2013年に起こったボストンマラソン爆弾テロ事件の被害にあった、ジェフ・ボーマンの実話を映画化した本作。舞台となるのはアメリカ、マサチューセッツ州ボストン。アメリカの歴史の中でも特に古く、その美しい街並みが多くの人々を魅了しているボストンは、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)などの有名大学でも知られ、日本の京都市と姉妹都市提携を結んでいる。
4月24日(火)、京都・同志社大学ハーディーホールには、同志社大学・同志社女子大学 および市内の大学に在学中の学生、一般当選客、合わせて約100名が参加。冒頭、司会者から映画の感想を聞かれた北小路氏は、「僕はひねくれているから泣けなかったけど、みなさんはかなり心に響く作品だと思います」と話し、集まった学生からは笑いが漏れた。
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■「アメリカ映画は伝統的にヒーローを作り続けている」
そんな北小路氏が注目したのは、映画で描かれる“ヒーロー像”について。本作ではボストンに住む主人公ジェフ(ジェイク・ギレンホール)の家族の描写も多いが、「彼らはいわゆるブルーカラー(労働者階級)であり、ボストンだけでなく、アメリカでもっとも多い層」と話す。アメリカの人口の3分の2が、このブルーカラーにあたる。「それくらい特別ではない、普通の人を丁寧にリアルに描写したことで、庶民が意図せず何かを成し遂げてしまう、“巻き込まれ型”の典型的な作品の系譜を踏んでいる」と分析。
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「古くはフランク・キャプラ監督作(『素晴らしき哉、人生!』ほか)や、近年では『15時17分、パリ行き』など、主人公がいかに普通の人間かを丹念に描いたうえで、彼らが自分の意志ではないところで巻き込まれ、気がつくと世の中を変えるようなことをやっている、気づけば皆のヒーローになっている、というのは昔から多く描かれてきており、アメリカ映画は伝統的にヒーローを作り続けているんだということを改めて感じた」と話した。
そのうえで、作中でも会話の中で登場する『フォレスト・ガンプ/一期一会』を例に、「過去の作品は登場人物が意図せず起こしたアクションによってまわり(世界)が変わるという形が多かったが、本作はそれに反し、主人公から脚の自由を奪う=アクションを封じるところからスタートさせていて、同じヒーロー映画の系譜ではあるが、また新しいものを見せてもらった」と舌を巻いた。
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■フラッシュバックで見せるPTSDの壮絶さ…ジェイクの繊細な演技にも注目
また、テロや災害などの被害を扱った映画として、「本作ではフラッシュバック、トラウマの描き方が非常にうまい」と北小路氏。「事件の場面から見せたくなるところを、爆発のシーンは敢えて省略する。ではどのようにそれを見せるか、というところでフラッシュバックという技法を、彼の心理面、PTSDを絡めて見せる。そのことで、1人で耐え続ける彼の弱さ、同時に強さを表現することに成功している」と話し、その繊細で細やかな心の動きを見事に体現したジェイク・ギレンホールの演技にも注目してほしい、と締めくくった。
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『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~』は5月11日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。