若き才能シアーシャ・ローナンが体現する、いまを生きる女性たちの悩みと生きづらさ

賞レースの常連女優シアーシャ・ローナンが、“現代女性の代弁者”であるグレタ・ガーウィグ監督と再タッグ。『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(6月12日)は、共感必至の“わたしの物語”だ。

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『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』 全 12 枚
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13歳の時に出演した『つぐない』で多感な少女役を見事に演じ、世界的に高く評価されたシアーシャ・ローナン。以来、賞レースの常連女優となっている彼女は、不器用ながらも懸命に生きる女性を体現してきた。

そんな彼女が、“現代女性の代弁者”との呼び声も高いグレタ・ガーウィグ監督と再タッグ。シアーシャが主演を務める『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(6月12日)は、夢と悩みを抱える全ての女性に贈る、共感必至の“わたしの物語”だ。

透明感とナチュラルさが魅力
若き才能シアーシャ・ローナン



シアーシャ・ローナン/第92回アカデミー賞授賞式レッドカーペット (C) Getty Images
ニューヨーク生まれ、アイルランド育ち。9歳の時にTVドラマの子役として芸能活動をスタートさせたシアーシャ。

13歳の時に出演した『つぐない』(2007年)でアカデミー賞ほか様々な映画賞の助演女優賞にノミネートされた彼女は、続く『ラブリーボーン』(2010年)でピーター・ジャクソン、『ウェイバック 脱出6500km』(2010年)でピーター・ウィアー、そして『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014年)でウェス・アンダーソンと、名だたる監督たちの作品に出演してきた。

彼女のキャリアにとって重要な位置づけとなったのは、アカデミー賞で三部門にノミネートされた『ブルックリン』(2015年)だ。この作品で大都会ニューヨークの喧騒に戸惑いながらも、恋を知り自分の居場所を見つけていくヒロインをしっとりと演じた彼女は、アカデミー賞・主演女優賞に初ノミネート!

ティモシー・シャラメ&シアーシャ・ローナン (C) Getty Imagesティモシー・シャラメ&シアーシャ・ローナン
その後、女優&脚本家のグレタ・ガーウィグ初単独長編監督作『レディ・バード』(2017年)において型破りでキュートな17歳の主人公クリスティン(=レディ・バード)に扮したシアーシャは、思春期の危うさと可能性に満ちた自立への歩みを体現し、ゴールデングローブ賞(映画部門)・主演女優賞を受賞。同作で2度目となるアカデミー賞・主演女優賞にもノミネートされ、世界で最も注目される若手実力派女優の1人に。

そしてグレタとの再タッグとなった最新作では、世界中で愛され続ける古典文学を題材に、“いま”を生きる女性たちの悩みと生きづらさを鮮やかにスクリーンに活写している。

女性たちの夢、希望、野心と現実を描く
世界的ベストセラー「若草物語」



『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
19世紀を代表するアメリカの女流作家ルイーザ・メイ・オルコットによる自伝的小説「若草物語」。米マサチューセッツ州を舞台に、マーチ家の個性的な四姉妹の可能性と愛に満ちた子ども時代と、大人になるにつれ顕在化していくちょっぴり苦い現実が描かれる。

南北戦争の従軍牧師である父親が不在の中、母親であるミセス・マーチは献身的に子どもたちを守り慈しむ。そして美しく聡明な長女メグ、小説家になることを夢見る次女ジョー、内気でピアノが得意な三女ベス、おしゃれで絵が上手な四女エイミーの四姉妹は、それぞれが困難な状況に直面しながらも、自分なりの将来を選びとっていく。

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
子ども時代のあどけなくも刺激に満ちた日々と家族の温もりを生き生きと伝え、女性たちの夢や希望、野心をリアルに描いたこの物語は、男性作家が主流の当時の出版業界において異例の大ヒット。いまなお映画にドラマ、舞台にオペラ、アニメと様々なジャンルで映像化される世界的ベストセラーとなっている。

シアーシャ×グレタの最強コンビで贈る
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』


『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
物語の中心となるのはシアーシャ演じる活発で独立心旺盛な次女ジョーだ。

美人のメグ(エマ・ワトソン)に女優になることを勧め、病弱なベス(エリザ・スカンレン)を溺愛し、生意気なエイミー(フローレンス・ピュー)とは喧嘩ばかりだが、家族を愛し、将来の“成りたい自分”への努力を惜しまない。裕福な隣人であるローレンス家の一人息子ローリー(ティモシー・シャラメ)は、そんなジョーに想いを寄せていて…。

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントシアーシャとグレタ
メガホンをとったグレタは、19世紀アメリカで暮らす四姉妹の瑞々しい青春時代を美しい自然と入念かつ周到に準備された衣装&美術でもって具現化し、作品にノスタルジックな多幸感を与えることに成功している。

クリスマスの良き行いの後に待ち受ける心躍るサプライズやローリーとジョーによる夜会での2人きりの愉快なダンス、そしてローリーについて協議する屋根裏部屋での「ピクウィック・クラブごっこ」のエピソードは、四姉妹が閉じられた世界ながらも充実した時間を送っていることを伺わせる最高にハートウォーミングなシーンだろう。

またその一方でグレタは原作の持つ様々なテーマを丁寧にすくいつつ、女性が“アーティストとして生きること”、“経済力を持つこと”の2つの側面にフォーカスをあて、大人への階段を上っていく四姉妹に容赦ない現実を突きつける。

劇中に登場する女性たちはたびたび金銭的視点での結婚観を披露しているが、とりわけ時代の常識に抗い夢に向かって邁進しながらも、愛を退け孤独感に苛まれるジョーの等身大の姿が強烈な印象を残す。その揺れる想いが、現代に生きる私たちにも内在する共通項として鋭く胸に刺さるのだろう。

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
今年行われた第92回アカデミー賞では作品賞・主演女優賞・脚色賞など計6部門にノミネート(うち衣装デザイン賞受賞)されたほか、数多の映画賞に輝いている『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』。

現代的アプローチで不朽の名作に新たな魅力を与えたグレタと、躍動感あふれる演技で情熱的にジョーを体現したシアーシャの最強タッグをお見逃しなく。
《text:足立美由紀》

《text:Miyuki Adachi》

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