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松坂桃李・30歳!『娼年』ほか“映倫”指定作を経て目指す“これから”

『娼年』『孤狼の血』など“体を張った”主演作が続き、先の日曜劇場「この世界の片隅に」では主人公の夫を好演した松坂桃李が、10月17日に30歳の誕生日を迎える。

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『娼年』『孤狼の血』など“体を張った”主演作が続き、先の日曜劇場「この世界の片隅に」では主人公の夫を好演した松坂桃李が、10月17日に30歳の誕生日を迎える。

松坂さんをはじめ、“昭和の最後”ともいえる1988(昭和63)年生まれには新垣結衣、戸田恵梨香、東出昌大、窪田正孝、三浦翔平、瀬戸康史らに89年早生まれの佐藤健や千葉雄大などがおり、その顔ぶれの豪華さから“奇跡の世代”と呼ばれている。松坂さんは、その日本エンタメ界を担う中心世代の旗手ともいえる存在だ。30歳となった“役者・松坂桃李”は、文字どおり大きな節目を迎えている。


若手俳優の登竜門“戦隊もの”と“朝ドラ”を制覇

 
松坂さんは、大学在学中「FINEBOYS」専属モデルとして芸能活動をスタートすると同時に、所属事務所トップコートの養成所入り。2009年オーディションに合格し、「侍戦隊シンケンジャー」シンケンレッド・志葉丈瑠役で俳優デビューを果たす。特撮ファンには、同作の“殿”としておなじみだ。

その後、「チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋」では冷静沈着な研修医を演じ、「GOLD」では五輪候補の競泳選手に、配信コメディドラマ「女神のイタズラ ~キミになったボク~」では9歳の少年の魂が乗り移った青年にもなった。当時、シネマカフェが初めて松坂さんにインタビューした際には、俳優になることを両親から反対されたことを打ち明け、「『この世界でやっていく!』と自分で口にして、そこで後に引けなくなったときに覚悟が固まった」と初々しく語る姿が印象的だった。

躍進の年となったのは2012年で、『麒麟の翼~劇場版・新参者』(1月公開)に始まり、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(4~9月放送)で安岡信郎役に抜擢されると、さらにファン層を拡大。『王様とボク』(9月公開)では菅田将暉や二階堂ふみらと共演し、生者と死者を再会させる高校生に扮した単独初主演映画『ツナグ』(10月公開)では故・樹木希林さんとも共演。『今日、恋をはじめます』(12月公開)では学校一のイケメンを演じ、翌2013年・第36回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞する。

『ツナグ』 -(C) 2012 「ツナグ」製作委員会故・樹木希林さんと共演した単独初主演映画『ツナグ』
『ガッチャマン』(13)ではリーダーである“大鷲の健”こと鷲尾健を演じたほか、大河ドラマ「軍師官兵衛」(14)では稀代の軍師である父の背中を追う息子・黒田長政に。映画出演が続いた2015年は、『マエストロ!』での若きバイオリニストから、『エイプリルフールズ』でのセックス依存症の若手医師、『日本のいちばん長い日』での敗戦を認められない血気盛んな青年将校、『ピース オブ ケイク』での主人公の親友のオカマ、『劇場版MOZU』での狂気のテロリストと実に多彩な役柄を経験してきた。

松坂桃李(畑中健二少佐)/『日本のいちばん長い日』(C)2015「日本のいちばん長い日」製作委員会青年将校を演じた『日本のいちばん長い日』
そして、堤幸彦監督による舞台と映画のメディアミックス『真田十勇士』では霧隠才蔵に。宮藤官九郎脚本の「ゆとりですがなにか」では“ゆとり第1世代”の事なかれ主義の小学校教師役に。『パディントン』では愛すべきドジっ子クマ、『デスノート Light up the NEW world』では死神の声を務め、2度目の連続テレビ小説「わろてんか」ではヒロイン・てん(葵わかな)の夫で、笑いを商いにするために奔走した北村藤吉役で深みを見せた。日曜劇場「この世界の片隅に」でも、ヒロイン・すず(松本穗香)を支える凛々しい姿が好評を博したばかりだ。

松坂桃李&斎藤工/『パディントン2』日本語吹き替え版の完成披露試写会『パディントン2』では斎藤工と共演、完成披露試写会にて

素は天然?無頓着? 後輩・菅田将暉&先輩・中村倫也にもイジられ…


その「わろてんか」出演中には「あさイチ」のプレミアムトークに登場。「松坂さんはコンビニのビニール袋に台本や飲み物、ハンカチなどを入れ現場バッグとして使っている」と共演の藤井隆に暴露された。なんと、そんな無頓着な松坂さんと同様、恋敵から商いの相棒となる伊能栞役の高橋一生も同じく“ビニール袋派”だったことが判明、ちょうどいいエコバッグを見つけた高橋さんが「“そういえば桃李君も…”と買ってくださって、いまは一生さんと色違いのエコバックを使ってる」と明かして、ファンたちを萌えさせた。

一方、この10月15日(月)深夜には、同じ事務所の後輩・菅田さんがパーソナリティを務める「オールナイトニッポン」に、今年知名度を全国区にした事務所の先輩・中村倫也がゲスト出演。『キセキ ーあの日のソビトー』など共演も多い菅田さんは9月に松坂さんが出演した回をふり返り、「会話にならなかった」と述懐すると、中村さんも「トップコート1、ストレス発散が下手なやつだから」とイジりまくり、最後まで「あいつ」「あのあんちゃん」と言われる始末。

そもそも今年1月、松坂さんが同番組に出演した際、映画『不能犯』の番宣もそっちのけでアプリゲーム「遊戯王デュエルリンクス」にハマっていると大盛り上がりしたことが発端。以後、ゲスト出演のたびに「遊戯王」トークを炸裂させたことから、今回も本人不在ながら言及されたようで、2人との“仲の良さ”(?)が伺えた。

『キセキ ーあの日のソビトー』 (C)2017「キセキ -あの日のソビト-」製作委員会『キセキ ーあの日のソビトー』では「エロい」と言われたが…
同じく“戦隊レッド”出身の千葉さんや志尊淳などは、ちょっぴり毒っ気も感じさせる“可愛らしい”系イケメンだが、松坂さんは“殿”らしいリーダー的な役回りはもちろん、近年ではクールなルックスを生かした優男や少々歪んだエリート、素に近い(!?)不器用すぎる青年など、1作ごとにその色を巧みに塗りかえてきている。


R指定映画で見事な脱皮と進化!映画賞ノミネートは確実か


そんな中、注目したいのは、国民的ドラマに出演する一方で、過激な性描写が話題となった『娼年』を筆頭に映画倫理機構(以下、映倫)に指定を受ける作品に相次いで出演してきている点。直近のシネマカフェのインタビューでは「20代後半でやれることは全部やった」「いろいろな作品の扉を見つけることができたので、30代は扉を開けて、その色を濃くしていくのがメインになっていくと思います。そこから40代につなげたい」と語っていたが、駆け抜けた20代の集大成とするべく、あえて“そこ”を目指してきたように思える。

『娼年』(C)石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会  映倫から「松坂桃李さんがやるんですか?」といわれた『娼年』
先日発表された、国内映画賞のスタートを飾る第10回TAMA映画賞では、「作品ごとにまったく異なる境遇に生きる若者の姿をほとばしる情熱で息衝かせた迫真の演技は、観客を魅了した」として『孤狼の血』『娼年』『不能犯』『彼女がその名を知らない鳥たち』の演技により、最優秀男優賞を同い年の東出さんと分け合っている。今後の各映画賞でもノミネートは確実となりそうだ。

R18+『娼年』彼にしかできない役に絶賛相次ぐ



『娼年』(C)石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会  
2001年に石田衣良が発表したセンセーショナルな小説が、三浦大輔監督のもと舞台化(R15指定)に続いて映画化。幅広い世代の女性を中心に動員した本作は、リピーターも多く「#おかわり娼年」というタグができたり、土日やレディースデーは満席が続出。松坂さんは2017年春、スペシャルドラマ「ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編」クランクアップ後、わずか1日半で“あの世界”に戻っていったそうで、様々な女性たちとの経験を通じて成長していく青年を見事に体現。その赤裸々すぎる性描写は、可笑しみすら感じさせた。最近になってソフトや配信で目にした人たちからは、改めて「役者魂すごい」「これの応援上映してたの面白すぎる」といった声が聞こえている。

R15+『孤狼の血』平成版“東映実録シリーズ”でも存在感



松坂桃李/『孤狼の血』(C)2018「孤狼の血」製作委員会
“警察小説 ×『仁義なき戦い』”といわれた柚月裕子の同名小説を映画化。続編製作も決定している。「変なコンプライアンスを気にしたり、自主規制をせず、やれることを逃げずにやる」と白石和彌監督が語るとおり、まさに泥くさく、汗くさく、容赦なく、“昭和”を感じさせる映画となった。警察のルールや常識を度外視するベテラン刑事・大上(役所広司)とコンビを組むキャリア刑事・日岡を熱演した松坂さんは、同時期に公開されていた『娼年』とは打って変わって(?)、偶然出会った桃子(阿部純子)と結ばれるシーンは不器用さも感じさせた。

松坂桃李/『孤狼の血』(C)2018「孤狼の血」製作委員会

R15+『彼女がその名を知らない鳥たち』桃李史上最高のゲス男!?



『彼女がその名を知らない鳥たち』 (C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
“イヤミスの女王”沼田まほかるの小説を、上記『孤狼の血』の白石監督がメガホンをとり映画化。演じたのは、クレーマーの主人公・十和子(蒼井優)が、同棲相手(阿部サダヲ)がいながら情事に溺れていく妻子ある男で、イケメンで優しく、言葉巧みな時計売り場の営業マン。蒼井さんを相手に『娼年』にも匹敵するエロティックなラブシーンを繰り広げるが、そのクズっぷりや、豹変の仕方は松坂桃李史上最高の“ゲス男”といえそう。

『ユリゴコロ』R15+指定でもおかしくない衝撃作



『ユリゴコロ』(C)沼田まほかる/双葉社 (C)2017「ユリゴコロ」製作委員会
同じく沼田まほかるの小説を吉高由里子主演で映画化した本作は、「12歳未満は保護者の助言・指導が必要」というPG12指定だったが、松坂さん演じる青年が読み進めていく“殺人者”の手記の内容や、その暴力的で残虐な描写からR15+指定でもおかしくはなかった作品。今から観るなら、ぜひとも注意して観てもらいたいところだ。『孤狼の血』や『不能犯』(PG12)、「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」の終盤などでも見られた、松坂さんの“目がイッた”演技を堪能できる。


これから2019年2月には、故・蜷川幸雄の志を継いだ吉田鋼太郎が演出を手がける舞台「ヘンリー五世」が控えている松坂さん。2013年に上演した吉田さん主演「ヘンリー四世」に続いて、シェイクスピアに挑む。

さらに本木克英監督のもと、2019年5月公開の『居眠り磐音』では“時代劇史上最も優しい主人公”に。これまで『真田十勇士』や「軍師官兵衛」などに出演してきたが、時代劇は初主演! 自身の言葉の通り、かつて叩いてきた扉を開けて、新たな1歩を踏み出そうとしている形だ。いま、30代の松坂さんにも期待しかない。

《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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