ヒットの秘密は少年とお弁当? 豪華絢爛のダンスもスターも“なし”、異例のインド映画
煌びやかなダンスや歌もなし、ビッグなスターのド派手すぎるアクションもない。そんな異例ともいえるインド映画『スタンリーのお弁当箱』が現在公開中だ。
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『スタンリーのお弁当箱』は、ある事情から学校にお弁当を持ってこられない男の子・スタンリーが主人公。彼はいつもクラスメイトたちを笑わせる人気者なのだが、昼食の時間になると、みんなのお弁当を尻目にそっと教室を抜け出していた。そんなスタンリーを、国語のヴァルマー先生は「お弁当を持ってこない子どもは学校に来る資格がない!」となじり、以来、スタンリーは学校に来なくなってしまう…。
クラスメイトとの友情や先生との関わりを通じて、スタンリー少年の健気さ、たくましさをまるでドキュメンタリーのようにリアルに描いた本作は、子どもたちの生き生きとした演技だけでなく、インド社会が抱える問題にも切り込み、本国でも大ヒットを記録した。
その要因は、何と言ってもスタンリー少年を演じた子役・パルソーくんの存在だ。パルソーくんは、本作の演技でインド最大規模の映画祭「ナショナル・フィルム・アワード」の「最優秀子役賞」を受賞。インドの天才子役として一気に知れ渡ることとなった。しかもこのパルソーくん、劇中で食い意地の張った国語教師を演じた、アモール・グプテ監督の実の息子で、監督はより自然な演技を引き出すために、演劇のワークショップと称してカメラを回していたという。
「最後まで映画を撮っているなんて知らなかったよ! 小さいカメラはあったんだけどね、ただ記録をとっているだけかと思っていたんだ。撮影が終わって、初めて映画だと知らされたよ!」とパルソーくんはふり返る。
また、本作のもう一つの主役は、子どもたちが持参するインドのお弁当だ。その中身はナンやカレー、チャパティーやサブジ(野菜のおかず)といった、いまにもスパイスの香りが漂ってきそうな家庭料理や、ヌードル、クラッカーを入れてくる子など様々。「お弁当箱っていうのは、インドの“小さな宇宙”です。いろんな地方や、階級の人たちがいるからね」とグプテ監督は言う。
先日、親子そろって来日した際には、築地を探索したり、日本食を堪能したりと忙しい中でも日本を満喫していた2人だが、「オズ(小津安二郎)、クロサワ(黒澤明)、ミゾグチ(溝口健二)、オオシマ(大島渚)…。特に小津監督の『秋刀魚の味』では、食べたり飲んだりしながら物語が展開していくよね。日本映画のそういう部分から、人生において食事をすることが大事だと教わったよ」と、グプテ監督は日本の巨匠たちに導かれて本作が完成したことを明かす。
そんな監督を父に持つパルソーくんの将来の夢は…というと、「映画を作りたい。実は今、ドキュメンタリーを作っているんだよ。後々は、長編映画を作ろうと思う! 映画の撮影をしているとき、僕はハッピーになれるんだ。100歳になってもカメラの前にいたい」と熱く語り、その映画づくりの精神は父親から学んだとも話してくれた。
共演してみたい女優は「アン・ハサウェイ、ジェニファー・ローレンスかな」と、その夢はすでにビッグ。これまでも、大ヒットした名作には必ずと言っていいほど、名子役が存在するだけに、本作も今年見逃せない作品の一つとなりそうだ。
『スタンリーのお弁当箱』はシネスイッチ銀座ほか全国にて公開中。
《シネマカフェ編集部》
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