【MOVIEブログ】女性のための新作官能映画:『ヒステリア』
今回は“女性のための官能映画”というテーマにぴったりの、素敵な新作映画『ヒステリア』(4/20公開)をご紹介します。
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こちらの映画、“100万ボルトのエクスタシー”というキャッチフレーズが意味するとおり、女性のための大人のオモチャ誕生を実話に基づき描いた物語です。そしてそれは一方で、抑圧を余儀なくされてきた女性たちの解放を爽やかに謳う物語でもあるのです。
19世紀、ヴィクトリア朝時代のロンドン。使命に燃える若き医師モーティマー・グランビルは、勤めている病院の前時代的な医療に反論したことで職を失い途方に暮れていた。新たな職探しに出かけたグランビルは、ひょんな事から女性医療の第一人者ダリンプル医師に気に入られて彼の元で働く事になる。ダリンプル医師の行う女性医療-それは、女性特有の病気と言われていたヒステリーの症状を性的快感により緩和するというものだった。この治療方法において頭角を現したグランビルは人気医師となり、医院は彼目当ての上流階級の夫人たちで溢れていた。ダリンプル医師の次女エミリーと婚約し医院の跡継ぎとなった順風満帆のグランビルだったが、医師の長女で自立した女性シャーロットの社会弱者に寄り添う生き方に触れ心動かされる。そんな折り、マッサージ治療のし過ぎでグランビルの腕が腱鞘炎になってしまい…。
タイトルの『ヒステリア』というのはヒステリーの意味。その昔ヒステリーは女性特有の病気だと思われており、真剣に治療方法が考えられたわけです。その一つがマッサージ治療でした。医者に言って股を広げてマッサージしてもらうという、一歩間違ったら風俗店という治療が真面目におこなわれていたというから驚きです。しかも一人で何人もの女性をマッサージして満足させるとは、もの凄いゴッドハンド!その神の手が腱鞘炎になってしまい(当たり前)、その代わりに電動マッサージ器が開発され現在の大人のオモチャまで脈々と受け継がれてきているというのは、感慨深いものがあります。できれば神業マッサージの方も脈々と受け継いでもらいたいものですが…。
この一歩間違えたらきわどいネタの映画を上品で爽やかにしているのがキャストたち。特にダリンプル医師の長女シャーロット役のマギー・ギレンホールがとても魅力的です。金持ち相手に商売をする父親に反発し下町の救済施設を手伝う、先進的で自立した女性を演じる彼女は現代女性たちも共感できる存在。マギー・ギレンホールといえば『ダークナイト』や『クレイジー・ハート』、『主人公は僕だった』などで、生きる目的を見失っている男性を包み込む暖かくて人間らしい女性を多く演じているのが印象的です。この作品もまさにそんな役どころで、強く明るく自立している太陽のような女性です。と言いつつ、個人的に彼女の出演作で一番好きな作品は、『セクレタリー』という弁護士と秘書の危ないSM的関係を描いた官能映画なのですが、そんなアブノーマルな演技もこなすところも器の大きさを感じます。
現在ではヒステリーは病気ではないと正式に認められ、大人のオモチャも世界中で広く愛用されるようになりました。夫との性生活に欲求不満をかかえ、それに伴う情緒不安定に病気というレッテルを貼られていた暗黒の時代は終わったのです。とはいえ、開発から100年以上経った今でも、大人のオモチャは女性にとってはまだまだ敷居が高いですよね。持っているなんて事をうっかり言ったら、好奇の目で見られる事は必死です。ただこの映画を観ているといつの日か、女性がドライヤーを持っているのと同じように大人のオモチャを持つようになり、それが本当の意味での女性の解放なのかもしれないと思うのです。
『ヒステリア』
(2011/イギリス=フランス=ドイツ=ルクセンブルク/ターニャ・ウェクスラー監督/PG-12)
2013年4月20日よりヒューマントラストシネマ渋谷、有楽町スバル座、シネマート新宿ほか全国順次公開
配給:彩プロ/宣伝:エスパース・サロウ
※イマジカBSの【ラブシネマ】枠のご紹介は、今週はお休みです。
《text:Lady M》
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