1976年生まれのチャドウィック。ワシントンDCのハワード大を卒業し、英国の名門ブリティッシュ・アメリカン・ドラマ・アカデミーでも演技を学んだ実力派。LAで「Law&Order」や「ER」などTVシリーズのゲスト出演を得るまでは、5年間ハーレムで演劇を教えていたこともあったという。

そんな“チャド”が、まず大きな注目を集めたのはハリソン・ウォードと共演を果たした『42~世界を変えた男~』(’13)。アメリカ野球界に歴史を刻んだ実在の黒人初メジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンを熱演し、人種差別に苦しみながらもただ直向に野球に取り組む彼の姿は野球ファンのみならず、観る者の涙を誘った。
さらに「ザ・ローリング・ストーンズ」のミック・ジャガーが製作にかかわった『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』(’14)では、伝説のソウルミュージシャン、ジェームス・ブラウン役を務めた。ファンクの帝王といわれ、破天荒ながらも、そのカリスマ性で全世界の音楽界に影響を与えたといわれる伝説の人物を演じ切ったチャドウィック。この作品ではダンスや歌、ジェームス・ブラウンの十八番であるシャウトなど圧倒的なライブパフォーマンスも披露し、高い評価を得た。

これまで、偉大な功績を築いてきた偉人たちを見事に演じてきたチャドウィックだが、先日アメリカで公開された『マーシャル/Marshall』(’17/原題)でも、アフリカ系アメリカ人で初めて米最高裁判所判事となったサーグッド・マーシャルを演じた。共演は、『アナと雪の女王』のオラフの声や『美女と野獣』のル・フウ役で知られ、日本での公開が迫る『オリエント急行殺人事件』にも出演するジョシュ・ギャッド。彼が演じるユダヤ系法律家とともに、人種差別に立ち向かっていく役どころで、同作は映画賞レースでも注目を集めそうだ。
そしてチャドウィックが今回演じる『ブラックパンサー』は、彼のキャリアの中でも間違いなく大きな出来事になるだろう。演じるのは、ある時は超文明国ワカンダを統治する国王ティ・チャラ。またある時は、キャプテン・アメリカの持つ盾と同じ材質(ヴィブラニウム)からなるスタイリッシュな漆黒のスーツを身にまとい、鋭い爪と優れた戦闘能力で戦うヒーロー・ブラックパンサーだ。数々の偉業をなしとげ、人々に希望を与えてきた偉人を幾度も演じてきたチャドウィックは、ティ・チャラ/ブラックパンサーとしてまさに打ってつけの俳優といえる。

『シビル・ウォー』で初登場を果たすと、国王とヒーローという2面性を持ち、しなやかな身のこなしで信念を持って戦う姿に多くの観客が目を奪われた。単独作品の公開が待ち望まれていたキャラクターだけに、本作への期待値も計り知れない。もちろん『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』にも出演する。2018年は、日本でも彼の活躍に注目が集まりそうだ。
『ブラックパンサー』は2018年3月1日(木)より全国にて公開。