樹木希林、皇室のハンセン病元患者への関わりに深く感謝
元ハンセン病患者の姿を描いた『あん』のプレミアム試写会が5月26日(火)に開催され、河瀬直美監督をはじめ、主演の樹木希林、永瀬正敏、原作者のドリアン助川が舞台挨拶に出席。来賓として高円宮妃殿下がご来場され、安倍首相夫人の昭惠氏も姿を見せた。
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千太郎が雇われ店長を務めるどら焼き屋の求人にあん作りの名人である老女・徳江が応募してくる。彼女のあんが評判を呼び店は繁盛するが、彼女がかつてハンセン病を患っていたという噂が広まり客足が途絶えはじめ…。
樹木さんは、平成の世になってようやく元ハンセン病患者に対する差別撤廃に国が動き出したが、それよりはるか前に、大正天皇の皇后である貞明皇后がハンセン病患者の施設を訪れ、患者と触れ合いの時間を持ったという事実に触れ「国よりも先に啓いてくださった、そのことに感謝してここに立っております」と語り、この日、高円宮妃殿下が来賓として来場されたこととあわせて、皇室のハンセン病に対する関わりに深い感謝の思いを口にした。
原作者のドリアンさんは「この小説を書こうと思ったのは20年くらい前で、書き始めたのは7~8年前。12回書き直しました。期待していた大手出版社には断れ、話を伺った元患者の方々との『本にする』という約束を裏切ることになるんじゃないかと思ったこともありました。こうして日本を代表する俳優さん方と監督の手で映画になり、世界の人に見ていただけました」と喜びを語った。
先日、閉幕したカンヌ国際映画祭では本作がオープニングを飾ったが、永瀬さんは「世界中に映画に関わるいいろんな友人がいますが『おめでとう』と連絡がありすごく嬉しかったし、本当にすごいことなんだと感じました」と振り返る。
樹木さんは「上映が終わったら、明るくなる前に逃げようと思った」と語り、その後のスタンディングオベーションの中、河瀬監督に手を差し伸べられたことについても「恥ずかしかったです」と語る。
ドリアンさんはその時の様子について「千人以上の人が形式上ではなく、心から拍手を送ってくれました」と世界に本作が届いたことを実感したよう。改めてこの日の上映を前に「ハンセン病の元患者の人生を描いていますが、ハンセン病そのものを描いているわけではありません。人はなぜ生まれたのか? 人生を全うするとはどういうことか? どうしても目標を持って頑張るということになりがちですが、それでかえって見えなくなるものがあるのではないか? 生まれてきただけで既に与えられているのではないか? という人生の普遍的なテーマに向かった作品です」と語り、温かい拍手に包まれた。
『あん』は5月30日(土)より公開。
《シネマカフェ編集部》
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