【インタビュー】窪塚洋介 不遇の時も変えなかった己のスタイルでこじ開けたハリウッドの扉
“イノセント”――。そんな言葉で窪塚洋介は、自身が映画『沈黙-サイレンス-』において演じたキチジローという男を表現した…
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10代半ばで俳優デビューし、2001年の『GO』で、最年少で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。映画『ピンポン』にドラマ「池袋ウエストゲートパーク」など、2000年代前半は次々と話題の作品で存在感を放っていたが、その後は、出演作も減っていく。自身「不遇の時代」と認める時期が続いたが、それこそ“イノセント”なまま、己の生き方を変えようとも、周囲が求めるオトナになろうともしなかった。
「俺にはそれはできないし、それを求める人が間違ってるって思います。だから、ぶつかることになってもしょうがないし、実際仕事も少なくなった。仕事をしてても、しっくりこないというか…。ひとつひとつの仕事をしっかり本気でやってはいたし、常に『これが最後の仕事だ』という気持ちでやってたのは事実だけど、世の中の温度と自分の温度が合わないジレンマはありました。それが、今回のこの仕事で、一発で報われたなって気持ちはすごくあります」。
「そういう運命だったのかな…?」。自分自身は変わったという意識はないが、己の周辺で起こり、身に降りかかる全てをそんな言葉と共に受け止めている。
「最近『すごくいい感じだね』と言ってもらえることが多くて、でも自分的にはマイペースなままで、地に足がついている状態ですね。全てをひっくるめて、起こったことは全部、伏線だったんじゃないかって。全てが『いま、いい感じなんですよねー』なんて言ってるこの状況への伏線だったとしたら、報われますね」。
もちろん、スコセッシの現場でも、この男は変わらなかった。実力主義で、能力を認められれば、いくらでも上へとたどり着けるハリウッドのやり方は、窪塚さんのスタイルにぴったりだったのだろう。活き活きと、現場で輝きを放った。
「最初、現場に観光バスが3台停まってて、『Scorsese』『Garfield』『Driver』ってあって、改造されて、中にソファとかがあるんですよ。俺も含めて他の人は一緒で、完全にすみ分けられてるの。それが、撮影が始まって4~5日経ったら、バスがもう1台増えて『Yosuke Kubozuka』ってあるんです。『お前、使え』って。ありがたいけど、僕は、他の先輩方もいるから気まずいし『いや、俺はいいから』と言ったら『マーティンがお前のために用意したんだから使え』と。俺は普段から舞台の楽屋でもドアは開けっぱなしで、みんな出入り自由で、何を見られてもいいっていうスタンスで、オープンにしてるから、そのときも『コーヒーとかあるんで、みなさん、飲んでください』って感じで開放してました(笑)」。
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