【独女のたわごとvol.18】指南書通りにはいかない!?全てを手に入れる美人妻の正体…『女が眠る時』
まだまだ寒い日は続きますが、厚手のコートから薄手のコートへ、ブーツからハイヒールへ、ダーク系からパステル系へ、街を歩いていても春らしさを感じ始める…
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
世の中には“しあわせになるための○○なコト”を綴った恋愛&人生の指南書が山のようにあります。四十路を迎えた今はあまり読まなくなりましたが(今も読んでいたらそれはそれで問題…)、迷える20~30代は似たような本をあれもこれも読みあさりました。現在は、迷えるというより深い落とし穴から出られない感じです(それも問題…)。
それらの指南書には、仕事も恋愛も何もかもは“同時”には手に入らない──的な言葉が綴られていて、当時の私にどれだけ勇気を与えてくれたことか! そのおかげで(そのせいで?)、恋愛はうまくいかないけど仕事があるじゃない! と、仕事ひと筋で頑張ってこられたのですから。まあ、そのまま独走してしまっているのは“大”間違いでしょうけれど。でもですよ、周りを見わたしてふと思うのは、本当に何もかも手に入らないんだろうか? という素朴な疑問。『女が眠る時』という映画を観て、そんな疑問が浮上してしまったのです。
どんな物語かというと、リゾートホテルに滞在する2組のカップルのお話。スランプ中の小説家・健二(西島秀俊)とその妻・綾(小山田サユリ)、若く美しい女性・美樹(忽那汐里)と中年の謎の男・佐原(ビートたけし)、彼らの数日間が描かれます。物語があるようでない、ちょっと不思議な映画です。
何が面白いって、どのキャラクターの目線で観るかでストーリーが変わってくることです。ふとしたきっかけで美樹と佐原の後をつけて覗き見してしまう健二の目線だとサスペンスになりますし、美樹の眠る姿をビデオで撮り続ける佐原の目線だとホラーチックなラブストーリーのようでもある。普通じゃないし不気味だし気持ち悪いんですが、この先どうなるんだろう…と気になってしまう。
途中、西島さんの裸体にクラッとしつつも、2人の男のあまりの不気味さと気持ち悪さでハッと目が覚める。そしてエンディングを迎える頃に襲ってくるのは、綾の恐ろしさです。美人で仕事もできる良妻に見えますが、最後の最後で「えっ、すべて策略だったの? 仕組んでたの?」と、ゾクッとさせられる。そう、かつて読んだ指南書には「何もかもは同時に手に入らない」とあったのに、この綾という女性は何もかも手に入れているじゃないかと。もう、いろんな意味でびっくりです。
なーんだ、綾のようにすればぜーんぶ手に入るのか! だったら私もー! と意気込んでみたものの、現実は──ちょっぴり気になる男性からのメールや電話の回数が減ってきていることにあたふたし、振りまわすどころか完全に振りまわされているという残念な有り様…でした。で、振りまわされないために仕事に打ち込んで、また同じことの繰り返しって…。我が身の恋のループの方が恐かったということで、今宵のたわごとはこの辺で。また次回。
「古山エリーのぷち“たわごと”」日々のたわごと綴ってます。
http://eliefuruyama.tumblr.com/
《Elie Furuyama》
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