ギレルモ・デル・トロ監督、恐怖の館に映える美しき衣装へのこだわり『クリムゾン・ピーク』
独特の世界観と映像美でファンの心をとらえるギレルモ・デル・トロ監督の最新作にして、監督史上、最も美しい極上のゴシック・ミステリーといわれる『クリムゾン・ピーク』。このほど、ミア・ワシコウスカや
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本作は、『パンズ・ラビリンス』『パシフィック・リム』を手掛けたデル・トロ監督の約3年ぶりとなる最新作。監督は、本作について「これまでの中でも大好きな3本の映画のうちの1本。そして個人的に最も美しい映画だと思っている」と明かしており、約6か月をかけて実際に建造されたという“クリムゾン・ピーク”(深紅の山頂)に立つ屋敷のみならず、その屋敷に溶け込み、また登場人物の心情を映し出す絢爛な衣装も見どころの1つとなっている。
衣装デザインを担当したケイト・ホーリーは、本作を“ビクトリア朝時代の夢の中の芝居のような映画”と表現する。本作の企画が始まったとき、デル・トロ監督は「我々は衣装を建築し、建物を仕立てるんだ」とホーリーに語ったといい、彼女とそのチームは彼の彫刻的なビジョンを反映させ、また、キャストがそれぞれのキャラクターと一体化できるよう試行錯誤を重ね、布地の選択は監督のアイデアに従ったという。
例えば、ミア演じる主人公・イーディスが屋敷で元気を失いはじめたとき、彼女は弱々しくなり、「まるで蚕のように透明な感じ」になる。そのイメージは彼女のナイトドレスにも反映され、何層にも重ねた繊細なシルクは、その動きでミアの演技を助けるよう意図されている。また、花々はイーディスの衣装のテーマともなっており、「豊かさや豊饒さ…それに彼女の寛容な精神を表現している」と語るホーリー。なかでも、スミレの花輪で飾られた花嫁衣装はビクトリア朝時代の“記憶”と“朝”の象徴であり、優美で繊細なドレスは見る者をときめかせる。
一方、ジェシカ演じるルシールとトム・ヒドルストン演じるトーマスは、屋敷という自分たちの世界に籠るカメレオンのようであり、屋敷の憂鬱さと影を背景に、ルシールはまるで蛾のように壁と一体化させている。衣装チームは監督のモチーフをさらに強調するため、薄い布地を何時間もかけて、いまや時代遅れとなったプリーツ技術で手縫い、監督好みの昆虫の羽のようにサラサラとはためく衣服に仕上げることに成功した。
さらに、ルシールのドレスは、イーディスのものとはまるで正反対、枯れた葉っぱのモチーフで荒涼としており、カタストロフ(悲劇的結末)や飢餓、不毛さに満ちている。彼女のどの衣装の刺繍も、屋敷の構造物の飾りを反映しており、「だから、色々な意味で彼女は家を身につけてるんだ」とデル・トロ監督も言う。そして、ホーリーはルシールのか細さをデザインで強調。どのドレスも、服を通して骨格を感じられるくらいにぴったりとして細身であり、彼女の華奢なシルエットが屋敷の長く狭い構造を模すのように表現されている。
そんなデル・トロ監督のこだわりが細部に至るまで反映された衣装は、キャストたちが身に纏い演じることで、より本作の世界観に溶け込んでいく。まるで絵画のように際立つその美しさを、スクリーンでも確かめてみて。
『クリムゾン・ピーク』は2016年1月8日(金)より全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》
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