シネマカフェ的海外ドラマvol.261 音楽とドラマのステキな関係 第3回
前回までは、大人気ドラマ「glee/グリー」における音楽の役割をクローズアップしてきましたが、今回は「glee/グリー」に続く音楽ドラマをご紹介。日本放送も始まったばかりの新作「SMASH」に注目していきます。
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海外ドラマの世界でもすっかりおなじみの巨匠スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務める「SMASH」は、演劇界の内幕を描くヒューマンストーリー。ニューヨークのブロードウェイを舞台に、演劇界に生きる人々の愛、友情、欲望、嫉妬、野心を巡るドラマが展開していきます。主軸となる物語は、伝説の女優マリリン・モンローを題材にした新作ミュージカルの製作が始まり、上演に向けて様々な人たちの思惑が動き出すというもの。マリリン役を目指して争う女優たち、企画を発進させたものの創作の壁にぶち当たる作詞作曲家コンビ、作品を手がけることになったクセ者演出家、上演を実現させるべく資金集めに奔走するプロデューサーら、バラエティに富んだキャラクターたちが一つの舞台に翻弄されていきます。
そもそもブロードウェイのミュージカルを題材にしたドラマですから、本編に音楽があふれているのは当然のこと。マリリン役を争う女優たちはもちろん、様々な登場人物たちの本格的なパフォーマンスが劇中で楽しめます。中でも注目は、女優の卵から一転、荒削りな才能を認められてマリリン候補の一角に躍り出るカレン役のキャサリン・マクフィー。日本でも人気のオーディション番組「アメリカン・アイドル」の準優勝者であり、その美貌と歌唱力でオーディション中から視聴者の間で“マクフィーバー”を巻き起こした彼女が、瑞々しい歌声で夢見るヒロインの情熱を表現します。ちなみに、カレンが第1話の冒頭で披露する「Over The Rainbow」は、『オズの魔法使い』に登場する名曲であるのはもちろん、「アメリカン・アイドル」中、名物審査員のサイモン・コーウェルがキャサリンに歌わせ、あまりにも素晴らしいパフォーマンスに全米が熱狂した運命のナンバー。マリリン役のオーディションに参加し、その歌声で関係者たちをたちまち魅了したカレンの姿にキャサリン自身のサクセスストーリーが重なることからも、粋な選曲のように思えます。
ただし、付け加えておきたいのは、「SMASH」はパフォーマンスを楽しむだけのドラマではないということ。「glee/グリー」が青春ストーリーの枠組みの中で“グリー部”という要素を上手く機能させているように、「SMASH」はヒューマンストーリーの枠組みの中で“ブロードウェイ”という要素を巧みに機能させています。スピルバーグ自身が「演劇界の内幕はどんな感じだろう?」という興味から企画を発進させたことを公言していることもあり、あくまでも業界内幕ドラマとして楽しめるのが「SMASH」。しかも、エピソードが進むにつれ、すなわちストーリー内で新作ミュージカルの製作が進むにつれ、使用されるオリジナル楽曲の登場も必須となってくるわけですから、まさに“音楽とステキな関係にあるドラマ”と言えるのではないでしょうか。
「SMASH/スマッシュ」
BS無料チャンネル「Dlife」にて日本独占放送中
【吹替版】毎週土曜21:00〜22:00
【字幕版】毎週金曜23:00〜23:54
来春DVDリリース予定
発売・販売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
公式サイト:http://www.smash-tv.jp/
© 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.
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