31年ぶり快挙の浅野忠信、トロフィーは「いい重み」モスクワ国際映画祭で男優賞
熊切和嘉監督の『私の男』が第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門で最優秀作品賞と最優秀男優賞の2冠を達成…
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発表当日は熊切監督、浅野さんともに仕事のスケジュールが合わず、授賞式出席はかなわなかった。浅野さんは銀色のトロフィーを初めて手にし「いい重みですね」と思わずニンマリ。カメラマンから持った状態でガッツポーズを求められると、「いや、本当に重くて無理なんですよ(笑)」と照れ笑いを見せていた。
記者から「トロフィーをどこに置くのか?」と質問されると、「こういうものを管理するの、すごく苦手なので、会社でキチンと管理してもらいます。家に置いたら、倒しちゃいそう(笑)」と話していた。
発表が行われたのは6月28日(現地時間)のこと。モスクワ国際映画祭で日本人俳優が最優秀男優賞を受け取るのは、故加藤嘉さんが第13回(1983年)『ふるさと』以来31年ぶり。また、日本映画が最優秀作品賞に輝くのは、第21回(1999年)の故新藤兼人監督作『生きたい』以来15年ぶりの快挙となった。今年度のコンペティション部門には日本映画としては『私の男』1本が選出されていた。
改めて受賞の感想を聞かれた浅野さんは「不思議な感覚であり、ビックリする気持ちも。でも、嬉しいとしか言いようがないですね。(俳優業を)やってきて良かった」と感無量の面持ち。「仕事への取り組み方や情熱など、海外での仕事で学んだことも多いので、海外から評価をいただき、自分なりに間違っていなかったなと噛みしめている」と達成感をみなぎらせた。
第138回直木賞を受賞した桜庭一樹のベストセラー小説を原作に、家族を失った少女(二階堂さん)と遠縁の親せきを名乗る男(浅野さん)が繰り広げる禁断の逃避行を描く。ある殺人事件を機に、寄り添うように生きた北海道・紋別から東京へ逃げ出した2人に秘められた真実とは?
“堕ちていく男”を熱演した浅野さんは、「ずっと模索していた30代の最後に出会った役で、強い思いを持ちながら、嫌になるまで熱くなれる役柄だった。監督やスタッフにワガママも言ったが、存分にのめり込んだ」と熱弁。受賞を経て「今後、どこまでできるか楽しみ。いいチャンスをもらえたので、この気持ちを持続させるのが課題」と決意を新たにしていた。
二階堂さんとの共演については「ふみちゃんのあふれる力がなければ、この役柄はありえなかった。感謝しております」。当の二階堂さんは「子どもの頃から憧れの俳優さんだったので、共演させていただけるなんて…。尊敬する映画人であり、大切なことを言葉ではなく、背中で教えてくれた」と感激しきりだ。ちなみに今回の快挙を知った二階堂さんの母親は「次は主演女優賞ね」と、二階堂さんに発破をかけたのだとか。
また、熊切監督は台北で映画祭の審査員を務めている都合で、会見は欠席し“Skype”での中継参加となった。「受賞を知ったのはタクシーの中。大声で叫んでしまって、運転手さんに怪訝な顔をされてしまった。これからは、より覚悟をもって監督業に邁進したい。まだ詳しく話せないが、次回作の構想もあります」(熊切監督)。
モスクワ国際映画祭では昨年、大森立嗣監督の『さよなら渓谷』が審査員特別賞を受賞している。
《シネマカフェ編集部》
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