オスカーノミネートの仏女優イザベル・ユペール、年齢を重ねた美しさで魅了
『ELLE』(原題/今夏公開)で、第74 回ゴールデン・グローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)を受賞、さらにアカデミー賞にも初ノミネートされたイザベル・ユペール。いま最も注目されているフランスが誇る大女優
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パリの高校で哲学を教えるナタリー(イザベル・ユペール)は、同じ哲学教師の夫ハインツと独立している2人の子どもがいる。パリ市内に一人で暮らす母の介護に追われながらも、充実した日々。また、ナタリーの授業で哲学の面白さを知り、教師になったファビアン(ロマン・コリンカ)と久しぶりに再会するも、彼はすでに教師を辞め、執筆をしながらアナーキスト仲間と活動を共にしていた。
そんな折、夫ハインツが結婚25年目にして「好きな人ができた」と唐突に告白、家を出てしまう。そして母の認知症が悪化し、施設に入ることに。母が溺愛していた猫のパンドラを、猫アレルギーのナタリーが飼うことになる。だが、ある日突然、母も他界。夫と別れ、母は亡くなり、ナタリーはたった1人となった。長い付き合いの出版社との著作の契約も終了し、仕事も行き詰まった彼女は…。
第66回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(監督賞)を受賞した本作。ユペールは、『氷の微笑』ポール・ヴァーホーヴェン監督最新作の『ELLE』で賞レースを席巻する一方、本作『未来よ こんにちは』でもニューヨーク映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞などで主演女優賞を数々受賞。また、ロンドン映画批評家協会賞では主演女優賞と映画への貢献を称えたディリス・パウエル賞のW受賞を果たしている。
70年代初めに映画デビューして以来、クロード・シャブロル監督、ジャン=リュック・ゴダール監督、マイケル・チミノ監督などをはじめとする名だたる世界の巨匠たちの作品に軒並み出演し、特にシャブロル監督作『主婦マリーがしたこと』(‘88)での大胆な演技、奇才ミヒャエル・ハネケ監督作『ピアニスト』(‘01)の2度目のカンヌ女優賞を得た衝撃的な演技などは、映画ファンの記憶に刻み込まれている。
2016年は『アスファルト』『母の残像』が日本公開され、「フランス映画祭2016」では“団長”として10年ぶりに来日、浅野忠信や是枝裕和監督らとオープニングセレモニーに参加した。ヴァーホーヴェン監督の『ELLE』ではゴールデン・グローブ賞の受賞とともに、オスカーに初ノミネートされている。
なお、本作では、35歳の若き気鋭ミア・ハンセン=ラブがユペールを想定して脚本を執筆したというだけあり、彼女の魅力が最大限に引き出され、孤独や時の流れをしなやかに受け入れていく潔いヒロインの姿が鮮烈な印象を放つ。米国映画批評サイト「Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)」でも100%フレッシュという高い評価を受けている。ユペールが演じるのは、“おひとり様”になった50代後半の哲学教師。「まさか」というくらいに次々と起こる想定外の出来事に、うろたえても立ち止まらず、まだまだ輝く未来が必ずある、そう信じる主人公ナタリーの凛とした生き方をユペールは体現し、愛に満ちた人間ドラマを完成させた。
今回到着した彼女の場面写真は、川辺での水着姿やイケメンな元教え子との2ショットとなっており、還暦を超えたいま、年齢を重ねてさらに輝きを増すユペールのナチュラルな美しさは注目だ。
『未来よ こんにちは』は3月25日(土)よりBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》
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