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【MOVIEブログ】2015カンヌ映画祭 Day0&Day1

12日、火曜日。前日は終電近くまで職場に残って出張準備を続けて、帰宅してから夜中のパッキング。2年前の雨続きで寒かったカンヌの記憶が新しく、服の選択に難航して時間がかかってしまった。結果、5時半に起きるはずが、大幅に寝坊!

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12日、火曜日。前日は終電近くまで職場に残って出張準備を続けて、帰宅してから夜中のパッキング。2年前の雨続きで寒かったカンヌの記憶が新しく、服の選択に難航して時間がかかってしまった。結果、5時半に起きるはずが、大幅に寝坊!

詳細は省略するとして、大慌てで成田に駆けつけ、なんとかチェックインに間に合った! ああ、気合いが足らんですね。機中はあまり眠れず。でも、おかげで資料を熟読できたのは良かった。スイス航空でチューリッヒ経由ニースへ。ニースからタクシーでカンヌへ。ああ、またカンヌがやってきてしまったか、とタクシー車中で武者震いを覚えるのは毎年の通り…。

カンヌは快晴で、好天続きとのこと。これは嬉しい! 19時半にホテルに着いて、荷物を置き、急いでマーケット会場に行って登録パスと資料をピックアップし、ようやくひと段落。同僚たちと食事して、ホテル戻ってパソコンを立ち上げたら、メールを書きながら寝てしまった。ベッドに移動して即ダウン。

明けて、13日、水曜日。快晴! 日中の気温は22度くらいかな。とても過ごしやすくて快適な滑り出しだ。時差ボケの影響で5時半に起き、朝食を食べながらミーティングをして、9時から大手のフランスの映画会社のプロモリール集(新作の予告編集みたいなもの)を鑑賞。

終わって、今年が初カンヌの同僚がいるので、カンヌの重要ポイントを数か所案内して回ってみる。僕はカンヌが十数回目なので、良くも悪くも慣れてしまったけれど、初めてとなるとさぞかし緊張するだろうなあと初心に戻ってみる…(いや、何年経っても緊張するけれど)。

11時から、映画会社数件とミーティング。夏以降の作品について(つまり秋の東京国際映画祭で上映する可能性のある作品について)詳しい情報をもらう。まだ気楽な時期のベルリン映画祭時とは違って、カンヌではこちらもより真剣になっているので、それこそ緊張する。

13時にいったんミーティング終了し、次の予定まで1時間ほど空いたので、ゆっくり昼食をとることにする。こんなことは、初日だから出来ることで、上映が本格化する2日目以降はろくに食事をする時間もなくなるはずなので、貴重なランチ。久しぶりにタルタルステーキを注文してみたら、なかなか美味で満足!

14時からまたミーティング。16時に某有力会社のプロモリール集の上映へ。17時半から、各国の映画祭のプログラマー(作品選定担当者)が集うワインパーティーに参加して、同業者たちと楽しい雑談。あっという間に19時半になり、いったんホテルに戻って、少しパソコン仕事。

カンヌの初日はまだ上映が少なく、公式上映は夜のオープニング作品のみ。前のブログにも書いたとおり、オープニングはフランスのエマニュエル・ベルコ監督による『Standing Tall(英題。仏題:La Tete Haute)』(写真)という作品で、僕は見たかったものの、本上映のチケットは取っていなかった。まあしょうがないかと思っていたのだけれど、この作品、本日がフランス公開だったことを思い出し、カンヌ市内の封切り館を調べてみると、ちゃんとやっている。ということで、一般公開の上映に行ってみることにした。こんな経験はカンヌで初めて!

22時の上映で、21時半に劇場に行ってみると、お客さんの数はまばら…。映画祭のオープニング上映とその作品の一般劇場公開日が重なるということは、カンヌではままあることだけど、同じ作品でも映画祭の大会場での上映がフォーマル姿の観客で満席で、同時刻の一般劇場上映が寂しいというのは、なんだか複雑な気分になる…。

もっとも、作品はとても良かった! 育児能力の著しく欠如した母親に育てられ、情緒不安定で自分を制御できない超問題児に成長した15歳の少年の姿を描くもので、主人公の新人俳優の青年の演技が実に素晴らしい。こんなガキは刑務所に入って当然だと思わせた次の瞬間に、同情も抱かせてしまう振り幅の自在さに舌を巻いてばかり。

愛情を持って接する裁判官のカトリーヌ・ドヌーヴ、辛抱強く付き合う保護観察官のブノワ・マジメルもとてもいい。そして何よりも、ダメ母を演じるサラ・フォレスティエ(最近日本でも公開された『ラブバトル』の彼女ですね)のダメっぷりが、もう圧巻。いま、微妙な線で常軌を逸した役を演じさせたら、サラ・フォレスティエの右に出る者はいないのではないか?

今作をコンペティションでなく、オープニング作品に「回した」カンヌの決断の苦渋のほどが伝わる良作で、エマニュエル・ベルコ監督、さすがですね。上映終わって0時、少しよろよろしながらホテルに戻り、初日は無事終了。明日からはますます本格稼働になりそうなので、早めに寝よう!

《矢田部吉彦》

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