【シネマ羅針盤】3作品連続で出演者がオスカー受賞!『リリーのすべて』トム・フーパー監督の手腕
いまから80年以上前に、自身の性別違和に勇気を持って向き合い、世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人画家の実話に基づく感動作『リリーのすべて』。メガホンをとるトム・フーパー監督は、…
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まず、1人目は『英国王のスピーチ』(’10)でイギリス王ジョージ6世を演じ、主演男優賞を受賞したコリン・ファース。同作は作品賞、監督賞、脚本賞にも輝いた。続いて『レ・ミゼラブル』(’12)ではアン・ハサウェイが助演女優賞を獲得し、トップ女優の仲間入りをした。そして今年は『リリーのすべて』で、女性になりたいと願う夫を献身的に支える妻を演じたアリシア・ヴィキャンデルが激戦だった助演女優賞を制し、オスカー像を手にした。
こうした実績は、フーパー監督が特に俳優への演出で手腕を発揮していることを物語っている。惜しくも『博士と彼女のセオリー』に続く2年連続のアカデミー賞主演男優賞は逃したものの、主演のエディ・レッドメインが男性であることの戸惑いと葛藤、女性になることを願う強い意志と勇気を全身全霊で演じきった。フーパー監督とのタッグは『レ・ミゼラブル』以来だが、10年以上前にHBOのTVミニシリーズでも仕事をともにしている。
先日来日を果たしたフーパー監督は、当時駆け出しの俳優だったエディについて「感情が湧き出るような演技を見て、イギリスの素晴らしい俳優を見つけたと確信した」とコメント。一方、エディはジャパンプレミアの席で「オーディションでは、アリシアと舞踏会の翌朝のシーンを演じていた。なかなかカットがかからないから、ふと横をみるとトムが泣いていたんです」とアリシア抜てきの裏に、フーパー監督の涙があったことを明かしている。
俳優への演出に加えて、自作で扱うテーマや登場人物への深い感情移入と、それを繊細かつエモーショナルに映像化する知的感性に富んでいる点がフーパー監督の魅力だ。撮影、編集、プロダクション・デザインなど長年タッグを組むスタッフ陣との信頼関係も、作品に確かな強度を与えている。「本当の自分と出会う旅」「それを支える夫婦愛」という点で、『英国王のスピーチ』と『リリーのすべて』は共通点があるので、ぜひ見比べてほしい。
『リリーのすべて』は3月18日(金)より全国にて公開。
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