【美的アジア】最後に食べたい料理は大切な人との“愛の味”? 映画『最後の晩餐』
大切な人との“最後の晩餐”――あなたは何を食べますか?
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作品のテーマであるこの問いに、みなさんはどんな料理を思い浮かべるでしょうか? 中韓合作映画『最後の晩餐』(3月1日)は、料理を通して人生の、そして愛における甘さも苦さも酸っぱさもしょっぱさも、すべての味を教えてくれる、そんな映画です。
一流の料理人を目指すリーシンが、恋人のチャオチャオにプロポーズした日、食器デザイナーの夢を叶えたいからと「5年後、もし互いが独身ならば結婚する」と言われ別離契約を受け入れるところから物語は動き出します。
そんな別れる直前に食べた2人の思い出の味が、リーシンの作る「トマトとじゃかいもと干し筍のスープ」。
5年後、再会を果たした2人に起こる数々のシーンで鍵となるのがこのスープなのですが、作品資料にあるレシピには、どこでも手に入るトマト、じゃがいも、干し筍と、塩、酒、中華スープ、水とシンプルな材料のみが記載されています。
しかしながら、このスープ、実はかなりの万能料理! トマトには火を通しても失われにくいビタミンCが多く含まれ、がんや生活予防効果があると言われ、じゃがいもはしぼり汁が胃潰瘍や高血圧にも良い、など食べるお薬(=薬膳)としても期待できます。
また、スープの“赤色”は情熱、生命力を表し、体温を上げる作用があるなど、料理のビジュアルからもパワーがつきそうな一品です。
劇中、チャオチャオを思いながらこのスープを作るリーシンの姿は、優しくて切なくて胸に迫るものが…。男なのにチャオチャオより涙もろいリーシンを演じた、つぶらな瞳のエディ・ポンの純朴青年ぶりがさらに涙腺をゆるませます。それにしても、男性の料理を作っている姿っていいものですね。
また、チャオチャオが作る陶芸にも注目してみると、どれも丸皿や平面皿で、色も白か黒の限りなくシンプルなものばかりなのが目立ちます。“リーシンの料理が映える皿を”との思いが込められているようで、いつも強気なチャオチャオの女性らしさが垣間見られます。中国美女バイ・バイホーの強そうでいて脆く、危うい芝居が女性から見ても共感できる部分があるのではないでしょうか。
こんなにも互いに思い合っている2人が5年の時を超えて、どうなっていくのかは映画をご覧いただくとして…時が経っても変わらない、この映画のもうひとつの主役である“スープ”のように、私たちの人生になくてはならない“一品”は何かを、改めて考えさせてくれる映画『最後の晩餐』。心にもお腹にもじっくりと沁みわたることでしょう。
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