SNSをのぞき、過去作をたどってみたら、イガグリ頭の寡黙で硬派なパク・セロイとのギャップに、さらに魅了される人も続出。8月には主演映画『ディヴァイン・フューリー/使者』が日本公開される、最旬俳優の軌跡を追った。
非の打ちどころがない!? 人気実力派俳優
身長185cmでモデルもこなすスタイルのよさ、「タンバム(甘い夜)」のごとく甘い声と紳士的な佇まい、観る者をとりこにするオーラと朗らかな性格、漫画のように(?)目が半月型になる人なつこい笑顔、韓国芸能人野球チームに所属し、格闘家役のために鍛え上げられた肉体、何よりコメディからシリアスまで信頼できる演技力。まさに“非の打ちどころのない”俳優として、日本でも注目度急上昇中のパク・ソジュン。
1988年12月16日生まれ。ソウル芸術大学で演技を学び始めるも壁にぶつかり、在学中の2008年から兵役へ。韓国の男優にとってキャリアの確立と2年間もの兵役のタイミングは常に悩ましいところだが、彼は人気絶頂の最中ではなく、20代早々のデビュー前に経験したことでキャリアに没頭できた。ただ、3人兄弟の長男ということもあり、両親からは俳優の道を反対されていたという。
ペ・ヨンジュンが設立した芸能事務所キーイースト(当時)に所属したが、当初はなかなか仕事に恵まれなかったようだ。2011年ミュージックビデオ出演でデビューし、オーディションを経て「ドリームハイ2」(2012)でアイドルグループ「I:dn(イドゥン)」のメンバー、シウを演じて本格的に俳優デビュー。ダンスや歌も披露したが、同作はキム・スヒョンやスジが出演した最初のシリーズほど期待には添えなかった。
2013年、「金よ出てこい☆コンコン」で世間知らずの財閥一家の末息子ヒョンテ役で注目を集めはじめ、翌年、ケーブル局tvN「魔女の恋愛」で14歳年上のキャリアウーマン(オム・ジョンファ)に恋し、積極的にアプローチする25歳の青年ドンハ役を好演。同じ頃、人気音楽番組「ミュージックバンク」のMCも務めており、知名度が上がってきた中でのキュートかつタフな年下男子ぶりが話題を呼んだ。
その後は出演作、共演者にも恵まれ、「キルミー・ヒールミー」「彼女はキレイだった」(ともに2015)の相次ぐ出演でブレイク。「花郎<ファラン>」(2016)では人気俳優が一度は通る道=時代劇に挑戦、持ち前のストイックさもあって「サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~」(2017)ではKBS演技大賞・ミニシリーズ部門男子優秀演技賞を受賞。いつしか、“ロマコメ神”との異名をとるまでに。
「魔女の恋愛」や「キルミー・ヒールミー」「彼女はキレイだった」などではOSTにも参加し、甘い歌声も披露。かと思えば、新感覚バラエティ番組「ユン食堂」シーズン2では“新入りアルバイト”として料理の腕前を披露しつつ、親しみ溢れるキャラを前面に押し出した。
そして今年、「梨泰院クラス」が日本でもNetflixの総合TOP10上位に君臨するなど大ヒット。6月5日に開催される第56回百想芸術大賞では、パク・セロイ役で地上波・ケーブル・配信問わず全ての作品を対象にしたTV部門の最優秀演技賞にノミネート。ほかに「愛の不時着」のヒョンビン、「ハイエナー弁護士たちの生存ゲームー」のチュ・ジフン、「椿の花咲く頃」のカン・ハヌル、「ストーブリーグ」のナムグン・ミンが候補になっており、今年は近年稀に見る大混戦といわれている。
最新映画がクランクイン!今度はサッカー選手に
スクリーンでは、2012年・第25回東京国際映画祭「アジアの風」で上映された『パーフェクト・ゲーム』(2011)に野球の経験を生かして映画初出演。『ビューティー・インサイド』(2015)で、毎朝目覚めるたびに外見が変わる主人公が意中の人(ハン・ヒョジュ)に“自信を持って告白できる容姿”として登場したことで彼を知った人もいるだろう。『ミッドナイト・ランナー』(2017)ではアツ苦しいほどの正義感を持つ警察大学の学生を演じて、第54回大鐘賞映画祭、第37回韓国映画評論家賞にて新人男優賞を受賞し評価される。
あの『パラサイト 半地下の家族』(2019)では、半地下に暮らす全員無職のキム家の長男(チェ・ウシク)をリッチなIT社長パク家に引き合わせた“親友”ミン役としてカメオ出演。「梨泰院クラス」パク・セロイを演じた俳優と同一人物とは思えない、あらゆる点で対極的な大学生に扮した。
そのほか、キム・スヒョンが入隊前に出演した意欲作『リアル』(2017)や、日本のベストセラーの映画化『Be With You ~いま、会いにゆきます』(2018)にもカメオ出演しているので、ぜひ探してみてほしい。
さらに先日、本国でクランクインが伝えられたのは、大ヒット作『エクストリーム・ジョブ』イ・ビョンホン監督の新作でIUと共演する『DREAM』(原題)。選手生命の危機を迎えたサッカー選手“ホンデ”が、サッカー未経験者ばかりのホームレス・チームと再起をかける、笑いに溢れたスポーツ・エンターテイメントとなる模様。フィールドを駆けるパク・ソジュンにも期待したいところだ。
BTS・Vが弟分!「ウガウガ会」に癒やされる
パク・ソジュンを中心に『パラサイト』のチェ・ウシク、韓国版「SUITS/スーツ」の「ZE:A」パク・ヒョンシク、「BTS(防弾少年団)」のV(キム・テヒョン)、シンガーソングライターのPeakboyの5人は「ウガウガ会」や「ウガファミリー」などと呼ばれ、ジャンルや年齢を超えた友情を育んでいることでファンにはお馴染み。
チェ・ウシクとは駆け出しだったころのドラマ「シットコム ファミリー」(2012)で出会い、「サム、マイウェイ」や主演映画『ディヴァイン・フューリー/使者』でも共演。パク・ヒョンシクとVは「花郎」の共演で交流を深め、Peakboyは高校時代の同級生。現在パク・ヒョンシクは兵役中だが、わちゃわちゃしながら旅行やクリスマスを楽しむ姿がそれぞれのSNSにアップされている。
“ウガ”とは、Vが「BTS」のファンミーティングで語ったコメントによれば、「私たちは家族なのかな?」という韓国語から取られたものだとか。まるで実の家族のようにウマが合い、遊び心を交えつつお互いの仕事ぶりを称え合うあたりもファンを悶絶させるポイント。
なお、パク・ソジュンはキーイーストの子会社「Content Y」を経て、2019年、その元代表でデビュー当時からの恩人であるヤン・グンファンが独立して設立した「Awesome ENT」に移籍した。こうした義理堅い一面も彼の好感度を後押しするのだろう。
チャームポイントは「嘘をつかないこと」
「キルミー・ヒールミー」「彼女はキレイだった」のケミストリー
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2015年のドラマ「キルミー・ヒールミー」では、「ウォンビン似」と噂の覆面推理小説家“オメガ”ことオ・リオンに扮した。女子高校生から釣り好きのオヤジまで7つの人格に苦悩する財閥御曹司ドヒョン(チソン)が主人公で、その主治医となる精神科インターンのリジン(ファン・ジョンウム)の双子の兄だ。
密かに血のつながらない妹リジンを愛しており、時に子どものようにふざけ合う一方、悪夢に悩まされるリジンを逆に“精神分析”し、見守る役目を担っていた。メガネ男子となって執筆に没頭し、親しみあふれる笑顔を見せるかと思えば、ドヒョンに嫉妬したり、牽制したり…。“もうこれ以上、つらいことは目にするな”とリジンに何度も目隠しをするシーンは胸に迫り、リオンとリジンが結ばれる展開を願った視聴者が多かったのも頷ける。
そんなファン・ジョンウムと再共演したのが、2015年度MBC演技大賞で10冠を達成する人気を博した「彼女はキレイだった」。演じたのは、子どものころはぽっちゃり体形で内気な男の子だったが、大人になってアメリカから帰国すると洗練されたエリートとなっていたチ・ソンジュン。
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思い出の中の初恋の人とはすっかり変わってしまった、天然パーマに赤らんだそばかす顔キム・ヘジンを本人と気づかず、親友のハリをヘジンと勘違い。しかも、ヘジンが派遣されたファッション誌編集部の副編集長に就任する。最低最悪のムカつく上司だったのに、だんだんとドジで可愛らしい素顔を見せていくツンデレな副編集長は必見だ。
チェ・シウォン(SUPER JUNIOR)演じるキム記者とも、パンツを共有したり(?)、おんぶしてもらったりといいコンビに。人気ファッションマガジンの内幕を描くお仕事ドラマとしても楽しく、『プラダを着た悪魔』や「校閲ガール」などが好きな方にもオススメ。本作同様、“キレイ”とは容姿のことではないと示した映画『ビューティー・インサイド』を観に行くシーンも登場する。
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セルDVD-BOX1・2 17,500円+税
発売元:アクロス/TCエンタテインメント/TBS/ぴあ
販売元:TCエンタテインメント
パク・セロイ父役ソン・ヒョンジュと共演『悪のクロニクル』
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「梨泰院クラス」でパク・セロイと父ソンヨルの親子愛に涙したなら、絶対にチェックしてほしいのがこちら。数エピソードの出演ながら涙を誘ったベテラン俳優ソン・ヒョンジュが、本作では昇進を前に殺人事件を犯し、自らその捜査を指揮することになるチェ刑事に。
パク・ソジュン演じる新米刑事チャ・ドンジェは、明らかに様子がおかしいチェ刑事に疑念を抱くようになり…と、後は観てからのお楽しみ。韓国では同日公開だった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を抑えて初登場1位を獲得する大ヒット、同僚刑事役でマ・ドンソクも出演。
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DVD3,800円+税
発売元:CJ Entertainment Japan、ミッドシップ 販売元:TCエンタテインメント
豪華競演に三角関係も!時代劇「花郎<ファラン>」
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真夏の撮影や剣術や弓馬の稽古などで、苦楽を共にした6人の絆が伺え、花郎衣装をまといながらのアクションや、ボーイズグループ組に負けてない(!?)祝宴の舞をはじめ、まさに名もなき者(ムミョン)だった主人公ソヌが持ち前の才知を発揮して頭角を現していく姿と恋の行方が見どころ。「梨泰院クラス」の“宿敵”チャン会長ことユ・ジェミョンも出演。
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「花郎<ファラン>」コンパクトBlu-ray BOX1・2
好評発売中
各6,000円(本体)+税
発売・販売元:ポニーキャニオン
Licensed by KBS Media Ltd. (C) 2016 HWARANG SPC. All rights reserved
全力疾走は任せろ!?『ミッドナイト・ランナー』
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中島健人(Sexy Zone)&平野紫耀(King & Prince)のW主演ドラマ「未満警察 ミッドナイトランナー」として日本でリメイクされる映画。演じたのは、血気盛んで行動が先走りがち、食いしん坊でもあるパク・ギジュン。今年の百想芸術大賞で同じくノミネートされているカン・ハヌルが理論重視の頭脳派カン・ヒヨル役に扮している。
偶然目撃した犯罪を見逃すことなどできない、型破りだが真っ直ぐな正義感は、いまこの時だからこそ余計に清々しい。長身を生かした豪快なアクション、柔道で鍛錬する姿など、テレビドラマとはひと味違った魅力を堪能してほしい。
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ブルーレイ&DVD好評発売中、デジタル配信中。
自分の人生を生きよ「サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~」
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演じたのは、学生時代にテコンドーの選手として活躍したコ・ドンマン。マイクを握ると華麗になるアナウンサー志望のチェ・エラ(キム・ジウォン)とは向かいの家に住む腐れ縁の幼なじみ、友達以上恋人未満の“サム”(Something)。結局夢に生きられず、いまではダニ駆除業者とデパートの受付嬢になった2人の人生の一発逆転を、ラブラブなキスシーンもたっぷりに、リアルさを持って描き出す。
陽気で無邪気なドンマンはキャラ的にはパク・セロイと正反対だが、自分の人生のために闘おうとするその姿が重なる。格闘家らしく見えるよう鍛えた身体や回し蹴りのシーンには目を見張り、仲良しのチェ・ウシクがエラを巡るライバルとして登場。
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コンプリート・シンプルBlu-ray BOX 6,000円シリーズ【期間限定生産】BOX1~2
発売中 ※DVDレンタル中
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
いちいち可愛い「キム秘書はいったい、なぜ?」
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大人気ウェブ漫画を原作に、「魔女の恋愛」や「愛の不時着」「トッケビ」などヒットドラマを生み出すtvNが制作。整った顔立ちと完璧なスタイル、5か国語を操り商才にも長けたウルトラ級ハイスペック男性にして、ナルシストや勘違いぶりもハイレベルなユミョングループ副会長イ・ヨンジュンは、9年間一緒に働いたキム秘書が突然辞めると聞き動揺。キム秘書にいったい、何があったのか? 伝説の秘書キム・ミソを演じるのは、「彼女の私生活」パク・ミニョン。交際報道が出るほどお似合いのカップルとなった。
だが、自己愛が最高に強い副会長ヨンジュンは他人に身体を触れられるのが苦手、肝心なときにキム秘書とキスもできない…。副会長の過去にもいったい、何があったのか? 少しずつ素直になっていく2人の関係性や、やがて明らかになる壮絶なトラウマにも注目。それにしてもパク・ソジュンは、「俺から溢れるオーラ、まぶしくない?」というドン引きセリフさえ似合ってしまう。
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Blu-ray SET1~2 各18,200円+税、DVD SET1~2 各16,200円+税
※DVDレンタル中
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
コロナ禍を吹き飛ばせ!主演映画『ディヴァイン・フューリー/使者』
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『ミッドナイト・ランナー』のキム・ジュファン監督と再タッグを組んだ2019年の作品が8月14日(金)に公開。最近のドラマ作品とは打って変わり、ベテラン神父と悪魔払いに挑む新次元エクソシズム・アクション・エンターテイメントとなり、激しい格闘シーンにも挑む。解禁された場面カットにも笑顔はなく、「今まで演じてきた人物とは正反対の魅力があるキャラクター」と本人も語るように、新境地に踏み込んだ。
デビューから10年弱ながら躍進を続けるパク・ソジュン。義理堅く、受けた恩は(痛みも)“倍返し”するパク・セロイ役がハマった「梨泰院クラス」の好評もあり、『使者』でも共演している親友チェ・ウシクとともに、世界から熱い視線を送られる存在となっている。