『スリー・ビルボード』は英国映画賞、サム・ロックウェルが助演男優賞、監督であるマーティン・マクドナーが最優秀オリジナル脚本賞も受賞。マクドナー監督は受賞スピーチで「私たちの映画は多くの意味で希望に満ちたものですが、同時に怒りに満ちてもいます。そしてこの1年、我々が見てきた通り、時には怒りだけが、人々に耳を傾けさせ、何かを変えることができる方法なのです。BAFTAがそのことを評価してくれたのを非常にうれしく思います」と語った。

オスカー前哨戦レースでも快進撃中の『スリー・ビルボード』はイギリスの製作会社「Film4」も出資しており、15日(現地時間)には昨年6月に多くの犠牲者が出たロンドン西部の高層住宅「グレンフェル・タワー」の火災について「71人死亡」「まだ誰も逮捕されない?」「なぜ?」と映画を模した看板が事故現場の前の通りに並べられ、ニュースになった。これは市民団体「Justice 4 Grenfell」が企画したものだ。
同様に、アメリカでは14日(現地時間)にフロリダ州の高校で起きた銃乱射事件を受けて「学校で殺戮が起きた」「銃規制はまだ?」「どうしてなの、マルコ・ルビオ?」とルビオ上院議員に宛てた3枚の看板が17日(現地時間)にマイアミ市内に登場したのも伝えられている。
最多12部門で候補になった『シェイプ・オブ・ウォーター』はギレルモ・デル・トロ監督が監督賞を受賞したほか、作曲賞、美術賞に輝き、同じく3部門を受賞。
次いで2部門で受賞したのは『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』。ゲイリー・オールドマンが主演男優賞、メイクアップ&ヘア賞を受賞し、デヴィッド・マリノウスキーとイヴァナ・プリモラック、ルーシー・シビックとともに日本出身の辻一弘が受賞した。

助演女優賞は『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』のアリソン・ジャニーが受賞し、受賞者は主演も助演もすべて、ゴールデン・グローブ賞や映画俳優組合(SAG)賞、クリティックス・チョイス賞などオスカー前哨戦で影響力大の映画賞と同じ結果。3月4日(現地時間)の第90回アカデミー賞の俳優部門の結果がほぼ固まったと見る向きも多い。
一般投票による、新人賞に当たる「EE ライジングスター」賞は『ゲット・アウト』のダニエル・カルーヤが受賞した。

今年の授賞式は、「Time’s Up」運動に賛同した多くの出席者が黒を着用。特に女優たちのドレスはほぼ黒一色の中、BAFTA会長でもあるウィリアム王子と一緒に出席したキャサリン妃はダーク・グリーンをチョイス。イギリス王室の人々は、社会問題などについて特定の立場を表明しないのが決まりであり、キャサリン妃は胸元に黒いリボンを巻いていた。
主な受賞結果は以下の通り。
■最優秀作品賞『スリー・ビルボード』

■英国映画賞
『スリー・ビルボード』

■最優秀男優賞
ゲイリー・オールドマン(『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』)

■最優秀女優賞
フランシス・マクドーマンド(『スリー・ビルボード』)

■助演男優賞
サム・ロックウェル(『スリー・ビルボード』)

■助演女優賞
アリソン・ジャネイ(『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』)

■最優秀監督賞
ギレルモ・デル・トロ(『シェイプ・オブ・ウォーター』)

■最優秀オリジナル脚本賞
『スリー・ビルボード』マーティン・マクドナー

■最優秀脚色賞
『君の名前で僕を呼んで』ジェームズ・アイヴォリー

■最優撮影賞
『ブレードランナー 2049』ロジャー・ディーキンス

■最優秀外国語映画賞
『お嬢さん』(韓国)

■最優秀作曲賞
『シェイプ・オブ・ウォーター』アレクサンドル・デスプラ

■最優秀アニメ映画賞
『リメンバー・ミー』
