いずれも、アクションやロマンティックコメディなどのヒロイン役から、ハリウッドのみならず世界各国の才能ある監督との仕事でキャリアを積んできた。彼女たちは良質な脚本を見つけ出し、自ら製作にも携わることで、いまこそ伝えたい、演じたい、という作品に巡り合っている。そして今年の秋冬は、この人気・実力ともに申し分ない名女優たち渾身の作品が続々公開。レイチェルの知性あふれる強さと美しさ、ジェシカのすべてを包み込む愛情深さ、エイミーのスタイリッシュで妖艶なクールビューティ、時代も舞台も違うがスクリーンの中の三者三様の女性たちに、心が揺さぶられること間違いなし。
■1人ではない、チームで闘う…レイチェル・ワイズ
『否定と肯定』 12月8日(金)公開

2000年、ロンドン。米を拠点とする歴史学者のデボラは“ホロコーストはなかった”と主張するホロコースト否定論者のアーヴィングの策略で、自著を英国の司法制度のもと名誉毀損で訴えられてしまう。ここで立ち向かわねば、歴史の歪曲を認めてしまうことになると法廷で闘うことを決意するデボラ。これまで自らの信念を貫き、強く正直に生きてきた彼女は、初めて自分ひとりではなくチームを信頼し、すべてを彼らに委ねることを課せられるが…。

歴史を揺るがしかねない大きな事態となった前代未聞の裁判の行方は…!? 彼女と、彼女の信念を支える弁護団チームの選択とは何だったのか。正しいことを伝えるだけでは覆せない、もどかしさを抱えるデボラを演じるレイチェルの真に迫った表情が胸に突き刺さる。さらに、ティモシー・スポール、トム・ウィルキンソンというイギリスを代表する老練の名優の競演が重厚さを与え、真実か否かを問わず情報操作に長ける者の影響力が強く、真実が軽視されるいまの社会的風潮に一石を投じる問題作となっている。
■1人でも多くの命を救う…ジェシカ・チャスティン
『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』 12月15日(金)公開

1939年の秋、ドイツのポーランド侵攻により第2次世界大戦が勃発。ワルシャワでヨーロッパ最大規模を誇る動物園を営んでいたヤンとアントニーナ夫妻は、ユダヤ人強制居住区域に忍び込み、ユダヤ人たちを動物園の檻に忍びこませるという驚くべき策で彼らを救出する。彼らは自らの命をかえりみず、ナチス・ドイツに立ち向かい、いくつもの危険を冒しながらも、いかにして300もの命を救ったのか。

人も動物も包み込むアントニーナの深い愛情、強い信念に涙する感動作。なお、ジェシカはゴールデン・グローブ賞にノミネートされた主演作『女神の見えざる手』も公開中。
■元夫の暴力的な小説に感銘…エイミー・アダムス
『ノクターナル・アニマルズ』公開中

アートギャラリーのオーナーとして成功を収め、経済的には恵まれながらも満たされない日々を過ごすスーザン。ある日、20年前に別れた元夫のエドワードから、彼が書いたという小説が送られてきた。彼女に捧げられた小説のその暴力的で衝撃的な内容に次第に惹きつけられていくスーザン。

世界的デザイナー、トム・フォードが『シングルマン』以来7年ぶりに手がけた監督第2作にして、ヴェネチア国際映画祭で審査員グランプリを受賞した傑作。映画内小説と過去と現在が交差する複雑な物語が紡がれ、細部に至るまで綿密な指示がなされた世界観、美しさに目が離せないサスペンスとなっている。