■ストーリー
医療革命により、“死”を克服した昭和111年の東京。人々は体内の“ナノマシン”とそれらを“ネットワーク”により管理する“S.H.E.L.L.”体制の支配により、病にかからず、傷の手当を必要とせず、120歳の寿命を保証する無病長寿を約束された。しかしその究極的な社会システムは、国家に様々な歪を産み出す。埋まることのない経済格差、死ねないことによる退廃的倫理観、重度の環境汚染、そして、S.H.E.L.L.ネットワークから外れ異形化する“ヒューマンロスト現象”…。日本は、文明の再生と崩壊の2つの可能性の間で大きく揺れ動いていた。
大気汚染の広がる環状16号線外(アウトサイド)――イチロク。薬物に溺れ怠惰な暮らしをおくる大庭葉藏は、ある日、暴走集団と共に行動する謎の男“堀木正雄”と共に特権階級の住まう環状7号線内(インサイド)への突貫に参加し、激しい闘争に巻き込まれる。そこでヒューマンロストした異形体――“ロスト体”に遭遇した葉藏は、対ロスト体機関“ヒラメ”に属する不思議な力をもった少女“柊美子”に命を救われ、自分もまた人とは違う力を持つことを知る――。
■日本最高峰のクリエイター大集結!
太宰治生誕110周年を迎える2019年。秋には蜷川実花監督と小栗旬がタッグを組み、「人間失格」の誕生秘話を太宰自身と彼を愛した3人の女たちの目線から、事実を基にしたフィクションとして映像化する『人間失格 太宰治と3人の女たち』が公開を控え話題だが、今年また新たな「人間失格」が誕生。今作では、世界に誇る日本最高峰のクリエイター陣によって劇場アニメーションとして再構築する。
スーパーバイザーには、『亜人』「PSYCHO-PASS サイコパス」の本広克行。監督には「バジリスク ~甲賀忍法帖~」の木崎文智。脚本は「マルドゥック・スクランブル」で日本SF大賞を受賞、近年では「十二人の死にたい子どもたち」が映画化された小説家・冲方丁。
キャラクターデザインは「PokemonGO」や「ファイアーエムブレム」など数々の名作ゲームやアニメーションの登場人物を生み出したコザキユースケ。コンセプトアートは「ファイナルファンタジーXI」「メタルギア ライジング リベンジェンス」など国内外を問わず大規模プロジェクト参加する富安健一郎が手掛ける。さらに、アニメーション制作はアニメーション映画『GODZILLA』三部作などを手掛けたポリゴン・ピクチュアズが担当する。
■主人公は宮野真守! 「日本人にしか作れないエンターテイメント作品」
そして、本作の主人公・大庭葉藏役には、声優、俳優、アーティストと多岐にわたる活躍を見せる宮野真守が演じることに。『GODZILLA』三部作では主人公を、TVアニメ「文豪ストレイドッグス」では太宰治を演じ、ほかにも「うたの☆プリンスさまっ♪」『怪盗グルー』シリーズ、『ペット』「亜人」など数々の作品に出演、様々な役どころを演じ分ける宮野さん。

本作について「最新の映像技術を駆使した痛快なアクションの中に、日本人だからこその精神性、わびさびのある世界観が展開される、まさに日本人にしか作れないエンターテイメント作品です」と明かす宮野さんは、「世の中に翻弄され、『生』と『死』のなんたるかを突きつけられ、苦しみながら、それでも進んでいく葉藏の姿から、皆様にも是非、『生きる』とはどういう事か、感じていただきたいです。公開をお楽しみに!」とメッセージを寄せている。
■スタッフコメント到着
本広さんは「まさに今、われわれが直面している問題の数々が織り込まれた、見応えのある作品になっているので、ご期待ください」と本作をアピールし、木崎監督は「近代古典文学『人間失格』を“SFエンタテイメント作品”として再構築する。『そんな事が可能なのだろうか』と、先の見えない深い靄の中をもがきながらの作業でもありました」と不安もあったという。
一方、冲方さんは「日本の古典文学をSFアクションとして再継承する試みはしばしばみられますが、本企画は中でも一段突きつけたものとなった、という予感を抱いています。実際どうであるかは視聴者や後世の批評家に判断を委ねるばかりですが、文芸サイドの担当者としては、多くの日本人が心の底で無意識に継承する社会的ビジョンを鋭く切り抜いた作品になったと感じています」とコメントしている。
『HUMAN LOST 人間失格』は2019年、全世界公開。