“映画オタク”タランティーノのこだわり!フィルム撮影は「特別な魔法が訪れる」
クエンティン・タランティーノ監督初の本格密室ミステリーとなる長編第8作『ヘイトフル・エイト』。このほど、愛あふれる“映画オタク”として知られる
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舞台は、南北戦争直後のある山の上のロッジ。登場人物は吹雪で足止めを食らい、一夜をともにすることになったワケありの7人の男と1人の女。そこで起こる殺人事件。ぶつかり合う“嘘”と“嘘”、やがて浮かび上がる予想外の“真相”。雪の密室に閉じ込められたクセ者8人のうち、生き残るのはいったい誰!?
オープニングからすべての会話と視線、何気ない身振りに巧妙かつ緻密な伏線が仕掛けられ、タランティーノ印のブラックな笑いと過剰なアクションがかつてない密室ミステリーを彩る本作。先日の第73回ゴールデン・グローブ賞では、巨匠エンニオ・モリコーネが「作曲賞」を受賞。第88回アカデミー賞では、怪演を見せるタランティーノ作品初参加のジェニファー・ジェイソン・リーの「助演女優賞」ほか「作曲賞」「撮影賞」(ロバート・リチャードソン)にノミネートされている。
現在の映画界は、デジタルの台頭で伝統的なフィルムでの映画撮影は廃れつつある。その状況を憂いたタランティーノは、2014年、映画会社やクリストファー・ノーラン、J・J・エイブラムスらと協力して、老舗フィルムメーカー、コダックがフィルムを製造し続けられるよう救済に乗り出した。そのコダックの全面協力によって実現を果たしたのが、本作なのだ。
全米公開時にも、昔ながらのワイドスクリーンで投射する70ミリフィルムでの限定公開は話題となった。なぜ、70ミリにこだわるのか? タランティーノは、「寒々とした雪の風景や、ロケーションの美しさを表現するには70ミリが最適だ」と語る。
「僕は処女作『レザボア・ドッグス』のときから分かっていた。あの映画は終始、倉庫の中で展開するにも関わらずシネマスコープだったので、みんなに言われたものだ。『倉庫の中で撮影するのに、君は処女作をシネマスコープで撮影しているのか?』とね。こういう大きなフォーマットは、さらなる親密さをもたらしてくれると、僕は信じている。クローズアップで大きく映し出されると、その映画のキャラクターの内面に侵入できる感じがするんだよ」と持論を熱弁。
続けて、「映画では、『アクション!』の掛け声で、撮影現場に特別な魔法が訪れる。『カット!』と叫んでテープが止まるまでね。それは聖なる時間、特別な時間だ。人々は手を止めて撮影を見守る。そこにお金と時間がつぎこまれる。フィルムがカメラを通過して映像を刻み込む。誰もそれが当然だとは思っていない。特別な経験だよ」とその思いを明かしている。
そんな特別な想いを抱いているのは俳優陣も同じだったようで、本作で、元騎兵隊の少佐で賞金稼ぎのマーキス・ウォーレンを演じるサミュエル・L・ジャクソンは、70ミリフィルムでの撮影は「観客を映画の美しさやそのスケールの虜にするためのとても効果的な要素への力強いオマージュだ。それはハリウッドをかつての巨大なステージへと戻すものだ。ある意味ではこの映画自体に壮大な景色という要素があるわけだし、ここで細かく描かれているディテールにはすっかり心を奪われるよ」と語り、その出来に太鼓判を押している。
日本では残念ながら70ミリ上映は“物理的な理由”から実現される予定はないものの、スクリーンではタランティーノがこだわりぬいた映像を、70ミリフィルムと同じワイドな画角で堪能できるという。
『ヘイトフル・エイト』は2月27日(土)より全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》
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