすから関心を持つわけです。韓国の人は政治に高い関心を持っています。歴史の話は一種の政治ストーリーだとも言えて、帝王が権力を握るとか、李舜臣(イ・スンシン)が将軍になるまでを描いた英雄談などが多いです。だから、一度興味を持つと熱心に見てくれるんだと思います。

玄里:ただ面白いから見るのではなく、歴史ドラマって自分の日常や人生に影響を与えるものですよね。だからより大きな感動があって、さらに感情移入もできるんですよね。特に日本の人も韓国ドラマと言うと、ラブストーリーとか、ロマンティックコメディなど、非日常的な展開の恋愛ドラマを連想する人が多いですよね。そういうイメージが大きいと思うんですが、このドラマでは恋愛はそれほどの比重はないですよね?

チャン:恋愛に関する部分は弱めでした。チェユンとソイが愛し合う関係でしたが、ストーリーの大きな流れは、イ・ドとこのパネルにはいないチョン・ギジュンとの対立だったのでいろいろ悩みました。こちらだけでもドラマが成立しますし、イ・ドの話だけでもドラマが成立するんです。だから軸をどこに置けばいいのかドラマの最初に作家たちと話し合って、結局イ・ドを選択したんです。これはハングル文字誕生を描いたドラマだし、「根の深い木」はハングル文字誕生を巡る過程から話が展開しているので、そこに集中することにして世宗大王の話になりました。むしろ、それが良かったんだと思います。

玄里:そこが新鮮でした!

チャン:ドラマの放送中に韓国では国会議員を選ぶ総選挙があったんですが、人々が政治に関心をもつ時期に理想的な政治指導者がドラマの中に登場したんです。国民のための政治、民衆と意思疎通を図るためのハングル文字の考案、これを巡って士大夫(サデブ)と争うんです。士大夫とは、現代的に言えば長期に渡って政権を握ってきた与党のようなものです。善良な指導者が巨大な政治勢力と争って勝つところを目にしたわけです。英雄的な政治家の姿が人気を呼んだようです。

玄里:日本でもNHKの時代劇がありますが、ご覧になったことはありますか?

チャン:私は以前、「女人天下」というドラマの助演出をしていました。全150話のドラマでした。その当時のキム・ジェヒョン監督が日本のドラマをたくさん見ている人でした。お宅に伺うと3千を超えるドラマが書斎にあって、そのうちの80%が日本の時代劇でした。それらを見てたくさん研究されていました。私は韓国ドラマの技術は日本からかなり入ってきていると思うんです。撮影や演出の技法などですね。だからとても参考になりました。

玄里:好きな日本のドラマや映画はありますか?

チャン:岩井俊二監督の『Love Letter』('95)は大学のときに何度も観ました。『リリイ・シュシュのすべて』('01)も観ました。いつか岩井監督のように映画監督になりたいと思っています。岩井監督の感性が大好きなんです。それから日本のドラマや映画の音楽も素晴らしいものが多いです。特に久石譲さんのアニメ音楽はとてもいいですよね。ジブリスタジオで作られたアニメは、名作がたくさんあります。それを見て韓国の時代劇関係者たちは、日本の音楽監督とタッグを組んでお仕事をしたいとよく思っていました。私も久石譲先生や坂本龍一さんに接触を試みたことがあります。2年前の「一枝梅(イルジメ)」というドラマの音楽監督は日本の人でした。

玄里:そうなんですね。日韓合作にも関心をお持ちですか?

チャン:はい、関心ありますね。SBSも日韓合作のTV映画「ラブストーリー」をやりました。7〜8年前の作品だと思いますが後が続かないんです。何か新しい方法や突破口が必要ですね。

玄里:私も日韓合作映画に出演したことがあるのですが、言葉が通じないからワンカットに対して時間が2倍かかるんです。だから大変な面もあります。

チャン:でも、韓中合作は増えているんですよ。

玄里:そうなんですか?

チャン:韓国の俳優が中国でスターになるケースがあるんです。韓国ではスターじゃなかったのに、中国ドラマに出演してスターになって韓国に戻ってこない俳優もいます。中国ではいまたくさんのドラマ制作が始まっています。そこから一つの突破口が出てくると思います。そのような形で日本とも作業ができると考えています。日本はドラマをあらかじめ撮っておく事前制作スタイルですよね。そこにも大きな違いがあると思います。

玄里:では最後に「根の深い木」を見る日本のみなさんにメッセージをお願いします。

チャン:このたび日本で「根の深い木」DVDが発売になり本当に光栄です。多くのみなさんに見ていただいて、韓国のハングル文字や世宗大王について新しい認識が生まれたら嬉しいです。

日本のドラマや映画、そして音楽にも傾倒の深いチャン監督。チャン監督の作品に日本人アーティストの音楽が乗せられる日もそう遠くないかもしれない。

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公式サイト:http://nenofukaiki.jp/

© SBS

《シネマカフェ編集部》

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