【シネマカフェ的海外ドラマvol.314】第66回エミー賞直前企画vol.1 「True Detective」徹底分析
“テレビ界のアカデミー賞”と称されるエミー賞の授賞式が、来たる8月25日(現地時間)に開催。7月10日には各部門のノミネートが発表されました。そこで、今回からはエミー賞授賞式前に知っておきたい作品をピックアップ。
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
1本目は、ドラマ・シリーズ部門の「作品賞」「監督賞」「脚本賞」そして主演のマシュー・マコノヒーとウディ・ハレルソンが揃って主演男優賞にノミネートされた「True Detective」(原題)。何よりもまず、注目しておきたい最重要シリーズです。今年に入ってすぐ、ケーブルテレビ局HBOで全米放送開始。記録的な高視聴率をマークするばかりか、同局の動画配信サービスがクラッシュするなど、注目度の高さを物語る現象を巻き起こしました。
タイトルから連想できるように、主人公は2人の刑事(Detective)。風変わりで陰鬱なラスト・コール(マシュー・マコノヒー)と良き家庭人で人当たりもいいマーティ・ハート(ウディ・ハレルソン)は、かつてバディを組み、ルイジアナで起きた猟奇的殺人事件を共に捜査する間柄でした。
その17年後、彼らが担当した事件に共通する手口の事件が発生。今や疎遠になり、それぞれ刑事を辞めて別の人生を生きている2人に警察からの協力依頼が舞い込みます。過去の事件と現在の事件には、どんな繋がりがあるのか? そして、疎遠になったラストとマーティの間に何が起きたのか? 17年前と現在を交錯させながら、物語は進んでいきます。
独特の雰囲気を持つルイジアナの風土、刑事たちを悩ませる猟奇的殺人事件、捜査にあたる者たちの心のドラマ。これらの要素を緊張の糸で繋ぎながら、ダークでサスペンスフルな作品世界を作り上げたのは映画監督のケイリー・ジョージ・フクナガ。
フクナガ監督と言えば、ミア・ワシコウスカとマイケル・ファスベンダーの『ジェーン・エア』や胸キュンさせられる社会派映画『闇の列車、光の旅』が日本でも公開済み。その彼がシーズン1全8話すべての演出を手がけています。
また、緻密で深遠なストーリーを描き上げたのは、小説家でもある新進脚本家ニック・ピゾラット。多くのTVシリーズは複数の監督、複数の脚本家が関わって製作されるものですが、「True Detective」ではこの2人が世界観を徹底してハンドリングしており、だからこそ“全8話の映画”とも言うべき濃密な作品が出来上がりました。
もちろん、監督と脚本家が思い描くものを具現化する実力派スター2人の存在も大きく、マシューとウディが揃って「主演男優賞」候補に挙がったのも大いに頷けるところ。どちらかと言えば、より目の離せないキャラクターを演じるマシューの方が受賞に近そうですが、仕草1つ、目線1つから交わし合う会話までいちいち素晴らしい2人の存在なくしてこの作品を語ることはできません。
すでにシーズン2の製作も始まっている「True Detective」ですが、新シーズンは物語の舞台も登場人物も変わるため、マシューとウディの出演はシーズン1のみ。ノミネートされた全部門を制覇してほしいと思えるほどの必見シリーズです。
■「生中継!第66回エミー賞 授賞式(HD二ヶ国版/同時通訳)」
8月26日(火)8:25~0:30
AXN・AXNミステリー同時生中継 ※ノンスクランブル放送
無料オンデマンド・サービス「AXN Plus」でも同時配信
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