「光栄であると同時に、少し居心地の悪い気もしますね」と恐縮しきりの新海監督。「アニメーションは集団製作なので、展示物の多くは、スタッフが描いてくれたものも含めた結果なんですね。ですから、『新海誠展』として1人の名前を冠していただけるのは、申し訳なさもあります」と本音を明かした。
また、「いま思えば、『ほしのこえ』も『君の名は。』も、僕が作らなくても、別の誰かがあのタイミングで作っていたような気がします。自分でも不思議ですが、時代とたまたまリンクしたのでしょうか」とも。「この展示を通して、『どうしてあのとき、あの作品を作ったんだろう?』という問いへの答えが、自分でも発見できるかもしれません」と話していた。
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昨年公開の『君の名は。』が、国内外で旋風を巻き起こした新海監督の軌跡を、絵コンテ、設定、作画、美術、映像をはじめ、 世界観を体験できる造形物など、貴重な制作資料を通じて、紹介する本展。国立の美術館で、現役アニメーション映画監督の展覧会が開かれるのは今回が初となる。国立新美術館は『君の名は。』のデートシーンに登場する“聖地”でもある。
個人制作で商業デビューを飾った短編『ほしのこえ』から、初の長編作品にして毎日映画コンクールで受賞した『雲のむこう、約束の場所』、『秒速5センチメートル』、『星を追う子ども』、『言の葉の庭』『君の名は。』を1章から6章にふり分け、世代や国境を越えて多くの人々を惹きつける“新海ワールド”の魅力に迫る。
音声ガイドを務めるのは、『君の名は。』で主人公・立花瀧を演じ、自他共に認める“新海ファン”の神木隆之介。新海監督は「彼の声でどんな風に、僕の作品を解説してくれるのか。それを聞くのが、とにかく楽しみです」と期待を寄せていた。
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すでに静岡・大岡信ことば館、長野・小海町高原美術館で開催され、ついに開館10周年を迎えた東京・国立新美術館へと巡回。同館はほかの会場より広い2,000平米もの展示空間になるため、巡回展での展示内容に加え、特別にキュレトリアルチームを結成し、初公開を含む制作資料類が多数盛り込まれる。また東京会場の後、来年1月より札幌、福岡などを順次巡回予定となっている。
国立新美術館開館10周年『新海誠展 -「ほしのこえ」から「君の名は。」まで-』は11月11日(土)~12月18日(月)国立新美術館(東京・六本木)にて開催。※休館日:毎週火曜日