キム・ギドクが放つモラルを超えた群像サスペンス…『殺されたミンジュ』ポスター公開
カンヌ、ベルリン、ヴェネチアと世界三大映画祭を制した、韓国の奇才キム・キドクの記念すべき長編20作目となる最新作…
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ある夜、女子高生が男たちに無残に殺害された。そのしばらく後、事件に関わった1人の男が武装した7人組の謎の集団に誘拐される。謎の集団は男を拷問し、彼が起こした事件の告白を強要する。やがてその集団は、少女の事件に関わった7人の容疑者たちを1人、また1人と誘拐してゆく…。
少女の死で幕を開ける本作は、キム・ギドクがモラルを超越して描くサスペンスフルな群像劇。一度その扉を開けてしまうと、目を背けたくても凝視せずにはいられない危険に満ち溢れた物語は、7人の容疑者たちの証言により思わぬ方向へと進んでいく衝撃の展開を見せ、昨年の第71回ヴェネチア映画祭では「ヴェニス・デイズ」部門のオープニング上映を飾り、「作品賞」を受賞した。
山に籠もる自分自身を追ったドキュメンタリー映画『アリラン』(’11)以降、取り憑かれたように新作を発表し続け、強烈な個性を発揮しているキム・ギドク。それぞれテーマは異なるものの、彼の作品に通底しているのは、不条理な世の中への痛烈でシニカルな社会風刺だ。『嘆きのピエタ』、『メビウス』では、人間の恥部をさらけ出すような生と性を生々しく描いた独自の美学を貫く問題作を発表したが、長編20作目となる本作では、少女殺人事件をめぐり、捕らえられた男たちと武装した集団、容疑者と被害者が入れ替わるスリリングな展開を描く。どんな人間でも加害者にも被害者にもなりうることを示唆し、それぞれの立場で抱える心の闇や嘆きを痛いほどに映し出しながら、観る者のアイデンティティを揺るがす濃密な群像サスペンスに仕上がっている。
複雑な心情を抱える謎の集団のリーダーを演じたのは、『悪いやつら』『群盗』のマ・ドンソク。また、『春夏秋冬そして春』以来、11年ぶりにキム・ギドク作品に出演のキム・ヨンミンが、なんと1人8役を熱演することにも注目。マ・ドンソク演じるリーダーに率いられた謎の集団は、軍隊、警察、清掃員など、登場するたびに異なる制服を着用していくのも見どころだ。
「少女が葬り去られた日、良心はすべてこの世から消えた。」という意味深なコピーと謎の人物の姿が気になるそのビジュアルからも、目が離せない。
『殺されたミンジュ』は2016年1月より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。
《シネマカフェ編集部》
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