中国を離れ日本やアメリカなど海外に散った親戚一同が、末期がんを患ったおばあちゃんのために、何十年ぶりかに帰郷し、顔をそろえることに。
N.Y.育ちのビリーは大好きなおばあちゃんが残り僅かな人生を後悔なく生きてもらえるよう、病状を伝えるべきと主張するが、中国に住む大叔母は、「がんで死ぬ人は、がんではなく、恐怖に殺される」と信じて疑わず、中国では助からない病は告げない伝統があると、ほかの親戚たちも賛同、ビリーと意見が分かれてしまう。それぞれがおばあちゃんの幸せを想う気持ちは同じなのだが…。
『オーシャンズ8』や『クレイジー・リッチ!』、さらに『ジュマンジ/ネクスト・レベル』にも出演するオークワフィナが祖母を愛してやまないN.Y.在住の孫娘ビリーを圧倒的演技力で表現。
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ビリーの父ハイヤン・ワンに『ラッシュアワー』シリーズなどにも出演しディズニー映画『ムーラン』の公開を控えるツィ・マー、母親のルー・チアンを数々の映画、TVシリーズに出演しているダイアナ・リン。そして「ヴァラエティ」誌の“2019年に注目すべき監督10人”に選ばれた注目の女性監督、ルル・ワンがメガホンをとった。
監督のルル・ワン自身の実際の“嘘”に基づく、愉快で、心温まる家族の物語は、2019年サンダンス映画祭でプレミア上映が行われたのち、Netflix、フォックス・サーチライト・ピクチャーズ、アマゾン・スタジオなど多くの企業が配給に名乗りをあげる中、ルル・ワン監督曰く「家が数軒買えるオファーをもらったけど、劇場でお客さんと語り合う体験をしたかった」と、『ムーンライト』『レディ・バード』などアカデミー賞作品を多く輩出する気鋭のスタジオ「A24」に最終的に託すことに。
全米4館での限定公開から公開3週目には135館で公開、館数が桁違いの大作群の中で全米10位にランクインし、最終的に全米891館まで上映館が拡大された。
米「Rolling Stone」では「感情の原動力となる今年の最高傑作。どの文化でも理解できる家族の姿を描いた素晴らしい作品だ」と絶賛されたほか、アカデミー賞前哨戦のひとつインディペンデント・スピリット賞にて作品賞・助演女優賞・ボニー賞(女性監督に贈られる)の3部門にノミネート。さらにゴッサム・インディペンデント映画賞で主演女優賞を見事受賞、作品賞・脚本賞にもノミネートされている。
『フェアウェル』は2020年春、全国にて公開。