本作は、引っ越したマンションで「1年後のあなたに危険が迫っている」という不思議な声を耳にした志織は、隣人の平野に相談を持ちかけたことをきっかけに、次第に惹かれあうが、タイムパラドックスが原因で志織の身には思わぬ危機が迫っていた…というストーリー。

到着した冒頭映像では、公園で遊ぶ子どもの写真を撮り、笑顔を見せる志織の姿が映し出されスタート。そして、噴水に落としてしまったボールを拾ってあげる様子は、志織の明るく心優しい性格がよく分かるシーンとなっており、噴水の水が平野の志織への恋を予感させるように美しく空に舞うのが印象的。

一方、窓から志織の様子を見ていた平野が、「私は今、深い悲しみの淵にいる。」と小説を執筆する場面も。また、志織の部屋のシーンでは、監督がこだわったという小道具も登場。『時をかける少女』のオマージュでラベンダーの押し花でできたスマホケースや、趣味のカメラで撮った写真、古いフィルムカメラなど遊び心も満載。

そして、外から聞こえるチェロの音色に身を任せて、アパートの中庭に向かった志織の目の前に広がる美しい庭園の映像は、この後に訪れる運命的な出会いを予感させる。すでに映画を観た人なら思わずハッとする、まさにもう一度映画が観たくなる映像だ。
『九月の恋と出会うまで』は全国にて公開中。