紗和(上戸彩)は、夫と2人で平凡な毎日を送る主婦だった。ところが、パート先での車上荒らしの一件で高校の生物教師・北野裕一郎(斎藤工)と出会ったことから生活は一変する。お互い既婚者でありながら次第に惹かれ合い、遊びではない本物の愛を見出していく…。その結果、双方の家庭を巻き込み、紗和は離婚、裕一郎は妻の乃里子(伊藤歩)とやり直すという悲しい結末に。映画『昼顔』は、ドラマ放送終了からと同じ時を経た3年後の世界が舞台。運命に導かれ、再会を果たした2人を待ち受けるものとは…。
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久々の復帰作として最高のタイミングで、上戸さんに映画『昼顔』のオファーが届いた。「プライベートでも仲の良い工くんや歩ちゃん、大好きな監督、信頼の置けるスタッフと再び一緒に働ける機会がめぐってきて、『これだ!』と思えたんです。すごくうれしかったですね」。上戸さんが「地元で一緒に育ったような同級生・身内感がある」と言うように、ドラマからの共演者である斎藤工や伊藤歩との強い絆は心の支えとなったようだ。映画の中ではドラマの悲しい結末から3年が経過しているが、実際の撮影における空白期間は2年。この日の取材には、デビュー当時を彷彿させる久々のショートヘアで登場した上戸さん。「紗和に戻るために髪型を(セミロングに)キープしてたんですけど」と女優魂をのぞかせたため、筆者が驚きの声を上げると「うそです(笑)」と笑い、斎藤さんから「うそか!」のツッコミが。とは言え、「ずっと紗和モードではあったのかもしれない」と2年間をふり返る。「映画が終わってバサッと切ったことで、切ったから何かが変わるわけではないけれど、徐々に紗和が剥がれていくような感じはしていますね」。
斎藤さんは『昼顔』の映画化にあたり、1955年の映画『浮雲』の世界観を意識したかったと語る。「世の中の、不貞に対する妙な盛り上がりの延長にこの映画があるのではなくて、さかのぼったところに答えがあるのかなと感じていました。自分の大好きな『浮雲』は、平たくとらえればいびつな(恋愛の)形なのかもしれないけど、その中で描かれる、人と人が惹かれ合うピュアな姿に感銘を受けました」。斎藤さんは、「60年経ってもなお色褪せない『浮雲』のように、数年後にも観てもらえる作品になれば…」と願望を明かした。上戸さんも、「台本が上がってきた時点で監督に『浮雲』のことを言っていたよね」と斎藤さんの『浮雲』への思い入れに理解を見せる。
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