■原作は「悪と仮面のルール」「教団X」の中村文則による傑作ベストセラー
本作は、2002年、「銃」で新潮新人賞を受賞する鮮烈なデビューを飾り、2004年「遮光」で野間文芸新人賞、2005年「土の中の子供」で芥川賞を受賞した中村文則が初めて挑んだミステリー小説。人間の内面に深く肉薄した究極の「愛」を描きながら、1ページ、1ページと、予断を許さないストーリーが猛スピードで展開していき、随所に仕掛けられたトリックがラストにすべて明らかになるという、その衝撃の体験は、発売されるやいなや絶大な支持を集めた。
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■あらすじ
主人公は、新進気鋭のルポライター・耶雲恭介。彼女との結婚を間近に控え、自著の出版を目指す彼が目を付けたのは、不可解な謎が残る、盲目の美女が巻き込まれた焼死事件と、その事件の容疑者である天才写真家・木原坂雄大だった。だが、その真相に近づくにつれ、いつの間にか彼は、抜けることのできない深みにはまっていく――。
■気になるキャストは?
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主人公の耶雲恭介を演じるのは、俳優として2014年『クローズEXPLODE』でデビューし、興行収入22億円の大ヒットを記録した『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』では日本アカデミー賞新人賞を受賞、その後『HiGH&LOW』シリーズにも出演し、今年は『パーフェクトワールド』『Vision』の公開が控えている岩田さん。
また、耶雲の婚約者である松田百合子役に山本美月、耶雲が事件の取材ルポタージュの提案をする週刊誌・編集者の小林良樹役に北村一輝、そして耶雲の取材対象者であり、事件の被告である世界的フォトグラファー・木原坂雄大役に斎藤工、さらには木原坂雄大の姉で、弟を事件からかばう木原坂朱里役に浅見れいなと、日本を代表する豪華キャストが集結している。
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監督は、『犯人に告ぐ』(’07)、『脳男』(’13)、『グラスホッパー』(’15)と、傑作といわれる数々のサスペンスやミステリー作品を手掛け、人間の本質に迫ってきた瀧本智行。脚本は、興行収入80億円を記録し社会現象を巻き起こした『デスノート』前後篇(’06)や『BECK ベック』(’10)の大石哲也が務める。
■岩田剛典 VS 斎藤工、鬼気迫る対決はいかに…予告編
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耶雲と百合子の幸せに満ちた日々から一転、火花を散らす耶雲と木原坂の“重要なシーン”を皮切りに、怪しさを増していく木原坂…。百合子を助け出そうと面会を試みるが「彼女は、自ら望んでここにいる」と木原坂から拒絶され、一方、木原坂の姉・朱里(浅見れいな)から真実を知りたいかと迫られる耶雲。燃え盛る炎を前に狂喜乱舞する木原坂姉弟、怯えている小林の姿を含め、意味深なシーンが連続していく…。不気味な影を投げかける木原坂の狙いとは――?
■岩田剛典「夢にまで監督が出てきた…」
1月に行われた完成披露試写会舞台挨拶で岩田さんは、作品に臨む上で相当苦労をしたようで、「撮影期間中は、暗く深く長いトンネルをずっと走っている気分でした。いつ出口が見つかるのかと、本当に暗中模索していて。監督が夢に出てくるくらい…それくらい役柄に没頭できた作品も今回が初めてです」と、瀧本監督が夢に出てくるほど、のめり込んだと明かした。
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サスペンスということもあり緊張感あふれる本作だが、共演した北村一輝は、「ガンちゃん、むちゃくちゃ格好いい」「(この映画をもう一回演じるとしたら)女優陣だとなあ…ガンちゃんとキスできるからなあ…」「ガンちゃんのデートシーン、俺、憧れるなぁ」と話し、岩田さんにメロメロになったようだった。
■岩田剛典×斎藤工に単独インタビュー
シネマカフェでは岩田剛典×斎藤工のインタビューを敢行! 笑顔もあり和やかなムードで始まった取材の中でも瀧本監督についての話があがっていた。
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――「現場で怒られたり、指示を受けたりしている夢でした」と苦笑する岩田さんに対し、斎藤さんも「僕の夢には出てきませんでしたが(笑)、気持ちはすごく分かります。監督と主演俳優のいい関係性ですよね。この映画って、世間が岩田さんに抱くイメージも含めた罠になっていると思うんです。映画を見た後に笑顔の岩田さんを見ると、いい意味でちょっとゾッとする。僕自身、映画に引き込まれるのは、普段は人に見せない心が見えたとき。綺麗な部分だけじゃなく、本音が映り込んでいるのを目にしたときに客観から主観になっていく。今回の岩田さんからそれを凄まじく感じましたし、瀧本監督の存在あってこそなんだろうなと思いました」。
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――岩田さんは「濃密な作品ですし、難しい役ですから。僕は役者1本で活動している身でもありませんし、こういった作品のこういった役にいまのタイミングで出会えたのがありがたかったです。最初は僕の中でも、この作品に出ている自分をイメージできなかったくらいで…。役者として見てもらえたのかなという喜びが湧く反面、自分に務まるのかという葛藤もありました。でも、殻を破って飛び込もうと思った決断は間違いじゃなかったと、いまはすごく思います」。