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今回到着したのは、映画主演で人生が激変したが実際に難民だった少年が、映画出演と撮影後の“現在”について語る特別映像。主人公を演じたゼイン・アル=ラフィーアは、ナディーン・ラバキー監督と共に昨年のカンヌ国際映画祭上映で鳴りやまぬ喝采と称賛の声に受け入れられた。本名と同じ役名でもあったゼインは、国内情勢の悪化によりレバノンへ逃れたシリア難民であり、ベイルートの住宅地にいた子どもの集団の中からキャスティングディレクターに見出された。
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本作撮影後には国連難民機関の助けを得て、家族と共にノルウェーへ移住。ラバキー監督は「初めて会った時ヒーローになると思った。彼の目には特別な悲しみがあった」と振り返る。「学校に通いたかった」「平和な教育の場で読み書きを学びたかった」「撮影スタッフは人間らしく接してくれた」と、ゼインが語る心からの言葉が印象的だ。
本作では主人公ゼインを始め出演者のほとんどは、演じる役柄によく似た境遇にある演技未経験者が集められた。ゼインが家を飛び出した際に一緒に暮らし始めるエチオピア人の幼い赤ちゃんヨナス役のボルワティエフ・トレジャー・バンコレは、アフリカ系不法移民であるため住居を転々としており、本作の撮影中にも両親が逮捕されてしまうという事件が起きている。撮影スタッフの尽力により、釈放はされるも国外退去させられ、母親とトレジャーはケニア、父親はナイジェリアへ、家族はいまも離れ離れになっている。
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また、劇中で自身も苦しい生活の中でありながらゼインを保護したラヒル役のヨルダノス・シフェラウは、自分の歳も分からず、幼少期は難民キャンプで過ごしていた。映画の物語と同様に撮影中に不法移民として逮捕・拘束されてしまうが、のちにラバキー監督が保証人となり釈放された。妹役のサハル役のシドラ・イザームもゼインと同じくシリア難民であり、道端でチューインガムを売って家計を助けていたという。
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ラバキー監督は3年間のリサーチ期間を設け、その間に自身で見聞きし体験したことを本作へ盛り込んでいる。こんな重い人生を背負いながら生きている人たちを役者が演じるのは難しい、感情を“ありのまま”に表現して自分自身を生きてもらい、彼らが体験する出来事を演出した結果、リアリティを突き詰めながらもドキュメンタリーとは異なる唯一無二の“物語の強さ”を、本作で生み出すことが実現したのだ。
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『存在のない子供たち』は7月20日(土)よりシネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。