【第87回アカデミー賞】“マイノリティ”にエール捧げた授賞式…感動スピーチに喝采
「16歳のときに自殺未遂した僕が、いまここに立っている。自分が変わり者で居場所がないと若者たちに伝えたいのは、『そのままの自分で大丈夫。輝くときが来る』ということ。その時が来たら、この言葉を次の世代に繋げてほしい」。
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第87回アカデミー賞授賞式の壇上でこう挨拶し、万雷の拍手を浴びたのが『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』で「脚色賞」を受賞したグレアム・ムーア。このほかにも、今年の授賞式は感動的なスピーチやパフォーマンスが多く、ひと言で言えば“マイノリティにエールを捧げた”授賞式だった。
今年、司会を務めたニール・パトリック・ハリスが開口一番に発したのは、「ようこそ、映画界を代表する白人たち(whitest)…ごめん、違った、名士たち(brightest)」という皮肉たっぷりの挨拶。演技賞候補20人すべてが白人だとして議論を呼んだ今年のノミネーションに対し、ハリス本人にも異論があったのだろう。
実際、作品賞候補だった『セルマ』(原題)でマーティン・ルーサー・キング牧師を熱演した英俳優のデヴィッド・オイェロウォは、「主演男優賞」候補になるべきだったという声がハリウッドでも多く聞かれる。それだけに、コモンとジョン・レジェンドが披露した『セルマ』の主題歌「Glory」の圧倒的なパフォーマンス、そして見事「歌曲賞」を受賞した価値は非常に大きく、オイェロウォが流した涙は美しかった。
『6才のボクが、大人になるまで。』で「助演女優賞」を受賞したパトリシア・アークエットは、「全米の女性の権利のために戦いましょう」と呼びかけ、大喝采。ホーキング博士の半生を演じ、「主演男優賞」を手にしたエディ・レッドメイン(『博士と彼女のセオリー』)は、「この賞をALSと戦うすべての人々に捧げたい」とオスカー像を高々と掲げ、若年性アルツハイマーと戦う50代女性を熱演し、「主演女優賞」に輝いたジュリアン・ムーア(『アリスのままで』)も「この病に冒された人々は、孤独のなかに生きています。映画を通して、アルツハイマーがより認知され、治療への道が開ければ」と理解と協力を求めた。
また、「外国語映画賞」のプレゼンターを務めたキウェテル・イジョフォーとニコール・キッドマンは「現在、私たちを隔てるものがたくさんあります。国境、文化、宗教、人種です」「でも映画館の中では、その違いも消え去ります」と語り、混迷する世界情勢における映画の役割をアピールした。
そして、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で「作品賞」を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は、「この賞をわが同胞であるメキシコの人々に捧げたい。アメリカに住むメキシコ人には、どうか公平な扱いを望みたい。この偉大な移民国家は、こうして成長したのですから」と移民問題に言及した。
授賞式には全米映画芸術科学アカデミー(AMPAS)会長のシェリル・ブーン・アイザックスも登壇し、「批判を恐れて、自由に声をあげられない世の中であってはなりません。映画業界に携わる者として、表現の自由を守る責任があります」と宣言。昨年末に発生した映画スタジオへのハッカー攻撃や、フランスの風刺週刊誌を襲ったテロ事件に対し、決して屈しないという断固たる姿勢を示した。
《text:Ryo Uchida》
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