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【インタビュー】鈴木敏夫が明かす、スタジオジブリが短編を制作する理由

ジブリの短編はいかにして誕生したのか? 制作の裏側をスタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫が語った。

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鈴木敏夫とアニメーターたちの関係
――「アニメーターは“役者”」


本作には、宮崎駿をはじめ、近藤喜文、百瀬義行、稲村武志、田辺修、橋本晋治、大塚伸治、近藤勝也、宮崎吾朗とトップクリエイターが集結している。鈴木敏夫プロデューサーが思う「優秀なアニメーターの条件」とは?

「アニメーターって、実写の世界で言うと“役者さん”なんですよね。ごはん食べるとか歩くとかいろんな動きが的確というか。例えば近藤喜文という人は、リアルな芝居が上手なんです。『となりのトトロ』には4歳の女の子が出てくるじゃないですか。実際にその年齢の子どもって、歩くときに真っすぐ立って歩く子はいない。前のめりか、後ろのめりで歩くんです。宮崎駿は漫画のアニメーションが基本だから、あまりそういう描写をやってこなかったんですよ。ところが近藤喜文はそれができるアニメーターだった」と明かす。「要するに“芝居ができる”人。日ごろいろんな人の行動を観察して、観察したものを作品の中に活かす。そういうことができる人が優秀だと思いますね」。

日清製粉グループ 企業CM 「コニャラ」 (C) 2015 Studio Ghibli
確かに、“アニメーションの動き=芝居が魅力的なキャラクター”にはどこか惹きつけられる。そんなキャラクターの数々は、鈴木さんのイラストが元になっていることが多い。本作品集収録作品の中では、日清製粉グループ企業CMの猫キャラクター「コニャラ」や、スタジオジブリにプロデューサー見習いとして参加するドワンゴの川上量生をモデルにしたキャラクターの顔、伊藤園WEBアニメーション「となりのおにぎり君」に登場するキャラクターたちも鈴木さん自身が描いた。

「僕の絵はいたずら書きで、それを立派にしてくれるのがアニメーターなんです。やっぱりキャラクターを描くよりも芝居(動き)を重視しているんですよ。そこに基点を置くから、キャラクターは誰かが描いてくれた方が良いという人が多いんですよね。上手な人ほどそうです」。

鈴木さんの味のある“いたずら書き”が、芝居上手なアニメーターたちの手によってより魅力的なキャラクターに仕上げられ、登場人物たちの動きから目が離せなくなるようなチャーミングさと、ワクワク感を兼ね備えた短編ができ上がっているようだ。「もともとは新人研修に役に立つかなと思ったんだけど、短いものは世間の目が厳しい。やっぱり上手な人に頼まなければならなくなる。若い人に作ってもらったこともあったんですけど、やっぱり見栄えがしないんですよね。結果として腕扱きのアニメーターが制作を担当しました」。

(C)2019 Studio Ghibli
様々な制約がある長編制作と違い、短編では短ければ短いほど、とことん制作できる環境が用意できるという。“優秀なアニメーターたちが、とことんまで突き詰めて表現した短編”…それが一挙に堪能できる本作は、真に贅沢な作りだと言えるだろう。

「凄腕のアニメーターが“とことんやる”仕事」っぷりを、本作から感じてほしい。

発売情報:「ジブリがいっぱいSPECIALショートショート 1992-2016」

2019年7月17日(水) 発売 ブルーレイ:4,700円+税、DVD:3,800円+税

(C)2019 Studio Ghibli
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《シネマカフェ編集部》

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