褒め言葉を「簡単には信じない」理由
ギャップで魅了する。ギャップを楽しむ。仮に「大人の計算」だとしても、それも役者業の大きな醍醐味。村山のキャラクター造形に完結する話ではなく、俳優・山田裕貴のフィルモグラフィーに目を向けても言えることだ。NHK朝の連続テレビ小説「なつぞら」の雪次郎を応援する人が、狂気を帯びた目で闘う村山さんを目にしたら? あるいは、その逆なら? 「そういった状況を、めっちゃ楽しんでいますね」と顔を綻ばせる。

「まあ、『なつぞら』と『HiGH&LOW』だと、視聴層が違いすぎるとは思いますけど。でも、だからこそ正直、めちゃめちゃ持ってきたいです。『HiGH&LOW』のファンを朝ドラに、朝ドラのファンを『HiGH&LOW』にと意識していました。けれど、自分の中の手応えはまだまだで。のぼせ上がらないよう、冷静にしている部分もありますけど。そこだけは僕、大人です(笑)。満足したら終わりですし」。
村山さんのことが大好きで『HiGH&LOW THE WORST』に足を運ぶ人も大勢いるだろうに。こう指摘すると、「そこはね、ありがとうございます。ありがたく受け止めるべきなのは十分に自覚しています。でも、欲張りなんです」と真顔に。「もっともっと、みんなが俺のことを好きになれって。観終わった全員、好きな人が頭から離れないみたいに、“村山が頭から離れなくなれ!”と密かに念じています(笑)」。

しかしながら悩ましいことに、念じて、願いが届いたとしても、「簡単には信じない」そうだ。「疑い深いんで」と笑う素敵な頑固者の目標は、「自分のいないところで、『山田裕貴っていいよね』と囁かれるようになること」だという。
「共演者、応援してくれる人たち、僕のことをちょっとは知ってくれている人たち、うわさに聞く程度でほとんど知らない人たち。その全員が、陰で僕を褒めてくれること(笑)。面と向かって伝えていただけるなら、それはそれでめっちゃうれしいですけど。でも、その言葉を僕が信じるか信じないかは分からないし。信じない状態のままでいれば、目標にたどり着いたかどうかもずっと分からないでしょ? それでいいと思っています」。
