日本でも高い関心が寄せられている中、この度、2018年に日本公開されたドキュメンタリー映画『私はあなたのニグロではない』の緊急再上映が決定した。
2017年初頭、オバマ大統領に代わりトランプ政権がスタートしたアメリカで、1本のドキュメンタリー映画が異例のヒットを記録した。アメリカ黒人文学を代表する作家、ジェームズ・ボールドウィン(1924-1987)の原作を映画化した『私はあなたのニグロではない』。

本作は、黒人が奴隷として扱われていた20世紀初頭から、ボールドウィンの盟友だった公民権運動のリーダー、キング牧師やマルコムXらが登場する60年代、そして未だ差別が続く現代の「ブラック・ライブズ・マター」に至るまで、連綿と続くアメリカ人種差別と暗殺の歴史に迫ってゆく――。
日本でも連日のように、世界各地で人種差別に反対する人々の姿が報道され、アメリカの音楽業界が実施したストライキ「#BlackoutTuesday(ブラックアウト・チューズデー)」に賛同したセレブたちがSNSに黒く塗られた画像を投稿するなど、いま強い関心が寄せられている中、今回の再上映が決定。
差別はどうやって作られたのか。誰が差別を必要としたのか

監督のラウル・ペックは、映画で語られる言葉のひとつひとつをジェームズ・ボールドウィンの本、エッセイ、インタビュー、講演など、彼が実際に発言した言葉を使って構成した。60年代と現在を交互に映し出す映像に、アメリカの現状を嘆き、鋭く批判するボールドウィンの言葉が重なり、キング牧師の暗殺から50年経ったいまでも人種差別を巡る状況が変わらないことが明るみにされる。
テレビCMやハリウッド映画が大衆に刷り込む「正しく美しい」白人の姿と歪められた黒人のイメージ。証言や豊富な記録映像を交え、強制的に作られた黒人への偏見の歴史、無知や先入観が引き起こす"差別の正体"を解き明かす様は衝撃的だ。
人々はどのように声を上げ、世界を変えていったのか?

映画のラスト、「差別とは何か」を語るボールドウィンの、火のように熱く激しく、知性的で明瞭な名スピーチは、オバマ前大統領やマドンナらが演説で引用するなど、いまなお困難と闘う人々の心を揺るがせ、深い感銘を与えている。不寛容が広がり、分断が危険なまでに深まる時代。本作は、よりよい未来へと歩む道しるべを与えてくれる、こそ必見の映画だ。
バラク・オバマ(前アメリカ合衆国大統領)
ボールドウィンはこう言ったのです。
「向き合っても変わらないこともある。だが向き合わずに変えることはできない」
マドンナ(歌手)
今すぐこの映画を観に行って!傑作。詩的。痛烈。そして刺激的!
この映画に取り組んだ全ての人に感謝します。ボールドウィンに祝福を!
「ニューヨーク・タイムズ」
『私はあなたのニグロではない』このたった90分ほどの簡潔な映画は、10時間分のドキュメンタリーシリーズや分厚い本に匹敵するほどの知識量と衝撃を与えてくれる。
『私はあなたのニグロではない』は6月12日(金)~25日(木)アップリンク吉祥寺、6月19日(金)~25(木)アップリンク京都、6月26日(金)~愛知・刈谷日劇にて再上映。