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【シネマモード】満島ひかり&綾野剛『夏の終り』 夏から秋へ…切なさに浸る

夏から秋へ。そんな時期に観ておきたい『夏の終り』――。

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満島ひかり/『夏の終り』 -(C) 2012年映画「夏の終り」製作委員会
満島ひかり/『夏の終り』 -(C) 2012年映画「夏の終り」製作委員会 全 5 枚
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夏から秋へ。そんな時期に観ておきたい『夏の終り』――。

暦の上ではセプテンバー…日本は秋に向かっています。でも、まだまだ残暑厳しいこの時期。いまはまさに、“夏の終り”。勢いのあった暑さが徐々に和らいでいくこの時期には、ほっとさせられると同時に、独特切なさも感じるもの。そんな複雑な感情を引き起こすこの時期に、ぜひ観ておきたい映画、その名も『夏の終り』です。

原作は、瀬戸内寂聴が40歳で書き、90歳を過ぎた今も、自作の中で最も好きな作品の一つだと明言する同名の私小説。主人公の知子(満島ひかり)は、一回り上の作家・慎吾(小林薫)の愛人として8年間を過ごし、妻も認める仲。自宅と自分の家を週に半分ずつ過ごすため、行ったり来たりする慎吾と穏やかに暮らしていました。

ところが、12年前に恋仲だった涼太(綾野剛)が家を訪ねてきたことで、知子と慎吾の関係が揺らぎ始めます。かつて夫と子どもを捨てて、涼太と駆け落ちした過去を持つ知子は、2人の男の間で揺れ始めるのです。

知子を演じているのは、TVドラマ「Woman」でも注目を集める満島ひかりさん。20代の彼女が演じている知子ですが、原作ではアラフォー女性です。映画では演技派の満島さんが年齢に関係なく、女の性、業、迷い、独特の色気を持って、“女性”と言う生き物を見事に演じているのですが、原作を読めば、タイトルにある“夏”が、人生を春夏秋冬になぞらえていて、その一時期を描いているのだと感じることができます。

今回描かれているのは、8年という長い時間に築かれた関係性の華やかさや危うさ。そのただ中にいるときには揺るぎなくいつまでも続くように思われる恋愛であっても、人の関係というのは移ろいゆく季節と同じで、いつかは変わっていくもの。

人生における重要な関係性、そしてそこから生まれた苦悩を乗り越えたとき、またそんな経験の後に自分の道を見定めたとき、人は人生の一つの季節を終えたと言えるのかもしれません。

人生の夏から秋へ。そんな時期に主人公の知子が魅せるファッションも素敵です。爽やかな白地に青い縦縞が入った着物や、和を思わせる柄の入ったゆったりとしたワンピース、大きなボタンが印象的なドレスなどは、露出が少ないにも関わらず涼やか。

日本には昔から、素材や織り、色、柄で涼をとるという粋な文化があったことを思い出させてくれます。最近では、新開発の素材や、一年通して着る服なども多く出回っていますが、四季のある国に住んでいるからこそ、楽しめるファッションもあるはず。『夏の終り』で、いまの時期だから楽しめるファションを見つけてみるのもおすすめ。

人生の中の夏の終り、夏という季節の終り、映画でしみじみ味わってみてください。

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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