本作は、プロヤス監督のデビュー作。1988年のオーストラリア・アカデミー賞にて最優秀美術賞・最優秀衣装賞にノミネートされ、日本ではジョン・ヴォイト、アンジェリーナ・ジョリー、ジョゼ・ジョバンニ監督、相米慎二監督、根津甚八、竹中直人という錚々たる映画人たちが審査員を務めた「第1回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」において、審査員特別賞を受賞。91年には正式に日本で劇場公開され、レイトショーでは12週間のロングランヒットを記録したものの、その後、長年に渡って観ることが難しい幻のファンタジーといわれてきた。
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赤い砂漠と紺碧の空の間に林立する巨大な十字架とぽつんと佇む一軒家。そこに住む足の不自由な兄フェリックスはこの場所ではないどこかへ飛び立とうと、飛行機づくりに明け暮れている。一方、偏執的な気質を持つ妹ベティは死んだ父の墓を守ることに執着している。茫洋であるのに隔離された2人だけの世界に、スミスと名乗る奇妙な逃亡者が現れ…。
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本作の登場人物はたった3人。ベティ演じるライズ・デイヴィスは、フランスで不条理演劇に出演した経験から本作の役を射止めた。劇中では、少女のような可愛らしい表情をしたかと思えば、白目をむいて床をのたうち回り、常軌を期す奇々怪々な行動が目を引き、観客を独創的なダークファンタジーの世界に引き込んでいく。
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この度解禁となった場面写真は、奇抜な衣装に身を包んだベティを捉えたシーンの数々。白いワンピースに身を包み、荒野の真ん中で楽器を奏でる穏やかな表情や、暗闇の中でランプに照らされた怪しげな顔には、真っ黒なアイメイクが施されている。恐ろしくも美しく七変化するベティのヘアメイクや衣装は必見。
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本作の監督プロヤスはベティのキャラクターについて、「長年、亡き父の遺言に残された理想に身を委ねてきた彼女。閉ざされた世界にいた彼女はスミスとの出会いによって、バランスが取れなくなってしまった。自分が何者であるか混乱しているんだ」と述べ、エキセントリックな衣装やメイクは「彼女の抱える戸惑いなどの精神状態を表現している」と語っている。ベティの喜怒哀楽を絶妙に描き出す衣装の数々にも注目だ。
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『スピリッツ・オブ・ジ・エア』デジタル・リマスター版は2020年2月8日(土)より新宿シネマカリテほか全国にて順次公開。