そもそものデビューを聞けば、「何かをやりたいなと思っていたんです。勧められて、オーディションに軽い気持ちで応募したら、受かって…えっ! と思いました」と話すように、「第12回FINEBOYS専属モデルオーディション」のグランプリ受賞から、芸能界の仕事が始まった。女性も羨むほどの白肌をときたま紅潮させつつ、言葉を選んでマイペースに話す様子を見ていると、とても「芸能界に入りたい、モデルになりたい」という野心のあるタイプには思えないのだが…?「そうですよね(笑)。最初は、モデルとして1ポーズを取るのも恥ずかしくて、しょうがなかったというレベルでした。だから、『俳優をやりたい』とは言ったんですけど、演技なんて恥ずかしくて、恥ずかしくて」。

恥ずかしがっていた杉野さんが変わったのは、映画『キセキ -あの日のソビト-』の出演から。直属の先輩である松坂桃李、菅田さんらの演技、現場での立ち居振る舞いを目の当たりにして、「俳優をやりたいという気持ちが確固たるものになって、確実に意識が変わりました」と、影響を受けたと話す。以降、レギュラー雑誌のモデル業は続けながら、「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」、「嘘の戦争」、「兄に愛されすぎて困ってます」と、コンスタントに出演を重ねる。俳優の仕事をやるにあたっては、がむしゃらしかない。
「苦しいことは、いっぱいあります。普通に学生でテレビを見ていた頃は、失礼なんですけど、『何で、この人はこんなに棒読みなんだろう?』と思っていたりもしました。でも、いざ自分がやってみると全然違います。感情の込め方もわからないし、とにかく難しいですし。何気なく見ている1シーンに、すごく時間がかかっているとわかったときは、うそ…これは大変だ、すごい、と思いました」。