『そこのみにて光輝く』に続く函館三部作最終章…山下敦弘監督が映画化
熊切和嘉監督『海炭市叙景』('10)、第38回モントリオール世界映画祭 ワールド・コンペティション部門にて最優秀監督賞を受賞した『そこのみにて光輝く』('14)。そして、2016年、佐藤泰志文学映画化の函館三部作最終章として、『オーバー・フェンス』の映画化が決定した。
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佐藤氏が小説を諦めかけ函館の職業訓練校での日々を送った際の経験をもとに執筆し、自身最後の芥川賞候補作品となった「オーバー・フェンス」(「黄金の服」所収 小学館)。メガホンをとるのは、最新作『味園ユニバース』のスマッシュヒットも記憶に新しい、山下敦弘監督。邦画界で最も新作を熱望され、全作品が話題となる山下監督が、函館の短い新緑の季節を舞台に “共に生きる”という普遍のテーマに向き合い、“幸せの意味を知らない男”と“鳥になりたいと願う女”の“大人のラブストーリー”という新境地に挑む。
脚本は、『そこのみにて光輝く』で多くの映画祭で脚本賞を獲得した気鋭・高田亮。また、山下監督の盟友であり『天然コケッコー』、『マイ・バック・ページ』以来のタッグとなる近藤龍人が撮影を担う。『桐島、部活やめるってよ』など日本映画の先端を活写し、独自のフレームセンスで観客を魅了し続ける近藤氏は、<佐藤泰志・三部作>共通で撮影を務めている。
今回の決定にあたり、山下監督は「映画は空っぽになってしまった一人の男と求愛し続ける女の話でもあるし、函館の職業訓練校に生きる無職の男たちの話でもあるし、もしかしたら若くして死んでしまった佐藤泰志自身の話になるのかもしれない…というか“話”に固執せず、その瞬間を生きている人間たちの映画にしたいと思う。そうすれば自ずと僕自身の話になるし、観ているあなたの話になっていくのではないかと思う」とコメントを寄せた。さらに、「『オーバー・フェンス』というタイトルが示す通り、見えないけどそこにある何かを越えていく映画にしたい」と意気込みを語った。
『オーバー・フェンス』は2016年、テアトル新宿ほか全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》
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