【MOVIEブログ】映画館を出た時に風景が違って見えること
今日はばったり『はじまりのみち』を観てきました。
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というのも、打合せ場所に向かって有楽町駅の近くを歩いていたら、見覚えのある人が前方から歩いてきて、普通だったらどっちかと言えばやり過ごす方なんですが、この人には声を掛けずにいられない。
涙のケツ作『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!アッパレ戦国大合戦』の監督、原恵一監督でした。ちょうど原さんの実写初監督作品『はじまりのみち』が公開されていたので、アニメから実写ってスゴイなと思っていたので、無理やり路上で捕まえてそんな思いをぶつけさせて頂きました。でも、言うだけ言って「でも、実はまだ観れていないんです…」と最後に言ったら、全然ズッこけてもいいのに、原さんは財布からやにわに何かを取り出して僕に渡してくれました。それが何と『はじまりのみち』のチケットでした。まさかそんな刀が出てくるとは思ってもみなかったので、恐縮して固辞したのですが、「いやいや、ちょうど誰かに渡さなきゃと思ってたから」と言ってくれたので、そこまで言われたら固辞するのも失礼と思い、しかと受け取りました。
いやぁ、感動しました。
その後の打合せはもう心もそぞろで、とにかく早く観に行こうと。
早く観ないと原さんに失礼だ。やばいやばい。
打合せ終わりですぐにその足で東劇に向かいました。
そして、観ました。
『はじまりのみち』
かつて大友克洋監督や押井守監督がアニメから実写に挑んできて、アニメ作品ほどには実写作品では力を発揮し得なかったのを目にしてきていたので、原さんは大丈夫なのか? と、正直かなり不安も感じていました。ところがところが、原さんのアニメ同様に(いや、もしかしたらそれ以上に)素晴らしい映画でした。もうファーストカットから素晴らしかった!
名匠・木下恵介監督を描いた物語なんですが、木下監督の物語とパラレルで木下監督作品の映像も流れてくるので、まずスタイルとして新しいとも思いましたが、そうすることでより作品のメッセージ性が強まるんですね。『ニューシネマパラダイス』にもそういうところはありましたが、『はじまりのみち』は流れてくるのが何しろホンモノの作品。涙なしには観られませんでした。そして、自然と人間のコントラスト。
いやぁ、感動しました。
クレヨンしんちゃんでご一緒してるときに「何かオススメ映画ないですか?」と訊いたことがあって、その時に原さんが答えてくれたのが木下恵介監督の『野菊の如き君なりき』でした。すぐにDVDで観たんですが、これがまた本当に素晴らしい映画で、今でもあの映画の中の川の情景が心の中で流れることがあります。『はじまりのみち』にはその『野菊の如き君なりき』の映像も流れていました。泣かないわけないでしょ。
そして、ラスト。そこである風景が映し出されるのですが、その風景には僕も思い入れがあって、心の中で思わず「青空侍」と囁きました。また泣きましたよ。映画館を出たときの風景がそれまでのものとは違って見えることってあるんと思うんですが、今日はまさにそれでした。世界が温かく見えて、さらには上を向きたくなる感じでした。空を眺めながら会社まで歩いて帰りました。映画は光と闇の芸術と言われますが、闇の先には必ず光があるものなのです。
原さん、素晴らしい映画ありがとうございました!
そして、チケットも。
やっぱり原さんは天才です。
【2013.6.27】
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