もちろん、彼らの世界的な知名度が大きな助けになっているが、もう1つの傾向として、逆にセレブ本人のイメージを前面に出し過ぎないパターンが成功を導く場合も多い。
■リース・ウィザースプーン
リース・ウィザースプーンは2015年にライフスタイルブランド「Draper James」を始めた。アメリカ南部ルイジアナ州出身の彼女が子どもの頃から慣れ親しんだサザン・スタイルの服やバッグ、インテリアや家庭用品を展開している。

素敵な暮らしぶりをSNSで公開し、ライフスタイル・ビジネスに参入するセレブ女性は後を絶たないが、ただおしゃれなだけでは生き残れないし、扱う商品にいちいちセレブ本人を連想させるロゴや顔写真があっては、購買層は限られてしまう。その辺りを心得たデザインは、大人の女性でも抵抗なく着られるほどよいガーリー・テイストで手堅い人気。ブランド名は尊敬する祖父母のミドルネームをつなげたもの、というエピソードなど、好感度を上げるさりげないアピールも上手だ。
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■スカーレット・ヨハンソン
昨年10月、パリのマレ地区にポップコーン専門店「Yummy Pop」を開店、初日は自ら店頭に立ったスカーレット・ヨハンソン。
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フランスでポップコーンといえば定番の塩味だけ、そして人気はそれほど高いとは言えないが、だからこそ様々なフレーバーのグルメポップコーンに勝機ありと見た様子。3月に破局を発表したフランス人の夫と一緒に始めた。トリュフとパルメザン&セージ風味、ストロベリー&クリーム、メープルシロップ、チョコレート・ストロベリーを中心に、クリスマスやバレンタインデーには限定フレーバーやハート型ボックス入りも販売、パリのスナックとして定着しつつある。店舗やパッケージはトリコロールをあしらい、こちらもやはりどこにもスカーレットの名前や写真はない。

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■キアヌ・リーブス
リースにしてもスカーレットにしても、扱うものに対する思い入れがしっかりあることが見て取れるが、好きを極めて採算度外視にも見えるビジネスを展開したのはキアヌ・リーブスだ。
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大のバイク好きで知られる彼は2014年に友人のバイク・デザイナー、ガード・ホリンガーとカスタム・バイクのメーカー「Arch Motorcycle」を設立したが、今年7月に今度は出版社「X Artists’ Books」を立ち上げた。昨年キアヌが出版した詩集「Shadows」(原題)で組んだアーティストのアレクサンドラ・グラント、デザイナーのジェシカ・フリーシュマンと3人で、独創的で多分野にまたがる内容のアーティスト・ブックの出版に取り組む。キアヌは「本を読んで、思考したり想像したり、旅をする喜びのため」と起業の理由を「Los Angeles Times」紙上で語っている。
カスタム仕様のバイクもアーティスト・ブックも、妥協を許さない作りゆえに、手頃な価格での量産、万人受けは難しい。それでも、自分が心から気に入ったものを世間に伝えたいという情熱はあっぱれだ。
知名度を適度に使いながら、最終的にはそこに頼り過ぎずに商品の魅力で勝負する。王道ながら、実はなかなか実現の難しいセレブのサイドビジネス・スタイルだ。