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突然の死から1年…キャリー・フィッシャーの生涯をふり返る

待望のシリーズ再開で『スター・ウォーズ』シリーズにレイア・オーガナ役で復帰し、ファンを喜ばせながらも『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』撮影後に急逝したキャリー・フィッシャー。

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キャリー・フィッシャー-(C)Getty Images
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待望のシリーズ再開で『スター・ウォーズ』シリーズにレイア・オーガナ役で復帰し、ファンを喜ばせながらも『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』撮影後に急逝したキャリー・フィッシャー。

映画が全世界で大ヒット中のいま、12月27日に命日を迎えた彼女の生涯をふり返ってみよう。

両親は大スター!『スター・ウォーズ』で一躍有名に


1956年10月21日、カリフォルニア州に生まれた彼女の父親は歌手のエディ・フィッシャー、母親は『雨に唄えば』で知られるデビー・レイノルズ。両親とも大スターというセレブ2世として育ち、1973年に15歳でブロードウェイのミュージカル「アイリーン」で母と共演してデビュー。その後に渡英してロンドンの名門演劇学校「セントラルスクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマ」で1年半学び、帰国後はこちらも名門のサラ・ローレンス大学で美術を学んだが、中退している。映画デビューは1975年の『シャンプー』。その次に出演した『スター・ウォーズ エピソード4/新たな希望』(’77)で銀河宇宙のプリンセス、レイア・オーガナを演じて、共演のハリソン・フォード、マーク・ハミルとともに一躍スターとなった。

『スター・ウォーズ/新たなる希望』-(C) APOLLO『スター・ウォーズ/新たなる希望』-(C) APOLLO

アルコールにドラックに大恋愛…波乱の時期も


親の七光りではない、自らつかみ取った成功と人気だったが、映画公開当時はまだ19歳。大きなプレッシャーに耐え切れず、アルコールやドラッグに手を出してしまう。2010年の「Daily Mail」紙のインタビューでは『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(’80)撮影時にはひどいコカイン中毒だったと告白。アルコール依存症や双極性障害に苦しんだという。『スター・ウォーズ エピソード4/新たな希望』の撮影中から、元サイモン&ガーファンクルのポール・サイモンと交際し、1983年に結婚。彼のミュージックビデオにも出演したが、翌年離婚した。1980年に『ブルース・ブラザース』で共演したダン・エイクロイドと短期間婚約したこともあったが、このときはすぐポールの元に戻ったという。2016年に発表した回顧録「The Princess Diarist」では、『スター・ウォーズ エピソード4/新たな希望』撮影時にハリソン・フォードと不倫関係だったことを告白して騒動になった。

ハリソン・フォード&キャリー・フィッシャー-(C)Getty Imagesハリソン・フォード&キャリー・フィッシャー-(C)Getty Images
再婚はしなかったが、大手エージェンシー「クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー」(CAA)のエージェント、ブライアン・ラードとの間に娘のビリーをもうけた。現在25歳のビリーは大学卒業後に母と同じ道に進み、『スター・ウォーズ』シリーズにコニックス中尉役で出演、母娘共演している。

キャリー・フィッシャー&ビリー・ラード-(C)Getty Imagesキャリー・フィッシャー&ビリー・ラード-(C)Getty Images

再び“レイア姫”を熱演! 文才にも恵まれる


気の強いレイアとは聡明さという共通点のあるキャリー自身は辛口でウィットに富むユーモア・センスの持ち主。ウディ・アレン監督の『ハンナとその姉妹』やメグ・ライアン&ビリー・クリスタル主演のロマンティック・コメディの傑作『恋人たちの予感』などに出演し、文才にも恵まれ、1987年に母との確執も含めて綴った自伝的小説「崖っぷちからのはがき」を発表。メリル・ストリープとシャーリー・マクレーン共演で映画化され、キャリーは脚色を手がけ、英国アカデミー賞脚本賞候補になった。その後もロマンス小説「Surrender the Pink」や「Delusions of Grandma」「The Best Awful There is」など自伝的小説、薬物依存や精神障害に苦しんだ経験を綴った「Wishful Drinking」などを発表。「Wishful Drinking」は舞台化され、キャリーが主演を務めた。

キャリー・フィッシャー-(C)Getty Imagesキャリー・フィッシャー-(C)Getty Images
「キャリー・フィッシャー=レイア姫」というイメージはあまりにも強かったが、それを逆手にとって『スクリーム3』では、キャリーにそっくりの元女優という役でカメオ出演したこともあった。そんな彼女が満を持してシリーズにカムバック、厳しいダイエットとエクササイズで肉体をシェイプし、歳を重ねて頼もしい将軍となった勇姿はファンを喜ばせた。

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(C)2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(C)2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

突然の別れ…『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が遺作に


だが、新たな一章が始まり出した途端に悲劇が訪れた。2017年12月23日(現地時間)、仕事先のロンドンからロサンゼルスへ戻る機内でキャリーは心臓発作を起こし、到着後に搬送された病院で27日(現地時間)に息を引き取った。享年60という早すぎる娘の急逝にショックを受けながらも、ファンから寄せられたお悔やみにSNS上で気丈に感謝の言葉を綴った母のデビー・レイノルズは翌28日に、脳梗塞を起こして後を追うようにこの世を去った。84歳だった。母親とは疎遠だった時期もあるが、母娘の絆は強く、互いにサポートし合う関係は晩年まで続いた。

デビー・レイノルズ&キャリー・フィッシャー(C)Getty Imagesデビー・レイノルズ&キャリー・フィッシャー(C)Getty Images
半年後に発表された検視結果で、キャリーの体内からは大量のアルコールのほかにコカイン、メタドン(ヘロイン中毒の治療薬)、MDMA、アヘンが検出され、発作を起こすまでの3日間にコカインを摂取していたことも明らかになった。自身が抱える負の要素を隠さず、自分の生きたいように生きたキャリーは、若き日の自身と同じように、新たなシリーズのヒロイン、レイ役で一躍注目のスターとなったデイジー・リドリーを可愛がっていた。デイジーは「Glamour」誌でキャリーと過ごした日々をふり返り、「彼女と私は、同じような経験を違う時代にしてきたの」と話している。

故キャリー・フィッシャー&デイジー・リドリー-(C)Getty Imagesキャリー・フィッシャー&デイジー・リドリー-(C)Getty Images
図らずも遺作となった『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は、前作よりもさらにレイアの役割は重要になっている。波乱の生涯を送った彼女が遺した作品を見て、追悼したい。

《冨永由紀》

好きな場所は映画館 冨永由紀

東京都生まれ。幼稚園の頃に映画館で「ロバと王女」やバスター・キートンを見て、映画が好きになり、学生時代に映画祭で通訳アルバイトをきっかけに映画雑誌編集部に入り、その後フリーランスでライター業に。雑誌やウェブ媒体で作品紹介、インタビュー、コラムを執筆。/ 執筆協力「日本映画作品大事典」三省堂 など。

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